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タイの民族衣装、女性の8種類と男性の3種類

タイの民族衣装チュットタイは、女性の8種類と男性の3種類が名前も着る場面も決まっています。それぞれの読み方と使いどころ、タイ語での呼び方、絹に付く孔雀のマーク、王宮に入るときの服装の決まり、実物を見られる場所を公式資料で整理しました。

この記事の要点

  • タイの民族衣装チュットタイは、女性用が8種類、男性用が3種類あり、それぞれ名前も形も着る場面も決まっています。
  • どれを着るかは、行き先が昼の式典か夜の宴か、正装の指定があるかでほぼ決まります。男性は袖と腰帯で格が変わり、腰帯を締める長袖がいちばん改まった扱いです。
  • 絹に付いている孔雀のマークは、色まで見て初めて意味が決まります。金は在来種の糸と昔ながらの手仕事、緑は絹に他の繊維を混ぜたもので、マークがあれば手織りの高級品というわけではありません。
  • 女性の8種類は、1960年の外国公式訪問にあたって国の装いが無かったことから、シリキット王妃が古い宮廷の装いを研究させて作らせたものです。最初に公開されたのは5種類でした。
  • 王宮は袖なしのシャツや短パン、ミニスカートでは入れません。8種類の実物は敷地内のシリキット王妃織物博物館で見られ、公式サイトの表示は大人150バーツ、9時から16時30分までです。

場所

シリキット王妃織物博物館

พิพิธภัณฑ์ผ้าในสมเด็จพระนางเจ้าสิริกิติ์ พระบรมราชินีนาถ / Queen Sirikit Museum of Textiles

Ratsadakorn-bhibhathana Building, The Grand Palace, Phra Nakhon, Bangkok 10200

MRTサナームチャイ駅から直線で約950m

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Google マップで開く(緯度 13.751999 / 経度 100.4907206)

王宮(ザ・グランドパレス)

พระบรมมหาราชวัง / The Grand Palace

Na Phra Lan Rd, Phra Borom Maha Ratchawang, Phra Nakhon, Bangkok 10200

MRTサナームチャイ駅から直線で約650m

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Google マップで開く(緯度 13.7493514 / 経度 100.4918643)

結婚式に招かれたとき、寺の行事に出るとき、職場で「タイの装いで」と言われたとき。タイで暮らしていると、民族衣装が急に自分ごとになる日がやってきます。タイの民族衣装はチュットタイ(ชุดไทย)と呼ばれ、女性用が8種類、男性用が3種類、それぞれ名前も形も着る場面も決まった形で残っています。チュムポーン第2初等教育事務所が公開している「คลังความรู้ชุดไทย(チュットタイの知識庫)」は、タイの各地方の人が人生の節目や折々の行事でチュットタイを着ると書いています。

このページでは、その8種類と3種類が何なのか、タイ語でどう呼ぶのか、絹の良し悪しをどう見分けるのか、王宮や寺に入るときは何を着ればいいのか、実物をどこで見られるのかを、タイの官庁と王室関係機関が公開している資料だけをもとに整理しました。どの店で買うか借りるかという評価は扱いません。

チュットタイという呼び名と、国の遺産としての扱い

女性用の正装をまとめた呼び名がชุดไทยพระราชนิยม(チュットタイ・プララーチャニヨム)です。「王室が定めたタイの装い」という意味合いの言い方で、8種類がひとつの体系になっています。

タイ下院事務局の議会図書館が公開している解説によると、この8種類は国の無形文化遺産として一覧に載っています。文化振興局の告示に基づくもので、官報(ราชกิจจานุเบกษา)の第141巻・特別号27、2024年1月29日付で公示されました。分野は「แนวปฏิบัติทางสังคม พิธีกรรม ประเพณี และเทศกาล(社会的な慣習・儀礼・祭礼)」に分類されています。タイ広報局の説明では、国の一覧に載った無形文化遺産は396件あり、チュットタイ・プララーチャニヨムは2023年から名を連ねています。

8種類が生まれた経緯

議会図書館の解説はこう書いています。1960年、シリキット王妃(当時)がラーマ9世に同行してアメリカとヨーロッパを公式に訪問することになりました。ところが当時のタイの女性には、インドのサリーや日本の着物にあたる「国の装い」がありませんでした。

そこで王妃は、詳しい人に尋ね、歴史を細かく調べさせたうえで、専門家に古い宮廷の女性の装いを研究させ、それを現代の仕立て方と組み合わせて設計させました。着やすさと時代への合わせ方を保ちながら、タイらしさを損なわないことがねらいだったと同じ解説は述べています。

最初に写真集『หญิงไทย(タイの女性)』で公開されたのは5種類でした。広く着られるようになったあとで3種類が加えられ、合わせて8種類になっています。1982年7月号の『Vogue』誌に王妃のタイ装束の写真が載り、これをきっかけにタイの布が国の内外で広く知られるようになった、とも書かれています。

女性の正装は8種類

名前と使いどころは、議会図書館の解説とタイ上院の解説がほぼ同じ内容で説明しています。並び順は資料によって前後するので、順位ではなく用途の違いとして読んでください。

タイ語の名前読み方どんな場面のものか
ชุดไทยเรือนต้นチュットタイ・ルアントンくだけた場のふだん着。式典でない集まり、船遊びや滝への外出など
ชุดไทยจิตรลดาチュットタイ・チットラダー昼の式典。外国の賓客を公式に迎える場など。勲章は付けない
ชุดไทยอมรินทร์チュットタイ・アマリン夜の式典。ベルトを締めない形。宴席や観劇など
ชุดไทยบรมพิมานチュットタイ・ボロムピマーンベルトを締める夜の式典。正装・半正装の指定がある場
ชุดไทยจักรีチュットタイ・チャクリースバイ(肩掛け)で片方の肩を出す形。夜の会や婚礼
ชุดไทยดุสิตチュットタイ・ドゥシット袖のない上衣。正装が指定された夜の王室行事
ชุดไทยจักรพรรดิチュットタイ・チャクラパット大綬を掛ける最上位の正装。特別に定められた王室の儀式
ชุดไทยศิวาลัยチュットタイ・シワーライ重ね着の形。夜の宴、婚礼の祝い、正装の式典。涼しい時期に向く

形のちがいはどこに出るか

8種類は「布」「上衣と巻きスカートがつながっているか」「肩をどう覆うか」「ベルトを締めるか」の4か所で分かれます。チュムポーン第2初等教育事務所の資料には、それぞれの仕立てがかなり細かく書かれています。

  • ルアントンは木綿か絹で、縞か無地に縁取りのある布を使います。巻きスカート(ซิ่น)は足首まで、前で合わせる形。上衣は別仕立てで七分袖、前開き、ボタン5個、浅い丸首で立ち襟は付けません。
  • チットラダーは縁取りのある無地の絹か、全面に地紋のある絹。上衣は長袖・前開き・丸首で、低い立ち襟が付きます。ここが最も見分けやすい点です。
  • ボロムピマーンは上衣とスカートをひと続きに仕立て、前に襞と垂れ(ชายพก)を作り、タイのベルトを締めます。すらりとした体型に向く、と同資料は書いています。
  • チャクリーは上半身がスバイ(สไบ)で、片方の肩を出し、掛けた布の端を背中に長く垂らします。スカートと縫い合わせても、別布を掛けてもかまいません。
  • ドゥシットは袖がなく、前後の襟ぐりを広く低めに取り、背中で開けます。真珠やビーズ、スパンコールで模様を刺します。
  • チャクラパットは、まず色の違う襞の掛け布を重ね、その上から刺繍の掛け布をもう一枚重ねる二重の重ね着です。
  • シワーライはボロムピマーンに近い仕立てに、下地の掛け布を省いて刺繍の布を重ねます。

男性の装いは3種類

男性用はชุดพระราชทาน(チュット・プララーチャターン)、または上衣だけを指してเสื้อพระราชทาน(スア・プララーチャターン)と呼ばれます。「下賜された装い」という意味です。

タイ芸術局の解説は、形をこう定義しています。立ち襟、前開き、ボタン5個。多くはタイの布で仕立て、上品な色か上衣と同じ色のズボンと合わせます。

3種類の使い分け

タイ語の名前着る場面
แบบแขนสั้น半袖淡い色か上品な柄で、ふだんの場や勤務、昼の式典。夜の式典では濃い色も使える
แบบแขนยาว長袖淡い色か柄物で昼の式典。夜の式典では濃い色
แบบแขนยาวคาดเอว長袖に腰帯格の高い式典。3種類のなかでいちばん改まった扱い

細かい寸法まで決まっています。立ち襟の高さは約3.5〜4センチ、前立ての幅は約3.5センチ。ボタンは平たい丸型で、上衣と同じ色か近い色の布でくるみます。ポケットは付けても付けなくてもよく、付けるときは半袖なら左右に1つずつ、長袖なら上は左に1つ・下は左右に1つずつ。長袖の袖口には同じ布を幅4〜5センチで当てます。腰帯を締める形では、帯を着る人から見て左側でしっかり結ぶと定められています。

いつからあるものか

芸術局の解説によると、この装いを言い出したのはプレーム・ティンスーラーノン氏で、クリアンサック・チャマナン内閣で国防大臣を務めていたころのことです。外国を訪れた際、各国の代表がそれぞれ国の装いを持っているのに、古い歴史を持つタイにはそれがないと気づいたのが始まりでした。シリキット王妃に相談を上げ、ラーマ9世からチュット・プララーチャターンを賜ります。本人は2004年の講演で「私はこのタイの装いの形を、陛下の御手から直接いただいた」と述べています。

公の場で初めて着たのは1979年、「22カラカダー環状交差点」60周年の式典でした。同じ年に議会にも着ていき、新聞各紙が取り上げています。そして1980年9月16日、プレーム氏が首相を務める内閣が「เสื้อชุดไทย」すなわち「เสื้อไทยพระราชทาน」を公務員の服装として認め、洋装の代わりに使えるとしました。理由は節約と、タイの気候への合わせやすさです。あわせて洋装と同等の礼装として扱うことになり、法曹会の会員が法廷で着ることもできるようになりました。

タイ語でどう呼ぶか

店や仕立て屋でのやりとり、寺や式典の案内で出てくる言葉をまとめます。読みはおおよその目安です。

タイ語読み意味
ชุดไทยチュットタイタイの装い全般。民族衣装を指すいちばん短い言い方
ชุดไทยพระราชนิยมチュットタイ・プララーチャニヨム女性用の8種類をまとめた呼び名
เสื้อพระราชทานスア・プララーチャターン男性用の上衣。立ち襟でボタン5個のもの
ผ้าซิ่น/ซิ่นパーシン/シン筒状に仕立てた巻きスカート
สไบスバイ肩に掛け、片方の肩を出す長い布
ชายพกチャーイポック前に作る襞の垂れ。正装の巻きスカートに出る
ผ้ายก/ยกทองパーヨック/ヨックトーン地紋を浮かせて織った布/金糸で織り出した布
เข็มขัดไทยケムカットタイ正装で締めるタイのベルト
ผ้าคาดเอวパーカートエウ男性用の腰帯
ผ้าไหมไทยパーマイタイタイの絹織物

絹に付いている孔雀のマーク

タイの絹を買うときの手がかりがตรานกยูงพระราชทาน(トラー・ノックユーン・プララーチャターン=下賜された孔雀のマーク)です。シリキット王妃養蚕局の説明では、シリキット王妃がタイの孔雀を品質証明の印として下されたもので、首相府が2004年2月16日に知的財産局へ証明商標として登録し、その後35か国へ登録を広げています。

色によって、何を保証しているかが変わります。

マークの色英語表示何を保証しているか
金(นกยูงสีทอง)Royal Thai Silk在来種のタイ蚕の糸と原料を使い、昔ながらの手仕事の作り方を守ったもの。染めは天然染料か環境に配慮した染料
銀(นกยูงสีเงิน)Classic Thai Silk伝統の作り方に、5馬力を超えない小さな動力までを認めたもの。在来種でも改良種でもよい
紺(นกยูงสีน้ำเงิน)Thai Silk純絹。織機の種類は問わず、現代の技術を使ってよい。染めは天然染料か環境に配慮した化学染料
緑(นกยูงสีเขียว)Thai Silk Blend純絹を主体に、天然繊維や合成繊維を混ぜたもの

つまり「孔雀のマークが付いている=すべて手織りの高級品」ではありません。色まで見て初めて意味が決まります。同じ孔雀でも、金と緑では作り方も原料もまるで違います。

王宮や寺に入るときに着てよい服

民族衣装そのものとは別に、実際に困りやすいのが観光地の服装の決まりです。王宮(The Grand Palace)は公式サイトで、入れない服装をはっきり列挙しています。

  • 袖なしのシャツ、ベスト
  • 丈の短いトップス、透ける素材のトップス
  • 短パン、ホットパンツ
  • 破れたパンツ、体に密着したパンツ、自転車用のパンツ
  • ミニスカート、キュロット
  • 寝間着のような服

公式サイトは理由も添えていて、「王宮はタイの人々にとって敬うべき場所だから、ふさわしい服装をしてください」と書いています。同じページによると、開門は毎日8時30分から16時30分、チケットの販売は15時30分まで。入場料は外国人が500バーツで、タイ国民は身分証の提示で無料です。

王宮の敷地にはエメラルド仏を安置するワット・プラケオがあります。仏像に対する作法や、写真を撮ってよい場所の考え方はタイの仏像についてにまとめています。この一帯がバンコクの始まりの場所であることは、バンコクの正式名称についてを読むと腑に落ちるはずです。

実物を見られる場所

8種類を実際に見たいなら、王宮の敷地内にあるシリキット王妃織物博物館(Queen Sirikit Museum of Textiles)があります。公式サイトの案内は次のとおりです。

項目公式サイトの表示
所在地ラーサダーコーン・ピパッタナ館(Ratsadakorn-bhibhathana Building)、The Grand Palace, Phra Nakhon, Bangkok 10200
開館毎日 9時00分〜16時30分(最終入館 15時30分)
入館料(大人)150バーツ
入館料(65歳以上)80バーツ
入館料(学生・要学生証/12〜18歳)各50バーツ
入館料(12歳未満)無料

同じページには「博物館の入館は王宮の入場料に含まれます」という一文と、上の料金表が並んで載っています。どちらの扱いになるかは窓口で確かめるのが確実です。館内は展示室での撮影が不可で、飲食と喫煙もできません。大きなベビーカー・リュック・傘は預ける決まりで、車椅子でも回れると案内されています。

建物にも由来があります。公式サイトの沿革によると、この館は1870年にラーマ5世が建てたもので、もとは財務省、のちに王室儀式の役所として使われていました。2003年にシリキット王妃が織物の博物館として使う許可を願い出て、ラーマ9世から下されたのがきっかけです。改修でタイ初の織物専門の修復室が設けられ、外観と内部の意匠は元のまま残されています。

ユネスコの審査を待っている段階

タイ広報局の発表によると、文化省はチュットタイをユネスコの無形文化遺産に登録するよう提案しています。提案の名称は「ชุดไทย: ความรู้ งานช่างฝีมือ และแนวปฏิบัติการแต่งกายชุดไทยประจำชาติ(チュットタイ ― 国の装いをめぐる知識、職人の技、着装の慣習)」です。

閣議がこの提案を了承したのは2024年3月26日で、審査は2026年に開かれる第21回の委員会で行われる予定だと同局は説明しています。結果がどうなったかは、タイ文化省とユネスコの公式発表で確認してください。議会図書館の解説も、文化振興局が2024年に提案を出したと同じ経緯を記しています。

買うとき・借りるときに確かめること

ここまでを、実際に選ぶ場面の順に並べ直しておきます。

  1. 行き先の格を先に決める。昼の式典なのか夜の宴なのか、正装の指定があるのか。女性なら8種類、男性なら3種類のどれに当たるかは、この一点でほぼ決まります。
  2. 男性は袖と腰帯で格が変わる。半袖はふだんの場と昼、長袖は昼の式典、腰帯を締める長袖がいちばん改まった扱いです。
  3. 絹は孔雀のマークの色まで見る。金・銀・紺・緑で保証している内容が違います。
  4. 王宮や寺に行く日は服装の決まりを先に読む。民族衣装を着るかどうかにかかわらず、袖なしや短パンでは入れません。

料金や開館時間、審査の進み具合は変わります。このページの数字は2026-08-31時点で各公式サイトに出ていたものなので、出かける前にもう一度公式サイトで見直してください。

タイらしさを表す色といえば国旗の赤・白・青ですが、その三色が何を指すのかはタイの国旗、赤・白・青が意味するもので法令に沿って整理しています。タイという国の成り立ちにまつわる記事はタイという国を知るから辿れます。

出典

このページの内容は 2026-08-31 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。