インター校のカリキュラム — IB・英国式・米国式の中身と日本の大学入試
IBのPYP・MYP・DP・CPの対象年齢と評価、DPの満点45点と合格条件、ケンブリッジの道筋と成績の付き方、APのスコアと認証団体、そして日本の大学入学資格の根拠(昭和23年文部省告示第47号)と、学年暦が4か月ずれることを整理しました。
この記事の要点
- IB DP は6教科群+コアで、満点45点(6教科×7点+コア3点)、合格には24点以上と8つの条件(CAS修了、全科目2以上、評点2は2つまで、3以下は3つまで、HL12点以上、SL9点以上など)が要ります。2025年5月の合格率は81.9%、平均は30.6点でした。
- MYP の外部評価(eAssessment)は任意です。学校が登録していなければ MYP の修了証は出ません。「MYPをやっています」という説明だけでは分からないので、聞いてください。
- ケンブリッジは IGCSE が A*〜G、A Level が A*〜E、AS が小文字の a〜e。「9〜1に移行した」は正確ではなく、9〜1は管理ゾーン3に限った選択肢です。
- AP は1〜5で、米国の多くの大学が3以上で単位を認定します。ただし認めるかは各大学が自分で決めると College Board が書いています。
- 日本の大学入学資格の根拠は昭和23年文部省告示第47号です。IBは第20号、Aレベルは第23号、評価団体(WASC・CIS・ACSI・NEASC・Cognia・COBIS)の認定校の12年課程の修了者は第25号。文科省のまとめページは第24号と書いていて、告示本文と食い違います。
- 実際の出願には日本語の要件が付きます。上智大学のIB入試は、日本語A/Bの履修、日本語能力試験N1、または中高6年のうち3年以上を日本の教育制度の学校に、のいずれかを求めます。小学校からインター校だと3つ目は満たせません。
学校案内には「IB」「英国式」「米国式」「IGCSE」「Aレベル」が並びます。それぞれ何歳から何歳までで、何が出て、日本の大学に出願できるのか。ここでは、発行機関と文部科学省が公表している中身を並べます。学校は勧めません。
4つの道筋を、年齢で並べる
| 年齢 | IB | ケンブリッジ(英国式) | 米国式 |
|---|---|---|---|
| 3〜11・12 | PYP(3〜12歳) | Primary(5〜11歳) | 学年番号(Grade)で進む |
| 11〜14 | MYP(11〜16歳・5年) | Lower Secondary(11〜14歳) | |
| 14〜16 | Upper Secondary(14〜16歳)= IGCSE / O Level | Grade 9〜10 | |
| 16〜19 | DP または CP(16〜19歳) | Advanced(16〜19歳)= AS & A Level | Grade 11〜12(AP を選択) |
ケンブリッジは「Upper Secondary は Lower Secondary を修了していなくても入れる」と明記しています。段を飛ばした編入が想定されている作りです。
IB — 何が出て、何点で受かるのか
PYP(3〜12歳)
「生涯にわたる学びの旅に、思いやりを持って積極的に参加する子どもを育てる」と説明され、評価は「統合された継続的な評価(integrated ongoing assessment)」です。
修了時に資格が出るかどうかは、確かめられませんでした。取得できた IB 公式の3ページを機械で検索したところ、「certificate」「external assessment」「examination」の語は1件も出てきません。「無い」と断定はしません。確かめた範囲に書かれていなかったということです。
MYP(11〜16歳・5年)
- 教科群は 8つ。各教科群に、各学年で最低50時間の授業時間が要る
- 5年制だが、2年・3年・4年の短縮形もある
- 最終学年で 個人プロジェクト(personal project) を各自が作り、IB が外部から検証する
ここが学校選びで効きます。公式の逐語です。
In the final year of the programme, optional MYP eAssessment provides IB-validated grades based on examinations and course work. Students who undertake external assessment are eligible for MYP course results and the IB MYP Certificate.
外部評価(eAssessment)は任意です。学校が登録していなければ MYP の修了証は出ません。「MYP をやっています」という説明だけでは、そこまで分かりません。聞いてください。
DP(16〜19歳・2年)— 24点で合格、満点は45点
1968年に始まった、IB で最初のプログラムです。6教科群+コア(TOK・CAS・課題論文 EE)でできています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 各教科の評点 | 1〜7 |
| コア(EE と TOK) | それぞれ A〜E。合わせて最大 3点 |
| CAS | 評点なし。修了したかを学校が判定する |
| 満点 | 45点(6教科 × 7点 + コア 3点) |
| 合格に必要な点 | 24点以上(+下の条件をすべて満たす) |
| HL / SL | HL は3〜4科目。SL は150時間、HL は240時間 |
点数だけでは受かりません。公式の合格条件です。
- CAS の要件を満たしている
- 合計 24点以上
- すべての教科・TOK・EE に評点が付いている
- すべての教科で 2以上
- 評点2は2つまで(HL・SL 合わせて)
- 評点3以下は3つまで(HL・SL 合わせて)
- HL で12点以上(4科目登録の場合は上位3つを数える)
- SL で9点以上(2科目登録の場合は5点以上)
実際の結果です(2025年5月のセッション)。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 受験者数 | 202,102 人 |
| 学校数 | 3,400 校 |
| 合格率 | 81.9% |
| 平均評点 | 4.9 |
| 平均合計点 | 30.6 点 |
「45点満点が何人」という数字は、いまの IB 公式にはありません。2023年5月のセッション以降、統計に載せないと IB 自身が書いています。その数字を出している情報源があれば、出所を疑ってください。
2つの言語(グループ1)を両方3以上で修めるとバイリンガル・ディプロマになります。
CP(16〜19歳)— 進路が決まっている生徒向け
DP の科目を最低2つ取り、そこにコア4要素と職業関連の学習を足す形です。コアの最低時間まで公式に決まっています。
| コアの要素 | 最低時間(2年間で) |
|---|---|
| 個人・職業スキルの科目 | 90時間 |
| サービス・ラーニング | 50時間 |
| 母語以外の言語の習得 | 50時間 |
| リフレクティブ・プロジェクト | 50時間 |
コア4要素のうち3つは学校が評価し、リフレクティブ・プロジェクトは IB が評価します。要件を満たすと IB CP 修了証が出ます。
ケンブリッジ — 成績の付き方に注意
| 資格 | 評定 | 最低の合格水準 |
|---|---|---|
| IGCSE | A* 〜 G(それ未満は ungraded) | G |
| AS Level | a 〜 e(小文字) | e |
| A Level | A* 〜 E | E |
A Level で E に届かない場合、AS Level が代替として与えられることがあります。
「IGCSE は 9〜1 評価になった」は正確ではありません。9〜1 は管理ゾーン3に限った選択肢で、そこでも学校は A*〜G を維持できます。世界の既定は A*〜G です。
米国の成績との対応表もケンブリッジが出していますが、同じページにこう書いてあります。
The US letter grade equivalents shown are intended to be used as a general guideline and have not been formally validated.
進学相談で断定的に使うものではありません。
米国式 — AP と、学校の認証
米国式には単一の発行機関がありません。見るものが2つあります。
AP(Advanced Placement)
| スコア | 公式の表記 |
|---|---|
| 5 | Extremely well qualified |
| 4 | Very well qualified |
| 3 | Qualified |
| 2 | Possibly qualified |
| 1 | No recommendation |
米国の多くの大学が 3以上で単位認定や履修免除を与えます。ただし「単位や免除を認めるかは各大学が自分で決める」と College Board 自身が書いています。米国・カナダのほぼ全大学と、他60か国で認められ、3〜4は英国や欧州の多くの大学の出願要件を満たすとも書かれています。
学校の認証(accreditation)
米国式の学校は、地域の認証団体の認証を受けます。ここが日本の大学入学資格に直結します。
- ACS WASC——米国の4つの地域認証団体の1つ。米国務省の在外学校室と密に連携し、カリフォルニア・ハワイ・グアム・アジア・太平洋地域などの学校を認証。「学校の課程と成績証明の integrity を検証する」「他の英語圏の学校への単位の移行を容易にする——世界中の大学入学に決定的」と説明しています
- NEASC——米国と90か国以上の 1,600校超が会員・候補校・適格校。うち国際学校は約500校
- Cognia——100か国以上。1895年創立の NCA CASI・SACS CASI と 1933年創立の NSSE が2006年に AdvancED となり、その AdvancED が2018年に Measured Progress と合併して Cognia になりました
日本の大学に出願できるか — 根拠は告示第47号です
ここは間違えている解説が多いところです。IB や A レベルは、学校教育法施行規則第150条に直接書かれているのではありません。同条第4号(文部科学大臣が指定する者)を受けた昭和23年文部省告示第47号に列挙されています。
| 号 | 対象 |
|---|---|
| 第20号 | 国際バカロレア事務局が授与する国際バカロレア資格 |
| 第23号 | 英国の GCE A レベル、または国際 A レベル |
| 第24号 | ヨーロピアン・バカロレア |
| 第25号 | 評価団体の認定校の12年の課程の修了者——WASC・ACSI・Cognia・NEASC・CIS・COBIS |
告示の最終改正は令和6年8月1日です。
文部科学省のサイト内で号番号が食い違っています。まとめページ(「2024年6月時点」と明記)は評価団体ルートを「第24号」としていますが、告示の本文では評価団体は第25号で、第24号はヨーロピアン・バカロレアです。告示の改正が2024年8月1日なので、まとめページが追随していない可能性があります(断定はしません)。号番号を引くときは告示の本文を正本にしてください。
ただし、資格があることと入学できることは別です。文科省の事業サイトはこう書いています。
国際バカロレア資格を有する者は、我が国の大学への入学資格が認められます。大学に入学するためには、大学入学志願者が個々の大学の入学者選抜を経ることとされており…
実際の募集要項では、日本語の要件が付きます
タイ在住の日本人家庭に直接効くのがここです。上智大学の IB 入試(第1期)は、次のいずれかを求めています。
- Ⓐ 日本語A もしくは 日本語B の IB 科目を履修した者(学科により履修レベルや成績の基準あり)
- Ⓑ 日本語能力試験 N1 合格者
- Ⓒ 中学・高校にあたる6年の課程のうち、3年以上を日本の教育制度に基づく学校に通っていた者
バンコクで小学校からインター校に入れると、Ⓒ は満たせなくなります。その場合は日本語A/B の履修(Ⓐ)か N1(Ⓑ)で組み立てる必要があります。高校生になってから気づくと間に合いません。
早稲田大学 国際教養学部は、IB ディプロマ取得(見込)者は AO の国内選考・国外選考のどちらにも出願でき、文科省が認めた評価団体(WASC・CIS・ACSI・NEASC・Cognia・COBIS)の認定校の卒業者は4月入学の国外選考と9月入学選考に出願できるとしています。
学年暦が4か月ずれます
インター校は8月始業、日本人学校は4月始業です。転校の設計で最も効く違いです。
| 学校 | 始業 | 学期 |
|---|---|---|
| ISB(米国系) | 8月10日 | 2セメスター(第2セメスターは1月12日)。終業6月11日。学習日181日 |
| Bangkok Patana | 8月19日 | 3学期(〜12月18日/1月11日〜4月2日/4月19日〜6月25日)。180日 |
| Harrow | 8月20日 | 3学期(〜12月11日/1月5日〜4月2日/4月19日〜6月25日)。4月5〜16日はソンクラーン休み |
| Shrewsbury | 8月31日 | 3学期(〜12月18日/1月12日〜4月9日/4月26日〜7月2日) |
| 泰日協会学校(日本人学校) | 4月17日 | 3学期(〜8月7日/9月1日〜12月25日/1月7日〜3月11日) |
いずれも2026/27年度の日程です。インター校の学年が始まる8月は、日本人学校の1学期の途中にあたります。日本人学校は「各学期開始前に入学・編入学の受付手続きを行います」としています。
聞くときに使える形
- 「どの機関の、どの資格を扱っていますか」(IBO/ケンブリッジ/その他)
- 「MYP の eAssessment に登録していますか」(していなければ修了証は出ません)
- 「IGCSE の評定は A*〜G ですか、9〜1 ですか」
- 「日本語A/日本語B は開講されていますか。レベルは」(上智の要件Ⓐに直結します)
- 「認証はどの団体ですか」(WASC・CIS・ACSI・NEASC・Cognia・COBIS のどれか)
- 「タイの認可はどの区分ですか」
この記事で確かめられなかったこと
- PYP の修了時に出るもの。IB の下位ページの一部が取得できず、確かめた範囲に記載がありませんでした。
- 米国の Freshman/Sophomore/Junior/Senior と Grade 9〜12 の公的な1対1の対応。見つけられませんでした。3年制のハイスクールでは10年生が1年目になるため、そもそも1対1では対応しません。学年番号(Grade)で話すほうが確実です。
学校ごとの学費と条件は「学費は何でできているか」に、IB の認定の確かめ方は「タイのIB認定校を確かめる」にまとめました。制度は変わります。出願の前に必ず出典で確かめてください。
出典
- 国際バカロレア機構 PYP(2026-09-06 取得)
- 国際バカロレア機構 MYP(2026-09-06 取得)
- 国際バカロレア機構 DP(2026-09-06 取得)
- 国際バカロレア機構 DP の合格条件(DP passing criteria)(2026-09-06 取得)
- 国際バカロレア機構 CP(2026-09-06 取得)
- 国際バカロレア機構 2025年5月セッションの統計(2026-09-06 取得)
- ケンブリッジ国際教育 Primary(2026-09-06 取得)
- ケンブリッジ国際教育 Upper Secondary(IGCSE)(2026-09-06 取得)
- ケンブリッジ国際教育 Advanced(AS & A Level)(2026-09-06 取得)
- ケンブリッジ国際教育 IGCSE の評定(2026-09-06 取得)
- College Board AP のスコア(2026-09-06 取得)
- ACS WASC の概要(2026-09-06 取得)
- NEASC の概要(2026-09-06 取得)
- Cognia 認証(2026-09-06 取得)
- 昭和23年文部省告示第47号(大学入学資格・最終改正 令和6年8月1日)(2026-09-06 取得)
- 文部科学省 IB教育推進コンソーシアム 大学入試での取扱い(2026-09-06 取得)
- 上智大学 国際バカロレア入学試験(第1期)(2026-09-06 取得)
- Bangkok Patana School 2026/27 学年暦(2026-09-06 取得)
- Harrow International School Bangkok 学期の日程(2026-09-06 取得)
- 泰日協会学校(バンコク日本人学校)2026年度の日程(2026-09-06 取得)
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