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バンコクで部屋を借りるとき、契約の前に確かめること

タイの賃貸は、契約の年数で役所の手続きが変わり、契約書の印紙は貸主が払い、入居の届け出は貸主の義務です。3年の線と登記、印紙税、公社が決めた電気・水道の料金表、入居から24時間以内の届け出までを公式の情報だけで整理しました。

この記事の要点

  • 3年が線です。3年を超える賃貸は書面にしたうえで土地事務所に登記しないと、契約書に10年や20年と書いてあっても最初の3年ぶんしか主張できません。3年以内なら登記は要りません。
  • 入居の届出(TM.30)は借りる側ではなく貸主の義務で、外国人が住み始めてから24時間以内です。貸主が出すのにパスポートの記載が要るので、契約のときに写しを求められます。
  • 電気と水道には公社が公表した料金表があります。バンコクの住宅用は月150単位を超える区分で最初の200単位が1単位3.0000バーツ、水道は最初の30立方メートルが8.50バーツで、いずれも付加価値税は別です。
  • 契約書の印紙税は、賃貸期間全体の賃料1,000バーツごとに1バーツです。納める義務があるのは貸主、印紙に消印をするのは借主だと歳入局の表に書かれています。
  • 90日ごとの居住地の届出は、貸主ではなく本人の義務です。保証金が返らないといったもめごとは消費者保護委員会事務局が受け付けていて、電話の相談窓口は1166です。

バンコクで部屋を借りるとき、迷いやすいのは物件そのものよりもその周りにある決まりです。契約を何年で結ぶかによって役所の手続きが増え、契約書に貼る印紙は誰が払うかが法律で決まっており、電気代と水道代には公社が公表している料金表があります。そして入居した日には、借りた側ではなく貸した側に届け出の義務が生じます。このページは、そうした決まりを公式の情報だけで並べたものです。どの物件がよいか、どの会社に頼むかという評価は扱いません。

先に押さえておくと迷わない三つのこと

  • 3年が線になっている — 3年を超える賃貸は、書面にしたうえで土地事務所に登記しないと、契約に何年と書いてあっても最初の3年しか主張できません。
  • 入居の届け出をするのは貸主 — 外国人を住まわせた家主・建物の占有者は、入居から24時間以内に入国管理局へ届け出る義務を負います。借りる側の義務ではありません。
  • 電気と水道には公表された料金表がある — バンコクの電気は首都圏配電公社(MEA)、水道は首都圏水道公社(MWA)が単価を公表しています。建物から請求される金額が妥当かどうかは、この表と突き合わせれば自分で確かめられます。

契約は何年で結ぶのか。3年を超えると手続きが増える

タイの土地局は、土地・家・建物・区分所有の部屋を3年を超えて借りる契約は、書面にしたうえで土地事務所に登記する必要がある、と案内しています。登記をしないとどうなるかも明記されていて、契約書に5年・10年・20年と書いてあっても、法律で守られるのは最初の3年だけです。それを超える期間について、借りた側は契約どおりの権利を主張できません。

逆に言えば、3年以内の契約なら登記は要りません。書面で結んでおけば足ります。住まいとして借りる場合に1年や2年の契約が使われるのは、この線の内側で収まるからです。長く住むつもりでも、まず短く結んで更新していく形にすれば、登記の手続きと費用は発生しません。

登記するときにかかるもの

タイ政府の行政手続き情報では、不動産の賃借権の登記について次のように示されています。

項目公表されている内容
登記できる条件賃貸期間が3年を超えること
登記の手数料賃貸期間全体の賃料の1%
印紙税賃貸期間全体の賃料の0.1%
申請の手数料土地1筆につき5バーツ、区分所有の部屋1戸につき20バーツ
賃貸期間の上限30年(さらに30年の更新が可能)
窓口での所要時間約2時間(待ち時間と書類の事前確認を除く)

手続きの担当は土地局で、権利証書・身分証・賃貸借契約書などを持参します。既婚者は配偶者の同意書、代理人が行くなら委任状も必要とされています。金額は2026-09-04に公式の案内で確認したものです。

契約書に貼る印紙は、誰が払って誰が消すのか

タイの歳入局が公表している印紙税率表では、土地・建物・その他の工作物・水上家屋の賃貸借は第1号の証書にあたり、賃貸期間全体の賃料1,000バーツごと(端数も1,000バーツとして扱う)に1バーツの印紙税がかかります。同じ表に、納める義務があるのは貸主、印紙に消印をするのは借主と書かれています。どちらか一方が負担するものではなく、役割が分かれている点が日本の感覚と違うところです。

同じ表には、期間を定めていない契約は3年とみなす、という決まりもあります。さらに、契約が終わったあとも借主が住み続け、貸主が異議を述べず新しい契約も結ばなかった場合は、期間の定めのない契約として新たに結ばれたものとみなされ、そこから30日以内に納めることになっています。「更新の書類を作らないまま住み続けている」状態にも税の扱いがある、ということです。

保証金や前払い家賃に決まりはあるのか

タイでは、住居として貸す建物の賃貸業が、消費者保護委員会の告示によって契約が規制される事業に指定されています。指定された事業では、契約書に必ず書かなければならない事項と、書いてはいけない事項が国の告示で定められます。

ただしこの告示は差し替えられており、どの版が現に効力を持つかは時期によって変わります。金額の上限や請求の方法をここで断定はしません。契約前に条件を確かめたいときは、消費者保護委員会事務局(สคบ.)の公式サイトで最新の告示を見てください。日本語や英語の解説記事ではなく、告示そのものに当たるのが確実です。

電気代はどう決まるのか

バンコクとその周辺の電気は首都圏配電公社(MEA)が供給していて、住宅用の単価は公表されています。月に150単位(キロワット時)を超えて使う住宅の区分では、次のようになっています。

使用量1単位あたりの単価
最初の200単位(1〜200)3.0000バーツ
次の200単位(201〜400)4.1584バーツ
400単位を超える分(401以上)4.3583バーツ
月額のサービス料24.62バーツ

メーターが5アンペア以下で使用量が月150単位までの区分は別の表になっていて、月額のサービス料は8.19バーツです。いずれも付加価値税は含まれていません。さらに燃料費などを反映するFtという調整分が加算され、これは4か月ごとに見直されます。2026-09-04に公式の料金表で確認した数字です。この表は2026年9月分の電気料金から適用されている新しい料金表です。MEAの公式ページ(タイ語)が「この新しい電気料金は、仏暦2569年9月分の電気料金から適用する」と明記しています。MEAの英語ページはまだ改定前の表のままなので、英語で確かめると違う数字が出ます。

ここで契約前に聞いておきたいのは、自分の部屋のメーターがどちらの立場で読まれているかです。公社のメーターが部屋ごとに付いていて公社から請求が来るのか、それとも建物がまとめて契約し、部屋ごとの子メーターを建物が読んで請求するのか。後者の場合、1単位あたりの単価は建物が決めた金額になります。上の表を知っていれば、その単価が公社の料金と比べて高いのかどうかを自分で判断できます。

水道代の見方

バンコクの水道は首都圏水道公社(MWA)です。公表されている料金表では、住宅用の最初の30立方メートルは1立方メートルあたり8.50バーツで、そこから使用量の段階ごとに単価が上がっていきます。こちらも表示の単価に付加価値税は含まれておらず、別途、メーターの口径に応じた月額のサービス料が加わります。

電気と同じで、建物が独自の単価で請求している場合があります。契約前に、単価がいくらでどう計算されるのかを書面で示してもらってください。

入居したら24時間以内に届け出が要る

タイの入国管理法(仏暦2522年)第38条は、外国人を宿泊させた家主・家の所有者・住居の占有者・ホテルの支配人に対し、その住居のある地域を管轄する入国管理局へ、外国人が宿泊を始めた時から24時間以内に届け出るよう定めています。管轄に入国管理局がない地域では、その地域の警察署へ届け出ます。バンコクにある住居については、入国管理局へ届け出ることとされています。

入国管理局の案内によれば、この届け出の対象になるのはホテル業法の許可を受けたホテルだけではありません。ゲストハウス、マンション、アパート、事業所、そして一般の貸家も含まれます。使う様式は「ตม.30」(TM.30)で、届け出るのは建物の所有者・貸家の持ち主・事業者です。バンコク都内にある場合は、チェーンワッタナ通りの官庁街にある入国管理局第1課が窓口として案内されています。

届け出の方法は三つ示されています。窓口へ書類を持参する(本人でも代理人でもよい)、書留郵便で送る、インターネットの受付システムを使う、のいずれかです。オンラインの受付は入国管理局が専用のサイトを用意しています。

様式は2枚組で、2枚目に宿泊する外国人の情報を書きます。入国管理局は、この欄は本人が書いたメモではなくパスポートの記載を基準に埋めるよう求めています。つまり貸主がこの届け出を出すためには、借りる側のパスポートの情報が要ります。契約や入居のときに写しを求められるのは、この手続きがあるためです。

90日ごとの届け出は自分でする

入居の届け出が貸主の義務なのに対して、90日ごとの居住地の届け出は外国人本人の義務です。入国管理法第37条(5)にもとづき、一時滞在の許可を得てタイに90日を超えて滞在する人は、90日ごとに居住地を届け出ることになっています。届け出は本人が行くほか、代理人に書類を託す、書留郵便で送る、オンラインで行う、という方法があると案内されています。

入国管理局は、この届け出は滞在の延長申請とは別のものだと明記しています。期限を過ぎた場合は本人が出頭して2,000バーツの罰金を納めることになり、身柄を拘束された場合は5,000バーツとされています。金額は公式ページによって書き方が違います。入国管理局の案内には「本人が出頭して2,000バーツ、逮捕された場合は5,000バーツ」と書かれている一方、タイ政府の行政手続案内には「2,000バーツ、届け出ないまま摘発された場合は4,000バーツ以上に加えて1日あたり200バーツ以内」と書かれています。入国管理法(仏暦2522年)第76条の上限は5,000バーツです。どれが自分に当たるかは窓口で確かめてください。このサイトの各ページは、それぞれが見た公式ページの数字をそのまま載せています。なお、いったん出国して戻ってきたときは、90日の数え直しになります。

退去のときにお金が返らない、と思ったら

保証金が返らない、原状回復として不相応な額を差し引かれた、といったもめごとは、消費者保護委員会事務局(สคบ.)の窓口が受け付けています。オンラインの苦情受付システムがあり、電話の相談窓口は1166です。オンラインの仕組みでは、申し立ての内容が事業者へ直接送られ、受け取ってから14日以内に対応を終えることが求められる、と説明されています。

相談の場に持ち込むことを考えると、契約書、支払いの記録、入居時と退去時の部屋の状態が分かる写真は、最初から残しておくほうが後が楽です。

家賃のほかに毎月かかるもの

家賃のほかに毎月出ていくのは、電気、水道、通信、そしてコンドミニアムなら共益費です。共益費は建物ごとの規約で決まるもので、貸主が払うのか借主が払うのかは契約次第です。この費用の決まり方は買う側の話とつながっているので、金額の考え方はタイでコンドミニアムを買うときの決まりとお金のほうで整理しています。

住み込みや通いで家事を手伝ってもらう場合は、雇う側としての手続きが別に発生します。こちらはタイでメイドを雇うときの決まりにまとめました。

借りる前に、そもそもの前提を決めている段階なら

部屋を探す前に決まっていないと動きにくいことがあります。会社の駐在として住むのか、自分で住む場所を選ぶのかで、契約の名義も費用の負担も変わります。駐在の枠組みで決まることはタイへの駐在で決まることに、住む国そのものを比べている段階なら移住先の国はどうやって決まるのかにまとめています。

自分で法人を作ってタイに拠点を置く場合は、住居の契約とは別に会社の登記と事務所の手配が要ります。代行する事業者を探すならタイでの会社設立を代行する事業者を見るから比べてください。

このページで扱っていないこと

どのエリアが住みやすいか、どの建物がよいか、どの不動産会社が信頼できるかという評価は、ここでは扱いません。金額や制度は変わりますので、契約の前には必ず各公社と役所の公式サイトで最新の内容を確認してください。ほかの手続きは住む・働く・ビザの記事一覧から探せます。

出典

このページの内容は 2026-09-04 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。