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バンコクから行くタイの世界遺産

バンコク都内に登録された世界遺産はありません。タイの世界遺産は9か所で、最も近いのはアユタヤです。どこに何があるか、開いている時間、入場料、行き方を、ユネスコと各官庁の公式情報だけで整理しました。

この記事の要点

  • バンコク都内に登録された世界遺産はありません。タイの世界遺産は9か所あり、バンコクから日帰りで届くのはアユタヤだけです。
  • ワット・アルンは暫定リストに載っているだけで、登録された世界遺産ではありません。暫定リストは、各国が将来の推薦を考えている物件の目録です。
  • アユタヤ歴史公園は年中無休で8時から18時まで開いています。外国籍の入場料は芸術局の公式ページどうしで80バーツと40バーツが食い違うので、窓口の掲示で確かめてください。
  • スコータイは券が3つの区画に分かれ、外国籍は中心部200バーツ、北と西の外郭が各120バーツ、通し券が400バーツです。区画ごとに開く時間も違います。
  • 自然遺産は、入園料を払えば入れる国立公園と、入域の可否がそのつど変わる野生生物保護区に分かれます。ホアイカーケンは安全対策のため一時閉鎖されています。

「バンコクの世界遺産」を探している人に、まず伝えておきたいことがあります。バンコク都内には、ユネスコの世界遺産リストに登録された場所はありません。タイの世界遺産は9か所ありますが、その全部がバンコクの外です。ただしバンコクのワット・アルンは、登録の一歩手前にあたる暫定リストに載っています。このページは、タイの世界遺産がどこに何があり、バンコクからどう行き、いくらかかり、いつ開いているのかを、ユネスコと各官庁の公式情報だけで整理した「知る」ための記事です。

バンコクの中に世界遺産はない。いちばん近いのはアユタヤ

ユネスコ世界遺産センターのタイの国別ページには、登録済みの物件が9件挙がっています。文化遺産が6件、自然遺産が3件で、県で言うとアユタヤ、スコータイ、ウドンターニー、ペッチャブーン、ナコンシータンマラート、ナコンラーチャシーマー、ペッチャブリー、カンチャナブリーなどに散らばっています。バンコクにあるものは1件もありません。タイがこの条約を受け入れたのは1987年9月17日だと、同じページに書かれています。

バンコクから最も近いのはアユタヤです。バンコクの北にあるアユタヤ県で、後述のとおり日帰りできる距離にあります。「バンコクの世界遺産」を目的に来た人が実際に向かう先は、ほぼここになります。

ワット・アルンは「暫定リスト」に載っている

バンコクのチャオプラヤー川西岸にあるワット・アルン(ワット・アルンラーチャワラーラーム)の仏塔プラーンは、タイ政府が2025年4月9日にユネスコへ提出した暫定リストの1件として掲載されています。登録基準は(i)と(ii)、区分は文化遺産、所在地は「Bangkok」と記されています。

ここで大事なのは、暫定リストは登録ではないということです。ユネスコは暫定リストを「各締約国が将来の推薦を検討する意思のある物件の目録」と説明しています。つまり候補として自国が名乗りを上げた段階で、審査を通ったわけではありません。ワット・アルンを「バンコクの世界遺産」と呼ぶのは、今のところ正しくありません。

なお同じ暫定リストには、チエンマイの街と文化的景観(2015年提出)、ナコンパノムのプラタートパノム(2017年)、パノムルン・ムアンタム・プラーイバットの遺跡群(2019年)、アンダマン海の自然保護区群(2021年)、ソンクラーと潟の集落群(2024年)も並んでいます。

ワット・アルンの暫定リスト記載文には、この寺がアユタヤ時代から使われてきたこと、タークシン王が都をアユタヤからトンブリーへ移した際に王宮の域内に入る寺となったこと、エメラルド仏とプラバーンが1779年から1784年までのおよそ5年間ここに安置されていたことが書かれています。拝観の時間や志納金は現地の掲示で確かめてください。

タイの世界遺産9か所を一覧で

登録名・登録年・区分は、ユネスコ世界遺産センターの各物件ページに載っているものです。

名称登録年区分場所
アユタヤの歴史都市1991文化アユタヤ県
スコータイと周辺の歴史都市群1991文化スコータイ県・カムペーンペット県
トゥンヤイ・ホアイカーケン野生生物保護区1991自然カンチャナブリー県・ターク県・ウタイターニー県
バンチェン遺跡1992文化ウドンターニー県
ドンパヤーイェン・カオヤイ森林群2005自然ナコンラーチャシーマー県ほか
ケーンクラチャン森林群2021自然ペッチャブリー県ほか
シーテープの古代都市とドヴァーラヴァティーの遺跡群2023文化ペッチャブーン県
プープラバート(ドヴァーラヴァティー期の結界石の伝統)2024文化ウドンターニー県
ワット・プラマハータート・ウォラマハーウィハーン2026文化ナコンシータンマラート県

アユタヤはどんな場所か

ユネスコの記述では、アユタヤはおよそ1350年に築かれ、スコータイに次ぐシャム第二の都となり、18世紀にビルマ軍によって破壊されました。プラーン(仏舎利塔)と巨大な僧院群が残り、往時の壮麗さを伝えている、とされています。登録基準は(iii)、登録範囲は289ヘクタールです。

芸術局のアユタヤ歴史公園の公式サイトは、もう少し具体的です。市街の中心はチャオプラヤー川・パーサック川・ロッブリー川の3本の川に囲まれた中州で、その内外に300か所を下らない遺跡があると書かれています。1350年(仏暦1893年)にラーマティボディ1世(ウートン王)が都を開き、34代の王が続き、1767年(仏暦2310年)に隣国の侵攻で終わるまで417年続いた、という説明です。王宮跡、宗教施設、古い橋、古い商業地区、外国人居留地の跡までが含まれます。

バンコクからアユタヤへの行き方

芸術局の公式ページは、道路・鉄道・水路の3通りを挙げています。

  • 道路 — バンコクから国道1号(パホンヨーティン通り)を北へ、プラトゥーナム・プラインを過ぎて国道32号に入り、国道309号を左折してアユタヤ市街へ。ほかに国道304号(チェーンワッタナー通り)や302号(ガームウォンワーン通り)から306号(ティワーノン通り)へ入り、ノンタブリー橋を渡ってパトゥムターニー方面へ抜ける経路も示されています。
  • 鉄道 — 北線と東北線の列車がアユタヤ県内を通り、バーンパイン郡、プラナコーンシーアユタヤ郡、パーチー郡に駅があると書かれています。始発駅・時刻・運賃はタイ国鉄の公式サイトで確認してください。
  • 水路 — チャオプラヤー川をさかのぼる船の旅も一般的だと同じページは説明しています。川沿いの暮らしを見ながら行けるのが理由として挙がっています。

問い合わせ先も公式に出ています。アユタヤ歴史公園事務所は035-245123〜4、公園の案内は035-242286、タイ国政府観光庁アユタヤ事務所は035-246076〜7または1672です。観光警察は全国共通の1155です。

アユタヤの開いている時間と、入場料が食い違っている話

芸術局のアユタヤ歴史公園の公式ページは、年中無休で8時から18時までと書いています。入場料は同じページに、タイ国籍が1人10バーツ・通し券40バーツ、外国籍が1人80バーツ・通し券300バーツと出ています。

ところが、同じ芸術局の別の公式ページでは、外国籍の料金が40バーツと書かれています。どちらも省庁の公式サイトです。背景として、2025年5月27日付の官報で、登録済み遺跡と国立博物館の入場料を定める省令の改正(第2号・仏暦2568年)が公示され、料金表そのものが差し替えられたことが芸術局から告知されています。改正の施行は公示の翌日からです。

どちらの数字が現行なのかは、公式ページの記載だけでは判断できません。金額は窓口の掲示で確かめてください。「通し券(バットルアム)」と「1か所ずつの券(バットプリーク)」が分かれている仕組みだけは、どちらのページでも共通しています。複数の遺跡を回るなら通し券のほうが安くなります。

スコータイは券が3つの区画に分かれる

スコータイは13世紀から14世紀のシャム最初の王国の都で、タイ建築の始まりを示す遺構が残ります。「スコータイ様式」と呼ばれる様式が生まれた場所だとユネスコは説明しています。登録基準は(i)と(iii)、範囲は11,852ヘクタールで、複数の構成資産からなる連続資産です。

芸術局のスコータイ歴史公園の公式ページによると、料金を取る区画が3つに分かれています。

区画タイ国籍外国籍
内側の遺跡区(中心部)20バーツ200バーツ
北側の外郭区(ワット・シーチュム、ワット・プラパーイルアン)20バーツ120バーツ
西側の外郭区(アランヤック地区)20バーツ120バーツ
3区画の通し券40バーツ400バーツ

開いている時間も区画で違います。中心部は月曜から金曜と日曜が6時30分から19時30分、土曜は6時30分から21時まで(遺跡のライトアップがあります)。アランヤック地区は毎日8時から16時30分、ワット・シーチュムとワット・プラパーイルアンは毎日7時30分から17時30分です。事務所は毎日8時30分から16時30分です。

同じページには入場料が免除される人も挙がっています。制服を着ているか学生証を示す学生、事前に文書で申請した官公庁と教育機関、宗教を問わず聖職者、60歳以上の人です。区画ごとに車両の持ち込み料金もあり、自転車10バーツ、オートバイ20バーツと書かれています。

スコータイと一緒に登録された2つの町

この物件の正式名は「スコータイと関連する歴史都市群」で、スコータイ市街だけではありません。芸術局は次の2か所も歴史公園として公開しています。

  • シーサッチャナーライ歴史公園(スコータイ県シーサッチャナーライ郡)— 毎日8時から17時。タイ国籍20バーツ、外国籍200バーツ。電話055-450714。公式ページによると、スコータイ市街から国道101号をサワンカローク方面へ約55キロです。
  • カムペーンペット歴史公園(カムペーンペット県ムアン郡)— 官公庁の休日と祝日も含めて毎日8時から16時30分。タイ国籍20バーツ(通し券30バーツ)、外国籍200バーツ(通し券300バーツ)。電話055-854736〜7。

森の3か所は、入れる場所と入れない場所がある

タイの自然遺産3件は、性格がかなり違います。ここを混同すると、行っても入れないということが起きます。

ドンパヤーイェン・カオヤイ森林群

ユネスコの説明では、東のカンボジア国境にあるターップラヤー国立公園から西のカオヤイ国立公園まで230キロにわたって広がり、範囲は615,500ヘクタール。動物は800種を超え、うち哺乳類112種(テナガザル2種を含む)、鳥類392種、爬虫類と両生類200種が確認されています。登録基準は(x)です。

この中で観光の入口になるのがカオヤイ国立公園です。国立公園野生動植物保全局が公示した入園料の区分では、カオヤイは第2グループ(全国55か所)に入り、タイ国籍は子ども20バーツ・大人40バーツ、外国籍は子ども100バーツ・大人200バーツです。この料率は2021年12月9日公布の規則にもとづき、2022年6月7日から適用されています。

ケーンクラチャン森林群

マレー半島へ続くテナセリム山脈のタイ側にあり、範囲は408,940ヘクタール。ヒマラヤ、インドシナ、スマトラの動植物区系が交わる位置にあるため生物の種類が多く、ネコ科が8種(トラ、スナドリネコ、ヒョウ、アジアゴールデンキャット、ウンピョウ、マーブルキャット、ジャングルキャット、ベンガルヤマネコ)生息するとユネスコは記しています。

入口になるケーンクラチャン国立公園は、保全局の区分では第3グループ(全国9か所)で、タイ国籍は子ども30バーツ・大人60バーツ、外国籍は子ども150バーツ・大人300バーツです。同じ第3グループにはカンチャナブリーのエラワン国立公園も入っています。滝のほうのエラワンについてはエラワンの廟・滝・博物館の見分け方で切り分けて書いています。

車を持ち込む場合の料金は別立てで、四輪30バーツ、六輪100バーツ、六輪を超え十輪までは200バーツ、オートバイ20バーツと公示されています。

トゥンヤイ・ホアイカーケン野生生物保護区

ここだけは国立公園ではなく野生生物保護区です。ミャンマー国境沿いに60万ヘクタール以上、登録範囲は622,200ヘクタールで、東南アジア大陸部のほぼ全ての森林型を含み、この地域の大型哺乳類の77パーセント、大型鳥類の50パーセント、陸生脊椎動物の33パーセントが生息するとユネスコは記しています。カンチャナブリー県、ターク県、ウタイターニー県にまたがります。

観光地として自由に歩ける場所ではありません。保全局は、ホアイカーケン野生生物保護区について2026年8月6日から区域を一時閉鎖したと告知しています(職員がトラに襲われて亡くなった件を受け、安全対策のためとされています)。追悼行事のために特例で開放した期間があった、という形の発表です。行きたい場合は、まず保全局に入域の可否を問い合わせてください。

東北部の2か所 ― バンチェンとプープラバート

バンチェン遺跡(ウドンターニー県ノーンハーン郡)は、東南アジアでこれまでに見つかった中で最も重要な先史時代の集落と位置づけられています。この地域における農耕の最も古い証拠と、金属の製造・使用の証拠が出た場所です。登録は1992年、基準は(iii)、範囲は30ヘクタール(緩衝地帯760ヘクタール)です。

現地のバンチェン国立博物館は、芸術局の公式ページによると水曜から日曜の9時から16時で、月曜と火曜は休みです。入場料はタイ国籍30バーツ、外国籍200バーツ。制服の学生、障害のある人、タイ国籍の高齢者、僧侶・沙弥・各宗教の聖職者は免除されます。電話は042-235040です。

プープラバート(ウドンターニー県バーンプー郡)は、ドヴァーラヴァティー期(7〜11世紀)の結界石(シーマ)の伝統を伝える場所として2024年に登録されました。上座部仏教の修行域を示す境界標は素材が地域によって違いますが、石を大量に使うのは東南アジアではコーラート台地だけだとユネスコは説明しています。原位置に残るドヴァーラヴァティー期のシーマ石としては世界最大の群で、47か所の岩陰に残る壁画が2000年以上の人の営みを示しています。歴史公園は毎日8時30分から16時30分、タイ国籍20バーツ、外国籍120バーツ、電話042-219-837です。バンコクから国道2号でウドンターニーまで564キロ、ナーカー村付近で国道2021号へ入り67キロ、と公式ページは案内しています。

シーテープはバンコクと東北部の途中にある

シーテープの古代都市(ペッチャブーン県シーテープ郡)は2023年の登録です。構成資産は3つで、堀に囲まれた内外2重の街、巨大なカオクラーンノーク遺跡、カオタモーラット洞窟遺跡から成ります。6世紀から10世紀に中部タイで栄えたドヴァーラヴァティーの建築・美術・宗教の多様さを示し、インドの影響を土地に合わせて作り替えた「シーテープ派」と呼ばれる様式が生まれ、のちに東南アジアの他の文明にも影響したとされています。登録基準は(ii)と(iii)です。

歴史公園は毎日8時から16時30分、タイ国籍20バーツ、外国籍120バーツ、電話056-921322。行き方は、国道21号(サラブリー〜ロムサック)の102キロ地点にあるシーテープ交差点から国道2211号へ右折し、約10キロと公式ページにあります。

南部の寺が新しく加わった

ナコンシータンマラート県のワット・プラマハータート・ウォラマハーウィハーンは2026年に登録されました。9件のうち最も新しく、範囲は5.356ヘクタールと最も小さい物件です。太平洋とインド洋のあいだの細い尾根の上にあり、8世紀の創建以来、この地域の主要な仏教の拠点であり続けてきたとユネスコは記しています。

海を越えた交易網の上にあったため、北東インド、ジャワ中部、スリランカ、南ミャンマーのモン地域から、バラモン教・ヒンドゥー教・大乗仏教・上座部仏教の影響を受け、それが建物・儀礼・文化に取り込まれました。1500年以上続く伝統として、ナコンシータンマラートの年代記の伝統、大塔に布を巻く年中行事、ノーラ舞踊劇が挙げられています。登録基準は(ii)と(vi)です。現役の寺なので、拝観の時間や作法は現地の掲示に従ってください。

行く前に決めておくこと

  • 何日かけるか — バンコク発の日帰りで届くのはアユタヤだけです。スコータイ、バンチェン、プープラバート、シーテープ、ナコンシータンマラートは、いずれも泊まりが前提になります。
  • 券の単位を確かめる — アユタヤもスコータイもカムペーンペットも、1か所ずつの券と通し券があります。回る数を先に決めておくと選びやすくなります。
  • 金額は窓口で見る — 上に挙げた金額は2026-09-01時点で各官庁の公式ページに出ていたものです。芸術局の管轄分は料金表の改正が公示されており、公式サイト内でも数字が一致していません。
  • 森は「公園」か「保護区」かを見る — 国立公園は入園料を払えば入れますが、野生生物保護区は入域の可否がそのつど変わります。
  • 寺と遺跡は信仰の場でもある — 肌の露出を抑えた服装のほうが確実です。

遺跡以外にもバンコクで文化に触れる方法はあります。今も続く興行を見るならバンコクでムエタイを観る、習う、遠出せずに一日過ごすならチョコレートヴィル、行く前に知っておくことが同じ「知る」ための記事です。出かける先の記事はおでかけの記事一覧からまとめて辿れます。

出典

このページの内容は 2026-09-01 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。