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タイの国旗、赤・白・青が意味するもの

タイの国旗は赤・白・青の5本の帯でできています。三色がそれぞれ何を指すのか、縦横の比率と帯の幅、この形になるまでの経緯、掲揚の時刻や扱いの決まりまでを、タイの法令と官庁の公開資料だけで整理しました。

この記事の要点

  • 赤は国(国民)、白は宗教、青は国王を指します。旗を定めたラーマ6世が与えた長いほうの言い方では、赤は国と宗教を守るために捧げられた血、白は宗教の清らかさ、青は国王ご自身の色です。
  • 国旗法は旗の形を幅6・長さ9の長方形と定め、5本の帯のうち真ん中の青だけを倍の幅にしています。上下も左右も対称なので、逆さに掲げても見た目が変わりません。
  • 赤・白・青の三色になったのは1917年で、第一次世界大戦に連合国側で参戦したことがきっかけです。この年の9月28日に下賜されたことにちなみ、毎年この日が国旗下賜の日とされています。
  • 掲揚と降納を行う場所では、原則として8時に上げ、18時に下ろします。旗の前で人が立ち止まっていたらその最中なので、終わるまで待つほうが角が立ちません。
  • 国旗の扱いには罰則があり、包装や商品に旗や旗の色の帯を表示できるのは、国の機関が行う場合など限られた場合だけです。土産物の柄として自由に使えるものではありません。

タイの街では、役所の門にも、学校の校庭にも、寺の入口にも、赤・白・青の横縞の旗が立っています。タイ語ではこの旗をธงไตรรงค์(トン・トライロング=三色の旗)と呼びます。国旗法(仏暦2522年法)の第5条が「国旗」の形を定めたうえで、「この国旗は別名『ธงไตรรงค์』ともいう」と書いているので、これは通称ではなく法律に載っている呼び名です。

このページでは、三色がそれぞれ何を指すのか、縦横の比率と5本の帯の幅がどう決まっているのか、今の形になるまでに何があったのか、そして掲揚の時刻や扱いの決まりまでを、タイの法令と官庁が公開している資料だけをもとに整理しました。

赤・白・青が指しているもの

三色の意味には、説明の粒度が違う2通りの言い方があります。どちらもタイの公的機関が出しているもので、矛盾しているわけではありません。

ラーマ6世が自ら与えた意味

三色旗をデザインしたのはラーマ6世(ワチラーウット王)です。タイ国会図書館と国会博物館の解説は、王が定めた色の意味をそれぞれ次のように記しています。

タイ語の原文意味
เลือดอันยอมพลีเพื่อธำรงรักษาชาติและศาสนา国と宗教を守るために進んで捧げられた血
ความบริสุทธิ์แห่งศาสนา宗教の清らかさ
สีส่วนพระองค์ของพระมหากษัตริย์国王ご自身の色

学校や役所でよく使われる短い言い方

タイ広報局の解説は、同じラーマ6世の定めを「赤は国(=国民)、白は宗教、青は国王」と三語でまとめています。タイで「国旗の意味は?」と聞いたときに返ってくるのは、たいていこの短いほうです。長いほうを縮めたのがこれだと考えると、両方が腑に落ちます。

白が指す「宗教」は、タイでは実際には仏教が中心です。旗と仏像を並べて飾るときの決まりまで法令にあり、その点は後ろの節で触れます。仏像そのものの見方はタイの仏像についてにまとめています。

縦横の比率と、5本の帯の幅

国旗法第5条(1)は、国旗の形をかなり細かく決めています。原文は「幅6、長さ9の長方形」とし、幅(=短いほう)を旗の長さいっぱいに5本の帯に分けると書いています。

場所幅(全体を6としたとき)
いちばん外側(上)1
その内側(上)1
真ん中濃い青(สีน้ำเงินแก่)2
その内側(下)1
いちばん外側(下)1
  • 全体の比率は6:9。約分すると2:3で、横のほうが長い長方形です。
  • 真ん中の青だけが幅2で、ほかの4本の倍あります。青は旗の高さの3分の1、赤と白はそれぞれ6分の1です。
  • 帯の並びが上下対称なので、上下を逆さに掲げても見た目が変わりません。左右を裏返しても同じです。「逆さ吊り」が起きない形になっています。

手元の旗が正しい比率かどうかを測りたいときは、短辺を6等分してみると早く分かります。真ん中の青が2目盛りぶんなければ、法律の形とは違うものです。

「濃い青」の呼び方は途中で変わっている

青の帯を指すタイ語は、法律の版によって違います。1936年の国旗法はสีขาบ(カープ)と書き、1979年の現行法はสีน้ำเงินแก่(ナムグン・ケー=濃い青)と書いています。どちらも同じ濃い青を指す言い方で、色そのものが変わったわけではありません。ただ、古い資料と新しい資料で語が違うため、タイ語で調べていると別の色の話に見えることがあります。両方を同じものとして読んでおくと混乱しません。

ちなみに現行法は、王室関係の旗の地色にもสีขาบという語を残して使っています。国旗の帯だけが新しい語に置き換わった格好です。

色味はどこまで決まっているのか

国旗法は「赤」「白」「濃い青」としか書いていません。そのため長いあいだ、色の濃さは作り手によってばらついていました。タイ国会図書館の解説によると、2017年に首相府が「国旗法にもとづく国旗の図」という告示を出し、国旗の色の測定値を「推奨値」として示しました。義務としての指定ではなく、あくまで推奨値という位置づけです。具体的な数値は告示の原文に表として載っているので、正確な色を再現する必要がある場合は告示そのものを確認してください。

色の数値とは別に、国旗法第44条は首相または首相が委任した官庁が、この法律の定める形に合う旗の見本を作っておくことを求めています。文字で書かれた規格、実物の見本、色の推奨値という三段構えで、同じ旗が作られるようにしてある形です。

この形になるまでに起きたこと

タイの旗は、はじめから三色だったわけではありません。国会図書館と国会博物館の解説をたどると、次のように移り変わっています。

  1. アユタヤ時代 — 無地の赤い旗を国の旗として使っていました。
  2. ラーマ1世 — 官船と民間船が同じ赤い旗では見分けがつかないため、官船用に赤地へチャクリー王朝の印である白い輪(チャクラ)を加えました。官船と民間船の旗が分かれた最初です。
  3. ラーマ2世 — 白象を3頭得たことにちなみ、官船用の白い輪の中に白象を描き加えました。民間船は無地の赤のままです。
  4. ラーマ4世 — 民間船の無地の赤が他国の旗と紛らわしいとして、民間船は赤地に白象、官船は濃い青地に白象としました。
  5. ラーマ5世 — 旗に関する法律が続けて作られ、1910年の法律で国旗は赤地に白象と定められました。
  6. 1916年 — ラーマ6世が、遠くから見ると官庁旗と区別しづらいこと、中央の象の姿が十分に威厳のあるものではないことを理由に改正し、その後、赤と白の5本縞の旗を使うようになりました。
  7. 1917年 — タイが第一次世界大戦に連合国側で参戦し、各国の国旗の多くが3色であったことから、白の内側にあたる中央を濃い青に変える改正が行われました。ここで「ธงไตรรงค์」が生まれます。
  8. 1936年 — 仏暦2479年の国旗法が、幅6・長さ9という今と同じ比率を明文化しました。
  9. 1979年 — 現行の国旗法(仏暦2522年法)が成立。1979年4月22日に裁可され、官報(ราชกิจจานุเบกษา)第96巻第67号の特別号(同年4月30日)に掲載されました。この法律が1936年の国旗法とその改正法をすべて廃止し、現在に至ります。

つまり、赤・白・青の三色になってから100年以上、比率が今の形に定まってからも長い年月が経っています。

現行法は、旧法をきれいに整理して置き換えています。第3条で仏暦2479年(1936年)の国旗法と、その後の第2次(1938年)・第3次(1940年)・第4次(1942年)の改正法をすべて廃止し、第2条で「官報に掲載された日の翌日から施行する」と定めました。掲載が1979年4月30日ですから、現行の国旗法は同年5月1日から効いていることになります。

9月28日は国旗が生まれた日

タイ広報局の案内によると、閣議は2016年9月20日に、毎年9月28日を「国旗下賜の日(วันพระราชทานธงชาติไทย/Thai National Flag Day)」とすることを了承しました。1917年のこの日にラーマ6世が三色旗を国旗として下賜したことにちなむもので、この日に国旗を掲揚し、飾ることもあわせて定められています。

なお、この案内には休日にするという記述はありません。旅行の日程に関わる場合は、その年の公式の祝日一覧で確かめてください。

「バンコクの国旗」というものはあるのか

「バンコク 国旗」で調べてたどり着いた方への答えは、はっきりしています。バンコク独自の国旗は存在しません。

国旗法第5条は「タイ国およびタイ民族を意味する旗」として、国旗海軍旗の2つだけを挙げています。県や市の旗がこの枠に入ることはありません。ですから、バンコクの街角で見かける赤・白・青の旗は、すべてタイ全体の国旗です。

一方で、自治体としてのバンコク都は、国旗とは別に都の紋章を使っています。どんな図案かはバンコク都の公式サイトで確認してください。バンコクという街の名前そのものの話はバンコクの正式名称についてで扱っています。

朝8時と夕方6時に起きていること

国旗の掲げ方は、国旗法第45条を受けた首相府規則(仏暦2529年規則、仏暦2546年改正)が決めています。旅行者にも関係するところを抜き出すと、次のとおりです。

  • 官庁・公営企業・その他の国の機関は、庁舎の敷地内の適切な場所に、毎日、終日国旗を掲げます(規則第15条第1項)。
  • それとは別に掲揚・降納を行う場所では、原則として8時に掲揚し、18時に降納します(同条第2項)。軍の施設・車両は軍の規則に従い、航海中の船は船乗りの慣習に従います。
  • 掲揚・降納に合わせて曲や合図がある場合は、曲や合図が終わるのと同時に、旗を上げ切る/下ろし切ると定められています(規則第9条(5))。旗はゆっくり、一定の速さで動かします。
  • 半旗にするかどうかは各機関の判断ではありません。外務省・宮内庁などから内閣事務局に伝え、首相が指示を出し、それが各省庁へ伝達される仕組みです(規則第14条)。掲げるときはいったんポールのてっぺんまで上げてから下ろします(規則第10条)。

掲揚そのものの作法も条文になっています。旗を上げる役の人は身なりを整えること、時刻が近づいたら旗をロープに結びつけて自分の右側に用意しておくこと、上げるときも下ろすときもロープをたるませず一定の速さで動かすこと、が第9条に並んでいます。ポールの高さや太さ、置く場所、旗の大きさは条文で一律に決めず、局レベルの長や建物の管理者が、その場所にふさわしく見えるように判断するとされています(規則第8条)。

国旗と他の旗をまとめて並べるときの位置も決まっています。国旗を含めた本数が奇数なら国旗は真ん中、偶数なら真ん中の右側です(規則第19条)。在外のタイ大使館・領事館でも同じ考え方を準用し、国際慣習や現地の慣行も踏まえて掲げることになっています(規則第16条)。

朝と夕方に旗の前で人が立ち止まっている場面に出会ったら、掲揚・降納の最中です。通り過ぎるより、終わるまで待つほうが角が立ちません。

扱いの決まりと、破ったときの罰

国旗の扱いには、規則と罰則の両方があります。日本の感覚で「旗の柄の布」を扱うと行き過ぎになることがあるので、要点だけ押さえておくと安心です。

  • 国旗は敬意をもって扱い、侮辱したり、タイの名誉を損なうような扱いをしてはならない(規則第6条)。
  • 掲げる旗は状態のよいものでなければならない。破れていたり、色があせすぎたものは使わない(規則第7条)。
  • 他の旗と並べるとき、国旗を他の旗より低い位置にしてはならない。通常は右側の最初のポールに国旗を置く(規則第18条。王室の位を示す旗は例外)。
  • 儀式で仏像・王族の肖像と一緒に飾るときは、仏像を中心に、国旗をその右側、王族の肖像を左側に配置する(規則第20条)。
  • 外国旗と並べるときは、旗の大きさ・色・ポールの高さを対等にする。外国旗が1つなら、国旗はその右側に並べる(規則第21条・第22条)。
  • 包装・箱・包み・商品などに国旗や旗の色の帯を表示できるのは、国の機関が行う場合、商務省または工業省が委任した機関の同意を得た商業目的の場合、そのほか委員会の同意を得た場合に限られます(規則第15条の2)。土産物の柄として自由に使えるものではありません。

罰則は国旗法の第10章にまとまっています。

行為
第48条第45条(首相府規則に従うこと)に違反した2年以下の拘禁または4,000バーツ以下の罰金、もしくは併科
第51条権利がないのに法定の旗またはそれに似た旗を使用・掲揚・表示した1年以下の拘禁または2,000バーツ以下の罰金、もしくは併科
第52条容器・箱・包み・結束材などに旗や旗の色の帯を不適切に用いた6か月以下の拘禁または1,000バーツ以下の罰金、もしくは併科
第53条旗に文字・数字・記号を加える、不適切な場所や方法で掲げるなど1年以下の拘禁または2,000バーツ以下の罰金、もしくは併科
第54条旗・旗の複製・旗の色の帯を侮辱する行為6か月以下の拘禁または1,000バーツ以下の罰金、もしくは併科

金額は法律に書かれた上限で、実際に問われるかどうかは事案によります。国旗の柄が入った衣類や小物をタイで身につけること自体を禁じる条文はありませんが、上の第52条・第53条・第54条が「不適切」「侮辱」を広く拾う書き方になっている点は知っておいてください。

よく似ているけれど別の旗

タイでは、国旗とそっくりな配色の旗をいくつか見かけます。国旗法はそれぞれ別の旗として定義しています。

  • 海軍旗(ธงราชนาวี) — 国旗と同じ配色の中央に赤い円があり、その中に、飾りをつけて台に立つ白象が旗竿のほうを向いて描かれています。円の直径は旗の幅の6分の4で、円のふちが赤い帯に接します(第5条(2))。
  • 大使旗(ธงราชทูต) — 国旗と同じ配色の中央に濃い青の円があり、その中に飾りをつけて台に立つ白象が描かれています。円の直径は旗の幅の3分の2。信任状を受けた在外公館の長が使います(第43条(6))。
  • 領事旗(ธงกงสุล) — 大使旗とよく似ていますが、円の中の白象に飾りがありません。領事機関の長が使います(第43条(7))。

港で白象入りの旗を見たらまず海軍の旗、公館の車で見たら大使旗か領事旗、と見分けられます。

黄色い旗が上がっているとき

国旗法は、三色旗とは別に王室の旗も定めています。地色が黄色い旗を見かけたら、こちらの系統です。

  • ธงมหาราชใหญ่(国王大旗) — 正方形で、地色は黄色、中央に赤いガルーダ(ครุฑพ่าห์)が描かれます(第6条(1))。
  • ธงมหาราชน้อย(国王小旗) — 長さ方向に2つに分かれ、前半は国王大旗と同じ図柄、後半は白い細長い吹き流しで、先が燕尾に切られています。この旗が国王大旗の代わりに掲げられているときは、礼砲を省く旨の思し召しがあるという意味になります(第6条(2))。
  • ธงราชินีใหญ่(王妃大旗) — 幅2・長さ3の長方形で地色は黄色。手前の3分の2は国王大旗と同じ図柄、先は燕尾に切られています(第7条(1))。

このほか、王太子・王女・摂政などにもそれぞれの旗があり、規格が条文で細かく決められています。首相府規則に従うことを求めているのは第5条の旗(国旗・海軍旗)ですが、罰則の第53条は第5条の旗に加えて第6条の国王の旗も対象にしています。

タイで外国の旗を掲げるとき

在住者や、タイでイベントを開く方に関わる話です。国旗法は、タイ国内で掲げてよい外国の旗の種類と、掲げてよい場所を限定しています(第46条)。

  • 掲げられるのは、外国の国旗、海軍旗または艦隊旗、国王・王妃・王配・王位継承者の旗、国家元首や政府の長を示す旗、外交使節団の長や領事機関の長を示す旗、外国の国家の旗、タイ政府が加盟している国際機関の旗、そのほか首相の許可を得た旗に限られます。
  • 掲げてよい場所も、来訪中の国王・元首・政府の長などの滞在先や乗り物、外交使節団や領事機関・国際機関の事務所、その長の住居や乗り物、外国や国際機関の船舶・航空機、そのほか首相が告示または許可した場所、と列挙されています。
  • ただし建物の室内で掲げる場合は、この制限は適用されません(第47条)。店内の装飾として万国旗を飾るような場合が、これに当たります。

罰則もあり、第46条第1項で認められていない外国の旗を使用・掲揚・表示した場合は1年以下の拘禁または2,000バーツ以下の罰金(第49条)、認められた旗でも場所や方法の定めに従わなかった場合は1か月以下の拘禁または1,000バーツ以下の罰金(第50条)と書かれています。屋外に外国の旗を出す予定があるなら、事前に確認しておいたほうが安全です。

旗のほかにもある国の象徴

国の象徴は旗だけではありません。式典や年中行事で目にする衣装も、色や形に決まりごとを持っています。あわせて読むならタイの民族衣装についてが近い話題です。タイという国そのものの成り立ちや文化に関する記事はタイという国を知るからたどれます。

出典

このページの内容は 2026-08-31 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。