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タイで学校を選ぶ — 日本人学校・インター校・現地校の制度の違い

バンコクで子どもの学校を決める前に、日本人学校・インターナショナルスクール・タイの現地校が制度としてどう違うかを整理します。卒業資格が日本でどう扱われるか、海外にいるあいだの就学義務、学校が認可を受けているかの確かめ方を、文部科学省とタイ教育省の公式資料から確認しました。

この記事の要点

  • 日本人学校は文部科学大臣が「国内の小中高と同等の教育課程」と認定した全日制の施設で、中学部の卒業者は日本の高校の、高等部の卒業者は日本の大学の入学資格を持ちます。バンコクとシラチャにあります。
  • 補習授業校は、現地校やインター校に通う子が土曜日や放課後に日本語で一部の教科を学ぶ施設です。全日制ではないので、日本人学校とは役割が違います。
  • 海外にいるあいだ、日本国憲法26条の就学義務は直接は及びません。文部科学省は「憲法第26条は、属地的に働く規定である」と説明しています。日本国内でインター校に通わせる場合とは扱いが違います。
  • タイの私立学校は私立学校法にもとづく許可が要ります。教育省の私立学校振興委員会事務局が「許可を受けた学校を調べる」仕組みを公開していますが、こちらではその検索が実際に引けるところまで確かめられていません。検索に出ないことを「許可が無い」と読まないでください。
  • 帰国後に日本の小中学校へ入るときは、転入の手続きのあとに住民基本台帳から学齢簿が作られ、通う学校と編入学の期日が通知されます。高校入試では特別枠を置いている自治体があります。

バンコクで子どもの学校を決めるとき、最初に迷うのは「日本人学校か、インターナショナルスクールか、タイの現地校か」という3択です。ところがこの3つは、月謝や英語の量だけでなく制度としての位置づけが違います。どの卒業資格が日本でどう扱われるか、海外にいるあいだ就学義務はどうなるか、その学校が認可を受けているかをどう確かめるか。ここを先に押さえておくと、学校ごとの案内を読むときの見え方が変わります。

日本人学校は「同等の教育課程」と認定された全日制の施設

文部科学省は在外教育施設を「海外に在留する日本人の子供のために、学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校における教育に準じた教育を実施することを主たる目的として海外に設置された教育施設」と定義し、日本人学校・補習授業校・私立在外教育施設の3つに分けています。

このうち日本人学校は「国内の小学校、中学校又は高等学校における教育と同等の教育を行うことを目的とする、全日制の教育施設」です。文部科学省の説明では、「日本人学校中学部卒業者は、国内の高等学校の入学資格を、高等部卒業者は、国内の大学の入学資格をそれぞれ有します」

区分公式の定義(抜粋)設置数
日本人学校国内の小学校、中学校又は高等学校における教育と同等の教育を行うことを目的とする、全日制の教育施設49カ国・1地域に94校(約1万6千人)
補習授業校現地の学校や国際学校(インターナショナルスクール)等に通学している日本人の子どもに対し、土曜日や放課後などを利用して国内の小学校又は中学校の一部の教科について日本語で授業を行う教育施設51カ国・1地域に242校(約2万1千人)
私立在外教育施設国内の学校法人等が母体となり海外に設置した、全日制教育施設世界に6校

設置数は、日本人学校と私立在外教育施設が令和6年(2024年)4月15日現在、補習授業校が同年7月1日現在の数として文部科学省が公表しているものです。私立在外教育施設についても「中学部の卒業者は国内の高等学校の入学資格を、高等部卒業者は国内の大学の入学資格をそれぞれ有しています」と書かれています。

タイの日本人学校は、文部科学省の認定した在外教育施設の一覧に載っています。運営する泰日協会学校は、公式サイトで自らを「泰日協会学校(バンコク日本人学校)」および「泰日協会学校シラチャ校(シラチャ日本人学校)」と表記しています。

補習授業校は「全日制ではない」ことが要点

補習授業校は名前が似ていますが、役割がまったく違います。公式の定義にあるとおり、通う先は現地校やインター校で、そこへ土曜日や放課後に日本語の授業を足す形です。日本人学校の代わりにはなりません。「日本語を続けさせたい」という目的なら選択肢に入りますが、卒業資格の話とは切り離して考えてください。

海外にいるあいだ、就学義務は直接には及ばない

ここは誤解が起きやすいところです。文部科学省は海外子女教育のQ&Aで、「憲法第26条は、属地的に働く規定であるとされています。憲法第26条は直接在外邦人の子どもに適用されません」と説明しています。つまりタイに住んでいるあいだ、インターナショナルスクールや現地校を選んだことが就学義務の不履行になるわけではありません。

一方で、日本国内に住んでいる場合の扱いは別です。文部科学省は「保護者が日本国籍を有する子を一条校として認められていないインターナショナルスクールに就学させたとしても、法律で規定された就学義務を履行したことにはなりません」と明記しています。この2つは違う話なので、日本国内向けの解説をそのままタイの状況にあてはめないでください。

タイの学校が認可を受けているかを確かめる

タイの私立学校は、教育省の私立学校振興委員会事務局(สช.)が所管しています。設置には許可が必要で、根拠となる法律は同事務局のページに「พระราชบัญญัติโรงเรียนเอกชน พ.ศ. ๒๕๕๐ และที่แก้ไขเพิ่มเติม โดยพระราชบัญญัติโรงเรียนเอกชน (ฉบับที่ ๒) พ.ศ. ๒๕๕๔」(私立学校法 仏暦2550年、および同法(第2号)仏暦2554年による改正)と示されています。

許可を受けた学校は、同事務局の「ตรวจสอบโรงเรียนที่ได้รับอนุญาต(許可を受けた学校を調べる)」から検索できるとされています。ただしこのページは中身をJavaScriptで描く作りで、こちらからは検索の条件や画面の説明を確かめられませんでした。ブラウザで開いて操作してください。

検索に出てこないことを「許可が無い」と読まないでください。タイでは会社の形で運営している教育事業もあり、その場合はこの名簿に載りません。ここで確かめられるのは「載っているかどうか」までです。

帰ってきたあとの手続きも先に見ておく

日本へ戻って公立の小中学校に入るときの流れは、文部科学省のQ&Aに「転入手続後、住民基本台帳に基づいて、学齢簿が編製され、就学すべき学校の指定・編入学期日が通知されます」と書かれています。学校を先に選ぶのではなく、住むところを決めて転入の手続きをすると学校が決まる、という順番です。

高校入試については、同じQ&Aに「各都道府県教育委員会や学校では、入試での特別枠の設定や受入への特別な配慮を行っています」とあります。ただし何年の在外期間で対象になるか、どの学校が枠を持っているかは自治体と学校ごとに違うので、戻る予定の都道府県の教育委員会で確かめてください。大学入試での扱いについては、このQ&Aには記載がありませんでした。

3つを並べて考えるときの順番

  • いつ日本へ戻る見込みかを先に決める。戻る時期が読めるなら卒業資格の連続性が効き、読めないならカリキュラムの持ち運びやすさが効きます
  • 子どもの現在の言語をそのまま条件にしない。インター校は英語力の評価を入学の過程に置いているところが多く、支援の枠には上限があります
  • 費用は月謝だけで比べない。入学金・預り金・施設費・スクールバス・外部試験料が別立てになっているのが普通です
  • カリキュラムの名前と認定は別。「IB教育を取り入れています」と「IB認定校です」は違います

このページの内容は 2026-09-06 に確認しました。制度も設置数も変わります。出願の前に、必ず各校と文部科学省の公式で最新の内容を確かめてください。

3つの道を、数字で並べる

制度の違いは本文のとおりですが、実際に決めるときに効くのは始業月・学費・学年の切れ目です。

インターナショナルスクール日本人学校(泰日協会学校)
始業8月(ISB 8月10日、Patana 8月19日、Harrow 8月20日、Shrewsbury 8月31日)4月(2026年度は4月17日)
学期3学期または2セメスター。学習日 180〜181日3学期(〜8月7日/9月1日〜12月25日/1月7日〜3月11日)
年額の目安初等で 682,000〜1,015,000 バーツ、最終学年に近いところで 862,200〜1,256,700 バーツ(7校の公表値)この記事では確かめられていません
入学時の一時金入学金・登録料が 110,000〜260,000 バーツ、返る保証金が 40,000〜275,000 バーツ同上

バンコク都に登録されているインター校は 131校です(私立教育振興委員会事務局の照会システムで区分 นานาชาติ を引いた数)。

切り替えるなら、学年の切れ目を決めてから

8月始業と4月始業では、学年の切れ目が約4か月ずれます。インター校の学年が終わる6月下旬は日本の1学期の途中、日本の学年が始まる4月はインター校の第3学期のさなかです。

日本人学校は「各学期開始前に入学・編入学の受付手続きを行います」としています。学期の始まりに合わせるなら、その前に手続きが要るということです。

日本の大学へ進むときに効いてくる違い

インター校を選んだ場合、日本の大学の出願で日本語の要件が問題になることがあります。上智大学の国際バカロレア入試は、次のいずれかを求めています。

  • 日本語A もしくは 日本語B の IB 科目を履修した者
  • 日本語能力試験 N1 合格者
  • 中学・高校にあたる6年の課程のうち3年以上を、日本の教育制度に基づく学校に通っていた者

小学校からずっとインター校だと、3つ目は満たせません。その場合は日本語A/B の履修か N1 で組み立てることになります。高校生になってから気づくと間に合いません。

詳しくはカリキュラムの違いと日本の大学入試に書きました。

出典

このページの内容は 2026-09-06 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。