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タイの屋台、食べる前に知っておくこと

タイの屋台でいちばん気になるのは衛生です。保健省が挙げている見分け方、屋台にも掛かる省令の決まり、いまの認証マーク、支払い、体調を崩したときの連絡先までを、公式情報だけで整理しました。

この記事の要点

  • 屋台の衛生は、注文する前に立ったまま確かめられます。調理台もできあがった料理も床から60センチ以上に置くことが省令で決まっていて、それより低ければ決まりどおりではありません。
  • 氷の入れ物に飲み物の瓶や食材が一緒に漬かっているのは、決まりに反しています。食用の氷には氷だけ、というのが保健局の言い方です。
  • 「Clean Food Good Taste」の看板は、いまの認証ではありません。2023年9月30日で発行が終わり、SAN と、その上の SAN Plus に切り替わっています。
  • 暑い季節に気をつけたいものとして、保健局は加熱していない料理、さっと湯通しした魚介、ココナッツミルクのカレー、砕いた氷、切ったフルーツを挙げています。
  • 厚生労働省検疫所は、タイで患者数のもっとも多い病気は急性下痢症だとしています。救急は1669、旅行者のトラブル相談は観光警察の1155です。

タイの街は、どこを歩いても食べ物が売られています。歩道に台を出した店、屋根つきの市場、屋台が固まった一角。安くて、その場で作ってくれるのが屋台の良さです。ただ、日本から来た人が最初に気にするのはたいてい衛生でしょう。このページは、タイの役所が実際に決めていることと、役所が出している注意書きを手がかりに、屋台の前に立ったときに何を見ればいいのかを整理した「知る」ための記事です。どの店が良いかという評価は扱いません。

屋台の衛生は、どこを見れば分かるか

保健省が挙げている見どころ

タイ保健省の保健局(กรมอนามัย)は、路上で売られる食べ物(อาหารริมบาทวิถี)を選ぶときの手がかりを公式に出しています。いずれも、注文する前に立ったまま確かめられるものです。

  • 売り手の身なり — 衛生的で清潔にしているか。手に装身具を着けていないか。
  • 食器や容器が清潔か — きちんと片づけられ、乾いた場所に置かれ、湿っていないか。
  • 食用の氷に、ほかのものが漬かっていないか — 氷の入れ物には氷だけ、というのが保健局の言い方です。
  • 生ものが冷えているか — 冷蔵庫に入れるか、氷でまんべんなく冷やしてあるか。
  • ハエがたかっていないか — できあがった料理にも、これから使う材料にも。

同じ資料は、暑い季節にとくに気をつけたいものとして、加熱していない料理、さっと湯通ししただけの魚介、ココナッツミルクのカレー、発酵させた米の麺(ขนมจีน)、砕いた氷、荷車で売られる切ったフルーツを名指ししています。そのうえで、食べる前に手を洗うこと、熱いものを食べること、取り分け用のスプーンを使うことを、食中毒と下痢を減らす方法として挙げています。

法律で決まっていて、外から見えること

タイには食べ物を売る場所の衛生を定めた省令(กฎกระทรวงสุขลักษณะของสถานที่จำหน่ายอาหาร พ.ศ. 2561)があり、2018年12月16日から効力を持っています。屋台のような小さな売り場も対象です。保健局が公開している解説には、客の側から見て確かめられる項目がいくつも入っています。

決まっていること中身
調理・盛り付け・販売の台床から60センチ以上の高さ。状態が良く、掃除しやすいこと
できあがった料理の置き方清潔な容器に入れ、汚れが移らないようにして、床から60センチ以上に置く
密封された瓶や缶の飲み物床から15センチ以上に置き、容器の外側をきれいにしてから出す
密封されていない飲み物清潔な容器に入れて覆いをし、床から60センチ以上に置く
食品の法令に合う氷を使う。ふたのある清潔な容器に入れる。氷専用のトングやスコップを使う。食用の氷に食べ物やほかの物を一緒に漬けてはいけない
調理に使う水は保健局の定める飲用水の基準を下回らないこと。使う水は水道水(水道のない地域はそれと同等の水)
取り分け複数人で一つの料理を分けて食べるときのために、取り分け用のスプーン(ช้อนกลาง)を備える
客が食事をするテーブルの上でガスを燃料に調理してはいけない。メタノールを燃料に使ってはいけない
ごみふたが閉まり、水が漏れず、水を吸わない容器を使う。生ごみは分ける

床から60センチという数字だけでも覚えておくと役に立ちます。調理台も、できあがった料理も、この高さより下に直接置かれているなら、それは法律が求めている状態ではありません。氷の入れ物にペットボトルや食材が一緒に漬かっているのも同じです。逆にいえば、台が高く、料理に覆いがあり、氷が氷だけで管理されている屋台は、決まりを知っている店だということになります。

売る人は講習を受けている

同じ省令は、食べ物に触れる人(ผู้สัมผัสอาหาร)についても定めています。体が丈夫であること、体調を崩したら仕事を休んで治してから戻ること、コレラ・腸チフス・赤痢・水痘・A型肝炎など水や食べ物を介して客にうつる病気にかかっていないこと、そして定められた講習を受けていることです。

営業に必要な書類がないまま商売をした場合の罰則も、解説に明記されています。

  • 届出受理書を受けずに営業した場合 … 拘禁3か月以下、または罰金25,000バーツ以下
  • 許可を受けずに営業した場合 … 拘禁6か月以下、または罰金50,000バーツ以下
  • 省令に違反した場合 … 罰金50,000バーツ以下

講習を受けた人は、保健局の食品・水衛生局が運用する Foodhandler というシステムに登録されます。このシステムには「公道や公共の場所で食べ物を売る屋台・移動販売車の持ち主」「路上食のとりまとめ役」という登録の区分があり、氏名から受講登録を照会する入口が、ログインなしで用意されています。制度としては、屋台の売り手も講習の対象に含まれているということです。

「Clean Food Good Taste」の看板は、いまの認証ではない

タイの食堂や屋台で「อาหารสะอาด รสชาติอร่อย(Clean Food Good Taste)」と書かれた看板を見かけることがあります。これを目印にすればよいと書いている日本語の記事がありますが、保健局は2023年9月30日でこの認証を出すのをやめました。いまは SAN と、その上位にあたる SAN Plus という標章に切り替わっています。

保健局が2025年6月に出した発表は、この点を実例つきで説明しています。ある有名店が衛生の基準を守っていないのに Clean Food Good Taste の看板を掲げたままだという苦情が市民から寄せられ、地方の保健当局が現地を調べたところ、その店は何度も指導を受けながら従っていなかった、という話です。保健局は、その看板がすでに廃止された基準のものであることをそこで明言しています。

同じ発表によれば、いまの標章をもらうまでの流れはこうです。

  1. 事業者と、食べ物に触れる人が講習を修了する
  2. 自治体から許可証、または届出受理書を得る
  3. 2018年の省令にそって、Foodhandler のシステム上で自己点検する
  4. 職員がシステム上で評価して認証する
  5. すべて満たせば、その場でシステムから SAN の標章を印刷できる。さらに手順を踏めば SAN Plus に上げられる

つまり標章は「講習・許可・自己点検・職員の確認」を通った印です。古い看板が貼ってあること自体は、いまの状態を保証しません。看板を目印にするなら SAN か SAN Plus を探してください。認証を取りたい店に向けた手続きの詳細は、保健局が食品・水衛生局のサイトで案内しています。

屋台で飲み物を頼むとき

飲み物にも上の省令が掛かります。密封された瓶や缶は床から15センチ以上に置き、外側をきれいにしてから出すこと。密封されていない飲み物は清潔な容器に入れて覆いをし、床から60センチ以上に置くこと。氷はふたのある清潔な容器に入れ、氷専用の道具で取ること。氷の入れ物に飲み物の瓶が突っ込んであったら、それは決まりに反しています。

屋台の飲み物売り場でよく並んでいるのが、小瓶の栄養ドリンクです。タイで生まれたものについてはクラティンデーン(タイの栄養ドリンク)にまとめています。

バンコクで屋台を探すとき

政府が登録している安い店から探す

タイ商務省の国内商業局(กรมการค้าภายใน)は、生活費を抑えるための施策として「ร้านอาหารธงฟ้า」という登録店の制度を持っていて、公式サイトに検索ページを置いています。地方・県・料理の種類で絞り込むことができ、地図でも表示できます。県の選択肢にはバンコク(กรุงเทพมหานคร)も入っています。観光向けの案内ではなく、生活者向けの登録簿なので、地元の人が普段どこで何を食べているのかを見るのに向いています。

屋台の料理は、こう分かれている

その検索ページの「料理の種類」の選択肢は、タイで日常的に食べられているものがどう分類されているかをそのまま示しています。屋台の看板を読むときの見当をつけるのに使えます。

  • ก๋วยเตี๋ยว … 麺
  • ข้าวราดแกง … ご飯におかずをかけたもの
  • อาหารจานเดียว … 一皿で完結する料理
  • อาหารตามสั่ง … その場で頼んで作ってもらう料理
  • อาหารเจ … タイの精進食
  • อาหารใต้ / อาหารเหนือ / อาหารอีสาน … 南部 / 北部 / イサーン(東北部)の料理
  • อาหารฮาลาล … ハラール

タイの料理は地方でかなり違います。同じ「屋台」でも、南部の店とイサーンの店では出てくるものが別物だということが、この分類からも分かります。

店の評判で選びたいとき

どの店に入るかは、このページでは決めません。店ごとの評判は別の面にまとめてあります。バンコクの飲食店の口コミと評価を見てください。

支払いはどうなっているか

タイ中央銀行の説明によると、タイの送金の基盤である「พร้อมเพย์(PromptPay)」は2016年に始まったもので、国民識別番号や携帯電話番号、あるいは銀行口座番号を使い、デジタルの経路で送金できる仕組みです。従来より手数料が安いことが特徴とされています。

これはタイ側で番号を登録した口座どうしをつなぐ仕組みなので、日本の口座やアプリからそのまま払えるとは限りません。屋台は金額も小さいので、小額の紙幣と硬貨を持っておくのがいちばん確実です。使えるかどうかは店ごとに違うため、当てにせず現金を用意してください。

おなかを壊したときにどうするか

タイでいちばん多いのは急性の下痢

厚生労働省検疫所(FORTH)のタイのページは、「患者数のもっとも多い病気は急性下痢症」だとして、食中毒や消化器の感染症が起きていると書いています。そのうえで、水道水をそのまま飲むことは避けること、外食では衛生管理の行き届いた店を選ぶこと、十分に加熱されたものを、冷めないうちに食べることを挙げています。保健局が言う「熱いものを食べる」と同じことを、日本の側からも言っているわけです。

季節も関係します。同じページによれば、バンコクは暑季(3月〜5月)、雨季(6月〜10月)、乾季(11月〜2月)に分かれ、暑季は最高気温が38度から40度に達します。雨季は暑季より気温が下がるものの湿度が高く、食中毒などを起こしやすい季節だとされています。屋台の食べ物で気をつけたい時期は、暑季と雨季の両方ということになります。

渡航前の備えとして、FORTH はタイ向けの予防接種にA型肝炎、B型肝炎、破傷風、腸チフスを挙げています(狂犬病と日本脳炎は条件つき)。A型肝炎と腸チフスは、水や食べ物からうつる病気です。長く滞在する予定なら、出発前に医療機関へ相談してください。

救急とトラブルの連絡先

タイの救急は1669です。タイ国立救急医療センター(สพฉ.)が公式サイトで「เจ็บป่วยฉุกเฉิน โทร. 1669(急病は1669へ)」と案内しています。旅行者のトラブル相談は観光警察の1155で、タイ観光警察本部の公式サイトが「สายด่วน 1155」として出しています。どちらも番号だけは、屋台に座る前に控えておいてください。

屋台に頼りきらない日をつくる

屋台は安くて速いぶん、座る場所が屋外だったり、皿が共用だったりします。体調が万全でない日や、暑さがきつい日は、屋内の店に切り替えるほうが結果的に楽です。バンコクには日本の食べ物を出す店も多く、バンコクで寿司を食べるときバンコクの居酒屋と焼き鳥に、値段の幅や税の付き方をまとめています。

食べる・飲むまわりの記事は食べる・飲むの記事一覧から辿れます。料金・制度・営業のしかたは変わります。ここに書いた内容は2026-08-31時点で各機関の公式ページを見たものなので、実際に動く前には各機関の公式サイトで確かめてください。

出典

このページの内容は 2026-08-31 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。