タイで飲食店を開くまでに通る手続き
会社の登記、店の営業許可、酒類の許可、就労許可、そして税務と会計。タイで飲食店を開くときに関わる役所と、公式に出ている手数料や期限を、一次情報だけで順にたどりました。
この記事の要点
- タイで飲食店を開くと、会社の登記・店の営業許可・酒の許可・就労許可・税金で、それぞれ別の役所に用事ができます。前の書類がないと次に進めない順番があります。
- 店の許可は営業面積で分かれます。200平方メートル以下なら区役所へ届け出て届出受理証を受け取り、超える場合は許可証を申請します。許可証の更新は期限が切れる90日前までです。
- 外国人が飲食店を営むには、外国人事業法にもとづく事業許可が要る場合があります。許可手数料は登録資本1,000バーツにつき5バーツで、下限20,000バーツ・上限250,000バーツです。
- 酒を客に出すなら物品税局の販売許可が別に要ります。1回10リットル未満の販売が種別2にあたり、手数料は年額で、付加価値税の登録事業者かどうかで2,000バーツと300バーツに分かれます。
- 年間の売上が180万バーツを超えると付加価値税の登録が要り、標準税率は7%です。法人税の標準税率は純利益に20%で、小規模法人には軽減があります。年次の申告は事業年度の末日から150日以内と歳入局が示しています。
タイで飲食店を開くとき、手続きは「役所ひとつに届ければ終わり」にはなりません。会社をつくる先、店の営業を許す先、酒を売る許可を出す先、外国人が働くことを許す先、税金を集める先が、それぞれ別の官庁です。しかも順番があり、前の書類がないと次に進めない場面が出てきます。
このページは、その全体像を公式に出ている情報だけでたどったものです。どの代行会社に頼むとよいか、どの立地が儲かるかといった評価は扱いません。金額と期限は変わるので、必ず各官庁の公式ページで見直してください。
関わる役所は5つに分かれます
飲食店を法人でやる場合、少なくとも次の窓口に用事ができます。
| やること | 行き先 |
|---|---|
| 会社の設立登記、決算書の提出 | 商務省 事業開発局(กรมพัฒนาธุรกิจการค้า/DBD) |
| 店を開く許可・届出 | 店のある区役所(バンコクなら สำนักงานเขต) |
| 酒を出す許可 | 財務省 物品税局(กรมสรรพสามิต) |
| 外国人の就労許可 | 労働省 雇用局(กรมการจัดหางาน) |
| 付加価値税・法人税 | 財務省 歳入局(กรมสรรพากร) |
タイ政府の手続情報センター(info.go.th)には、この一つひとつについて「担当部署・必要書類・手数料・標準処理時間」が公開されています。以下の数字はそこと、各官庁の公式ページから取りました。
会社をつくるところから始まります
非公開会社(บริษัทจำกัด)の設立登記は事業開発局が扱います。手続情報センターに出ている内容では、標準処理時間は1時間(書類の確認50分、審査25分、署名10分)とされています。手数料は次のとおりです。
- 会社設立の登記 … 5,000バーツ
- 登記済証明書 … 1通100バーツ
- 各種証明 … 5項目ごとに200バーツ
- 書類の写しの認証 … 1ページ50バーツ
提出する書類には、申請書(บอจ.1)、設立事項(บอจ.3)、取締役の詳細、株主名簿(บอจ.5)、発起人会議の招集通知と議事録、定款、株式払込の証拠、銀行が出す資力の書類などが並びます。書類の名前が番号で管理されているので、どれが足りないかは番号で確認すると早いです。
外国人が飲食店を持てるのかは、先に確かめる話です
タイでは外国人の事業に「外国人事業法(พระราชบัญญัติการประกอบธุรกิจของคนต่างด้าว พ.ศ. 2542)」がかかります。この法律は事業を別表1・2・3に分け、別表3にあたる事業を外国人が営むには、同法第17条による事業許可(ใบอนุญาตประกอบธุรกิจของคนต่างด้าว)が要ります。窓口は事業開発局の外国人事業管理部です。
手続情報センターに出ている、外国法人が別表3の事業について許可を申請する場合の数字は次のとおりです。
- 申請手数料 … 2,000バーツ
- 許可手数料 … 登録資本1,000バーツにつき5バーツ。下限20,000バーツ、上限250,000バーツ
- 標準処理期間 … 2か月
必要書類には、申請書(ต.2)、法人の証明書、委任状、代表者の身分証、所在地の書類、事業の内容を説明する文書、位置図、直近3年分の財務諸表などが挙がっています。自分がやろうとしている業態が別表のどこに当たるかは、店の形(客席のある飲食、持ち帰り専門、卸売の併営など)で変わります。ここは思い込みで決めず、事業開発局に確かめるべきところです。
店の営業許可は「200平方メートル」で2つに分かれます
飲食店そのものの許可は、公衆衛生法(พระราชบัญญัติการสาธารณสุข พ.ศ. 2535)と、食品販売場所の衛生に関する省令にもとづいて自治体が出します。バンコクなら店のある区役所です。分かれ目は面積です。
- 200平方メートル以下 … 届け出て「届出受理証(หนังสือรับรองการแจ้ง)」を受け取る
- 200平方メートル超 … 「許可証(ใบอนุญาต)」を申請する
手続情報センターの案内では、200平方メートル以下の届出の標準処理期間は6日とされています。
バンコクの手数料は区役所が公表しています。ラートプラーオ区の案内に出ている額は次のとおりです(2026-08-31 時点)。
| 種類 | 面積 | 手数料 |
|---|---|---|
| 許可証 | 営業面積300平方メートル以下 | 1通 2,000バーツ |
| 許可証 | 300平方メートル超 | 1平方メートルごとに5バーツ加算。合計3,000バーツを超えない |
| 届出受理証 | 営業面積10平方メートル以下 | 1通 100バーツ |
| 届出受理証 | 10平方メートル超 | 1平方メートルごとに5バーツ加算。合計1,000バーツを超えない |
更新も区役所の案内に書かれています。許可証の更新は様式 สอ.5 を使い、期限が切れる90日前までに申請して手数料を納めます。期限が切れてから申請すると過料がかかります。
必要書類として挙がっているのは、身分証と住居登録の写し、店舗の建物の住居登録、法人の場合は法人書類、家主の使用承諾書または賃貸借契約、委任状、食品を扱う従業員の健康診断書、衛生講習の修了証、位置図、他の官庁から受けた許可などです。賃貸借契約と家主の承諾がここで効いてくるので、物件を決める段階で「営業許可を取る名義」を家主と揃えておくと後戻りが減ります。
働く人が受ける衛生講習があります
タイでは飲食の現場に、経営する側(ผู้ประกอบกิจการ)と食品に触れる側(ผู้สัมผัสอาหาร)という区別があり、それぞれに衛生の講習が用意されています。保健省 健康局の食品・水衛生局(สำนักสุขาภิบาลอาหารและน้ำ)が、この2つの講習カリキュラムの手引きを公開しています。
区役所の必要書類にも「衛生講習の修了証」と「食品を扱う従業員の健康診断書」が並んでいるので、開店直前にまとめて取ろうとすると日程が詰まります。採用の段階で、誰がどちらの講習を受けるのかを決めておくほうが楽です。
酒を出すなら別の許可が要ります
酒類の販売は物品税局の許可です。手続情報センターの案内では、販売許可は1回の販売量で種別が分かれます。
- 種別1 … 1回あたり10リットル以上の販売
- 種別2 … 1回あたり10リットル未満の販売
客にグラスやボトルで出す飲食店は種別2にあたります。手数料は年額で、同じ種別2でも付加価値税の登録事業者かどうかで額が分かれ、公式ページには2,000バーツと300バーツという区分が示されています。
申請先は事業所を管轄する物品税事務所(สำนักงานสรรพสามิตพื้นที่/พื้นที่สาขา)、ワンストップサービスセンター、またはオンラインの事業者向けポータルです。窓口での標準処理時間は5分と書かれています。必要書類は身分証、法人の証明書、住居登録、権利証、位置図、委任状など8種類にまとめられています。なお、酒を売ってよい場所には条件があり、過去に許可を取り消された経歴がある場合の扱いも定められています。自分の物件が条件に当たらないかは、申請前に事務所へ確認してください。
自分が店に立つなら就労許可が要ります
外国人がタイで働くには就労許可が必要です。オーナーとして経営に関わる場合も、労働にあたるかどうかを含めて雇用局の判断になります。
労働省が公開している手数料表では、申請は1通100バーツ。許可証そのものの手数料は有効期間ごとに区分されていて、3か月以内、3か月超6か月以内、6か月超1年以内という段階が並びます。ただし対象となる区分によって金額が違い、同じ表の中に別の額の帯もあります。雇用主の変更、勤務地の変更、条件の修正にもそれぞれ手数料が定められています。自分がどの区分に当たるかを、表の見出しごと確かめてください。
税金はいつ、どこへ払うのか
歳入局の英文ページに出ている内容を整理します。
付加価値税(VAT)
- タイ国内で継続的に物品やサービスを供給し、年間売上が180万バーツを超える事業者は登録が必要です
- 標準税率は7%
- 登録は事業を始める前、または売上が基準に達してから30日以内に、様式 VAT 01 で行います
- 申告(様式 VAT 30)は翌月15日以内に管轄の歳入事務所へ提出します
飲食店は現金商売で日々の売上が積み上がるので、開店してしばらくは基準を下回っていても、途中で超える月が来ます。売上の累計を毎月見ておかないと、30日という登録期限を過ぎてしまいます。
法人税
- 標準税率は純利益に対して20%
- 払込資本金500万バーツ未満の小規模法人については、純利益30万バーツ超300万バーツ以下の部分に15%、300万バーツ超の部分に20%という軽減が示されています
- 年次の申告書(CIT 50)は、事業年度の末日から150日以内
- 中間の予定納税(CIT 51)は、事業年度の最初の6か月が終わってから2か月以内に、年税額の見積りの半分を納めます
軽減税率の適用条件は公式ページの記載を必ず確認してください。ここに書いたのは歳入局の英文ページに出ている範囲です。
バンコクで会計士を探すときに確かめること
「会計士」と一言でいっても、タイの制度では役割が2つに分かれます。ここを混ぜると、頼んだのに必要な書類が出てこない、ということが起きます。
- ผู้ทำบัญชี(記帳を担当する人) … 日々の帳簿をつけ、税務申告の実務を回す側です
- ผู้สอบบัญชีรับอนุญาต(公認会計士=監査人) … 年次の財務諸表を監査し、監査報告書に署名する側です
タイの法人は、年次の財務諸表を公認会計士の監査報告書つきで事業開発局へ提出します。手続情報センターの案内では、期限は次のとおりです。
- 株主総会での承認 … 事業年度の末日から4か月以内
- 事業開発局への提出 … 承認された日から1か月以内
- 12月31日決算の場合は、翌年5月31日までと案内されています
- 提出手数料はかかりません(「ไม่มีค่าธรรมเนียม」)
提出は電子申告システム(DBD e-Filing)か、事業開発局の窓口です。外国人が株主にいる法人や海外に投資している法人は、様式 ส.บช.3/1 を事業年度の末日から5か月以内に出すことも案内されています。
依頼先を選ぶときに自分でできる確認が1つあります。タイ会計職業連盟(สภาวิชาชีพบัญชี)が、公認会計士の登録状況を照会できるページを公開しています。姓・名・登録番号を入れると、その人の免許の状態が出ます。会員登録の照会ページも別にあります。監査を頼む相手の登録番号を先に聞いて、自分で引いてみるのが確実です。
なお、記帳を頼む相手と監査をする相手は別の人でなければ意味がありません。同じ事務所の名前で両方を頼む形になっていないか、契約の前に見ておいてください。どの事務所に頼むかという評価はこのページでは扱いません。
「起業の代行」に頼めることと、自分で決めること
設立から開店までの手続きは、代行に任せられる部分がかなりあります。一方で、代行がどれだけ丁寧でも本人が決めるしかない部分が残ります。境目をはっきりさせておくと、見積りの読み方が変わります。
任せられる作業
- 商号の予約と定款の作成、登記書類の作成と事業開発局への提出
- 税務登録、付加価値税の登録、社会保険の登録といった開業直後の届出
- 区役所への営業許可・届出の書類作成と提出
- 就労許可とビザの申請書類の準備
- 日々の記帳と、月次・年次の税務申告
自分で決めるしかないこと
- 誰がいくら株を持つか。持分は後から変えるのに登記が要ります
- 登録資本をいくらにするか。外国人事業法の許可手数料は登録資本に連動します
- 定款に書く事業目的の範囲。あとで足りないと気づくと変更登記になります
- 店舗の賃貸借契約の名義と期間。営業許可の申請書類に効いてきます
- 決算日をいつにするか。上に書いた4か月・1か月・150日の期限がすべてここから数えられます
見積りを比べるときは、官庁に払う手数料と代行の報酬を分けて並べてください。官庁の手数料はこのページに書いたとおり公開されていて、どこに頼んでも同じ額です。差が出るのは報酬と、含まれる作業の範囲です。「登記まで」なのか「税務登録と最初の申告まで」なのかで、同じ金額でも中身がまるで違います。
開店前に自分で引いておける情報
- 物件の営業面積が200平方メートルを超えるかどうか(許可か届出かが変わります)
- 家主が営業許可の名義に同意しているか、承諾書を出せるか
- 酒を出すか。出すなら物件の場所に条件がかからないか
- 外国人として現場に立つのか、出資だけなのか
- 決算日をいつに置くか
- 監査を頼む相手の公認会計士登録番号
この6つが決まっていれば、代行に相談したときの往復が減ります。逆にここが決まらないまま見積りだけ集めても、金額を比べる土台がそろいません。
このページで扱っていないこと
物件の相場、内装工事の許可、食品衛生の細かい基準、輸入食材の登録、労働法上の雇用条件、社会保険料の率については触れていません。いずれも別の官庁が別の基準で運用しています。金額や期限は改定されるので、実際に申請する前に各官庁の公式ページで最新の内容を確認してください。
出典
- ศูนย์รวมข้อมูลเพื่อติดต่อราชการ(政府手続情報センター)「การจดทะเบียนจัดตั้งบริษัทจำกัด」(2026-08-31 取得)
- ศูนย์รวมข้อมูลเพื่อติดต่อราชการ「การขอรับใบอนุญาตประกอบธุรกิจของคนต่างด้าว สำหรับธุรกิจบัญชีสาม ตามมาตรา 17」(2026-08-31 取得)
- ศูนย์รวมข้อมูลเพื่อติดต่อราชการ「การขอหนังสือรับรองการแจ้งจัดตั้งสถานที่จำหน่ายอาหารที่มีพื้นที่ไม่เกิน 200 ตารางเมตร」(2026-08-31 取得)
- バンコク都 ラートプラーオ区役所「การยื่นคำขอรับใบอนุญาตหรือหนังสือรับรองการแจ้งจัดตั้งสถานที่จำหน่ายอาหาร」(手数料・更新)(2026-08-31 取得)
- バンコク都 ワントンラーン区役所 環境衛生課(สำนักงานเขตวังทองหลาง ฝ่ายสิ่งแวดล้อมและสุขาภิบาล)(2026-08-31 取得)
- タイ保健省 健康局 食品・水衛生局「คู่มือ หลักสูตรการสุขาภิบาลอาหาร สำหรับผู้ประกอบกิจการ ผู้สัมผัสอาหาร」(2026-08-31 取得)
- ศูนย์รวมข้อมูลเพื่อติดต่อราชการ「การขออนุญาตขายสุรา (สำหรับรายใหม่)」(物品税局)(2026-08-31 取得)
- タイ労働省「อัตราค่าธรรมเนียม」(就労許可の手数料表)(2026-08-31 取得)
- タイ歳入局 英文ページ「Value Added Tax」(2026-08-31 取得)
- タイ歳入局 英文ページ「Corporate Income Tax」(2026-08-31 取得)
- ศูนย์รวมข้อมูลเพื่อติดต่อราชการ「การนำส่งงบการเงิน」(商務省事業開発局)(2026-08-31 取得)
- タイ会計職業連盟(สภาวิชาชีพบัญชี)「ตรวจสอบสถานะผู้สอบบัญชี」公認会計士の登録照会(2026-08-31 取得)
- タイ会計職業連盟(สภาวิชาชีพบัญชี)「ตรวจสอบสถานะสมาชิก」会員登録の照会(2026-08-31 取得)
このページの内容は 2026-08-31 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。