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バンコクの日本食、店に入る前に知っておくこと

タイの日本食レストランは5,781店、うちバンコク都に2,609店あります。何の店が多いのか、一人あたりいくら払っているのか、日本の食材を使う店の見分け方、日本の食品が買える場所を、公的な調査と各社の公式情報だけで整理しました。店選びは扱いません。

この記事の要点

  • バンコク都には日本食の店が2,609軒あり、タイ全体5,781軒のおよそ45%が集まっています。探して見つからないことは、まず起きません。
  • いちばん多い業種は寿司ではなく、和定食や懐石を出す総合和食で1,398店です。寿司が1,250店、ラーメンが823店と続きます。
  • 客単価は101〜500バーツの中低価格帯に集まっています。ただしバンコクは他の地域より高い傾向にある、と報告書は書いています。
  • 日本の名前のチェーンでも、タイで動かしているのは現地の会社であることが多く、日本のサイトに店舗も価格も出てきません。営業時間もメニューもタイ側の公式サイトで確かめてください。
  • 日本の食材を使う店かどうかは、ジェトロが運用する日本産食材サポーター店の認定で見分けられます。認定期間は2年で、味の良し悪しを認めるものではありません。

バンコクで日本食を食べること自体は、まったく難しくありません。難しいのは、選択肢が多すぎて見当がつかないことのほうです。和定食の店、寿司屋、ラーメン店、居酒屋、とんかつ屋、抹茶の喫茶店が、同じ「日本食」というひとことでひとつの街に並んでいます。このページは、その全体像――どこに何軒あるのか、一人あたりいくら払うことになるのか、日本の食材を使っている店をどう見分けるのか、日本の食品はどこで買えるのか――を、公的な調査と各社の公式情報だけで整理したものです。どの店が良いかという評価は扱いません。

タイの日本食の店は5,781軒、うち2,609軒がバンコク

数を数えている公的な調査があります。日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所が毎年出している「タイ国日本食レストラン調査」です。いちばん新しい版は2026年1月20日に公表されました。店舗数の集計は2025年8月15日から10月31日にかけて行われ、対面・オンライン・電話の取材で確かめたと報告書に書かれています。

この調査で、タイ全国の日本食レストランは5,781店でした。前の年は5,916店だったので、135店減っています。ジェトロが2007年にこの調査を始めてから、店舗数が減ったのはこれが初めてです。

ここで数えているのは、次の3つを満たす店です。

  • 日本食、または日本風にアレンジされた料理を出している
  • 日本食のメニューが過半を占めている
  • 客席を備えている(客席を持たないデリバリー専門店は対象外)

つまり「日本人が経営している店」という数え方ではありません。タイの会社が運営していても、日本食を主に出していて客席があれば、この5,781店に入っています。逆に、配達だけをしている店はどれだけ日本食を出していても数に入りません。

どの県に何軒あるのか

同じ報告書には県別の内訳が載っています。店舗数の多いほうから10県を並べると、次のようになります。数字は2025年の店舗数と、前の年からの増減率です。

店舗数前年からの増減
バンコク都2,609店2.4%減
チョンブリー県355店2.2%減
ノンタブリー県343店4.7%減
チェンマイ県270店3.6%減
サムットプラカーン県173店4.9%減
パトゥムターニー県168店4.5%減
プーケット県137店3.5%減
ナコンパトム県106店1.9%増
ナコンラーチャシーマー県93店7.0%減
ソンクラー県92店7.0%増

バンコク都だけで2,609店です。タイ全体のおよそ45%がバンコクに集まっていることになり、2位のチョンブリー県(シラチャやパタヤのある県)の7倍以上あります。「バンコクで日本食を探して見つからない」ということは、まず起きません。

地方も空白ではありません。報告書には2020年以降、タイのすべての県で日本食レストランの営業が確認されていると書かれています。

減り方は地域で少しずつ違います。バンコクが2.4%減、バンコク近郊5県(ナコンパトム、ノンタブリー、パトゥムターニー、サムットプラーカーン、サムットサーコーン)が3.1%減、その他の地方が1.9%減でした。観光地であるチェンマイとプーケットも、この年は減った側に入っています。

いちばん多いのは寿司ではありません

業種別に見ると、店舗数がいちばん多いのは寿司ではなく、和定食や懐石料理を出す「総合和食」です。上位5つはこうなっています。

業種店舗数
総合和食1,398店
寿司1,250店
ラーメン823店
居酒屋459店
すき焼き・しゃぶしゃぶ437店

前の年から店舗数が増えたのはラーメン(2.6%増)と喫茶(6.4%増)だけです。鉄板焼きが横ばいで、それ以外の業種はすべて減りました。減り方が大きかったのは焼肉(9.0%減)と丼専門(8.6%減)です。

この調査は店を13の業種に分けています。分類の名前と、報告書に例として挙げられているメニューを並べると、バンコクで「日本食」と呼ばれているものの範囲がはっきりします。

業種報告書に挙げられているメニューの例
総合和食和定食、懐石料理
寿司寿司、刺身
ラーメンラーメン、餃子
居酒屋焼き鳥、唐揚げ、酒類
すき焼き・しゃぶしゃぶすき焼き、しゃぶしゃぶ
焼肉焼肉
喫茶抹茶ドリンク、和風ケーキ
丼専門牛丼、天丼、豚丼、海鮮丼
揚げ物専門豚カツ、串カツ、天ぷら
カレー・オムライスカレーライス、オムライス
総合洋食ハンバーグ、和風スパゲティ
鉄板焼き鉄板料理、お好み焼き、たこ焼き
蕎麦・うどん蕎麦、うどん

日本で「洋食」と呼ばれるハンバーグや和風スパゲティも、タイでは日本食の一種として数えられています。逆に、独立した区分としての「焼き鳥」はありません。焼き鳥は居酒屋の中に入っています。業種ごとの細かい事情は、寿司居酒屋・焼き鳥のページで別に扱っています。

一人あたりいくら払っているのか

同じ報告書に客単価別の店舗数が載っています。タイのグルメレビューサイトWongnaiのデータをもとに、ジェトロバンコク事務所が集計したものです。

客単価店舗数
100バーツ以下784店
101〜250バーツ2,116店
251〜500バーツ1,490店
501〜1,000バーツ689店

いちばん多いのは101〜250バーツの層で、次が251〜500バーツです。報告書は「客単価は101〜500バーツの中低価格帯に集中している」とまとめています。一食何千バーツもする店は目立ちますが、数のうえでは少数派です。

ただしバンコクの客単価は他の地域に比べて高い傾向にあると報告書は書いています。上の表はタイ全国の集計なので、バンコクだけで見れば、この分布より上にずれると考えたほうが実際に近くなります。なお、客単価の構成比は前の年度からほとんど変わっていません。

会計に足される税

タイの付加価値税(VAT)は7%です。タイ歳入局の公式説明では、タイで継続的に物品の供給やサービスの提供を行い、年間の売上高が180万バーツを超える事業者が課税対象になります。裏を返すと、売上がそこに届かない小さな店は課税事業者ではありません。同じ街の同じような料理でも、税の扱いが同じとはかぎらないということです。

メニューに書かれた金額に税やサービス料が含まれているかどうかは、店によって違います。上乗せがあるかどうかはメニューの表示で確かめてください。金額の下や欄外に小さく書かれていることがあります。

店の数が減ったのは何が起きたからか

ジェトロは店舗数の集計とは別に、12の会社・団体への聞き取り(2025年11月1日〜12月26日)を行っています。報告書に書かれている内容は次のとおりです。いずれも関係者へのヒアリングをもとにした記述で、統計そのものではありません。

  • タイ経済全体の低迷で外食産業全体が伸び悩んでいる
  • タイの消費者の日本食の知識と経験が上がり、市場が成熟段階に入った。単純な出店拡大では成長が難しい
  • 日本食レストランの集中するバンコクでは、主要顧客だった日本人駐在員と観光客の減少が消費鈍化の要因のひとつになっている
  • 「日本食であること」自体は差別化要因になりにくくなり、産地・品質・ストーリーを重視して選ぶ層が増えている
  • 単なる「高級」ではなく、価格に対する納得感と体験の価値がより求められる。若年層はトレンド性やSNS映え、話題性を重視する
  • 円安が進んで日本を訪れるタイ人が増え、おまかせ寿司・和牛・日本酒などの高級な食材は、タイ国内での消費を控えて「本場の日本で食べたい」という傾向がある

増えている側もあります。報告書は、ラーメン、喫茶、とんかつ、ハンバーグなどの専門店や、日本産の米にこだわる店への関心が高まっているとしています。喫茶が増えたのは抹茶ブームが牽引したと書かれています。今後については、明確な客層と、専門性・ストーリー・体験性を備えた店の成長が見込まれるとしています。

大きなチェーンは残り、小さな店が減っています

運営の形で見ると、減り方に偏りがあります。1店舗だけを経営するブランドと、2〜5店舗の小規模なブランドの減少が目立つ一方で、51店舗以上を持つ大規模なブランドの数は維持されていると報告書は書いています。ジェトロはこれを店舗展開の二極化と表現しています。

日本のチェーンはタイの会社が運営していることが多い

看板が日本のものでも、タイで動かしているのは現地の会社であることがよくあります。各社の公式サイトで確かめられる例を挙げます。

  • やよい軒 ― タイ公式サイトに、運営会社として บริษัท เอ็มเค อินเตอร์ฟู้ด จำกัด(MKインターフード)が示されています。同じサイトに出ている価格は、茶碗蒸しが79バーツ、海老入りの茶碗蒸しが89バーツ、鍋物が199バーツと209バーツです。
  • セントラル・レストランツ・グループ(CRG) ― 公式サイトのブランド一覧に、Yoshinoya、Ootoya、OOTOYA OKI、Katsuya、Pepper Lunch、Shinkanzen Sushi、Ramen Kagetsu Arashi、Katsu Midori Thailand、NAMA Japanese & Seafood Buffet、Arigato が並んでいます。日本でよく知られた名前が、ひとつのタイ企業のもとにまとまっています。
  • スシロー ― タイ公式サイトの店舗一覧は49店です。内訳はバンコク都内が32店(中心部25店、トンブリー側7店)、近郊が10店、東部4店、北部2店、南部1店となっています。

ここから実用的なことがひとつ出てきます。日本のサイトを見ても、タイの店舗や価格は出てきません。運営会社が別だからです。営業時間もメニューも金額も、タイ側の公式サイトで確かめてください。

日本の食材を使っている店かどうかを確かめる

「日本食」を名乗ることに資格は要りませんが、日本の食材を使っていることを公に示す仕組みはあります。海外における日本産食材サポーター店認定制度です。農林水産省が定めたガイドラインに基づき、ジェトロが運用・管理しています。

飲食店として認定されるための要件は、公式サイトによれば次のとおりです。

  • 日本産の食材や酒類を使った料理・酒を常に提供していること
  • メニューに日本産である旨を表示していること
  • 日本産食材・酒類の魅力や特長をPRしていること

小売店の場合は、日本産食材・酒類を常に販売していること、商品棚に日本産である旨が表示されていること、その魅力をPRしていることが要件です。認定を受けた店は指定のロゴマークを使えます。認定期間は2年で、続けるには再申請が必要です。認定の実務は、ジェトロが認めた19の認定団体と3の認定協力団体が担っています。

認定を受けている店は、ジェトロの「日本産食材認定サポーター店一覧」で探せます。国・地域と都市で絞り込め、種別も「飲食店」「小売店」「ECサイト」「その他」から選べます。絞り込みの国の一覧にタイが入っています。掲載されているのは店名・種別・国と地域・都市・住所です。世界全体では2026-09-01の時点で3,960件が該当しました。

この制度は「おいしい店」を認めるものではなく、日本産の食材を扱っていることを示すものです。味の話とは別だと考えてください。

日本の食品を自分で買うなら

外食ではなく食材を買いたいときも、選択肢はあります。ドン・キホーテのタイ法人が運営するDON DON DONKIは、公式サイトの店舗一覧に8店を掲載しています。セントラル・ウエストゲート、ファッションアイランド、タニヤプラザ、J-PARKシラチャ、シーコン・バンケー、MBKセンター、シーコンスクエア、トンローの8つです。このうちタニヤプラザ、MBKセンター、トンローの3店は24時間営業と公式サイトに書かれています。

先に触れたサポーター店の一覧では、種別を「小売店」にして絞り込むと、日本産食材を扱っている店を探せます。

供給そのものも増えています。ジェトロの輸出支援プラットフォームの説明によれば、日本からタイ向けの農林水産物・食品の輸出は2025年に735億円で、日本にとって世界で7番目の輸出額でした。前の年から約17.1%増えています。

世界のなかでのタイ

世界全体の数え方は別の調査があります。農林水産省が外務省の協力を得て2年に1回行っている「海外における日本食レストラン数」の調査です。2025年11月28日に公表された最新の結果では、海外の日本食レストランは18万1千店で、前回(2023年)から約6,000店減りました。

地域別の動きは方向が分かれています。アジアは中国の経済停滞の影響などで約9,600店(約1割)減った一方、中南米は約2,400店(約2割)増え、中東は約300店、アフリカは約110店、大洋州は約300店増えました。

ひとつ注意があります。ジェトロのタイ調査(毎年、現地取材)と農林水産省の世界調査(2年に1回、外務省協力)は別の調査で、数え方も時点も違います。ふたつの数字を足したり、そのまま比べたりはできません。タイの店舗数を知りたいならジェトロの調査を、世界の広がりを知りたいなら農林水産省の調査を見るのが素直です。

「どこがおいしいか」を知りたいとき

このページで扱ったのは数と仕組みの話で、味の評価は含んでいません。実際に行った人の評価を見たいときは、口コミの面にまとめています。バンコクの飲食店の口コミと評価をご覧ください。

行く店が決まったら、営業時間・定休日・価格は、その店の公式サイトで確かめてください。上で見たとおり、日本の同名店とタイの店は運営会社が違うことが多く、日本側の情報はあてになりません。

店で困ったとき

会計や言葉のことでどうにもならなくなったときのために、タイ観光警察が公式サイトにホットライン1155を掲載しています。同じサイトに、電話番号 02 134 0521 とメールアドレス info@touristpolice.go.th も出ています。

この先を詳しく知るには

出典

このページの内容は 2026-09-01 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。