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タオケーノイの海苔スナック、種類と作っている会社

タイのコンビニに必ずある海苔スナック、タオケーノイ。揚げ・焼き・炙り・天ぷら・ふりかけの5つの作り方と袋の大きさ、原料の海苔がどこから来るのか、19歳で始めた創業者と今の会社の姿までを、公式サイトと上場会社の開示資料だけで確かめて整理しました。

この記事の要点

  • 同じタオケーノイの袋でも、揚げ・焼き・炙り・天ぷら・ふりかけの5つの作り方に分かれます。海苔に何をしているかが違うので、食感も味の付き方も別ものです。
  • 原料の海苔はタイ産ではありません。会社は大半を韓国から調達していると明記し、韓国からの乾海苔の輸入がこれまで95%を超えてきたと書いています。
  • 作っているのはタイ証券取引所に上場する食品会社(証券コードTKN)です。2025年12月期の売上は5,307.91百万バーツで、国内が増えた一方、国外は17.1%減りました。
  • タイの海苔スナックでのシェアは、年次報告書ではおよそ65%です。公式サイトには70%を超えるという記述もありますが、こちらは時点が書かれていません。
  • 創業者のイッティパット氏は19歳でこの商売を始めました。ただし2025年からの最高経営責任者は姉のオラパット氏だと、投資家向けページに書かれています。

タイのコンビニやスーパーの菓子棚で、必ずといっていいほど目に入る海苔のスナックがあります。袋に笑った男の子の顔が描かれた、タオケーノイ(เถ้าแก่น้อย)です。ブランドの公式サイトによれば、この名前はタイ語で「小さな社長」という意味です。作っているのはタイ証券取引所に上場している食品会社で、同じブランド名の袋でも、揚げたもの・焼いたもの・炙ったもの・天ぷらにしたもの・ふりかけにしたものが別々に並んでいます。このページは、その分かれ方と、原料の海苔がどこから来ているのか、19歳で始めたという創業者が今どういう立場にいるのかを、公式サイトと上場会社としての開示資料だけで確かめて整理したものです。どの味がおいしいかという評価は扱いません。

作っているのはどういう会社か

会社の登記や決算にかかわる数字は、同社が投資家向けに公開している資料に載っています。2026-09-01に確認した内容です。

項目公式資料の記載
会社名Taokaenoi Food & Marketing Public Company Limited
証券コードTKN(タイ証券取引所)
本社ノンタブリー県パククレット郡バンプット(住所はBond Street 337)
設立2004年9月21日、商務省に資本金100万バーツの有限会社として登記
上場2015年12月3日。公募価格は1株4バーツ
工場パトゥムターニー県のノッパウォン工場と、アユタヤ県ロジャナ工業団地の工場の2か所
2025年12月期の売上5,307.91百万バーツ(前期は5,712.32百万バーツ)
同期の純利益409.20百万バーツ(連結。前期は836.85百万バーツ)

売上の内訳は、タイ国内が2,339百万バーツで44.1%、中国が1,121百万バーツで21.1%、その他の国が合わせて1,848百万バーツで34.8%です。国内売上は前期比9.8%増で過去最高だった一方、国外が17.1%減ったため、全体では減収になっています。タイで生まれた商品が国外へ出ていく筋道という点では、クラティンデーン(タイ生まれのエナジードリンク)と似た位置にある会社です。

海苔スナックは5つの作り方に分かれます

同社は投資家向けの商品説明で、海苔製品を製法によって5つに分けています。袋の見た目が違うだけでなく、海苔に何をしているかが違います。

揚げ海苔(Crispy Seaweed)

海苔を油で揚げ、自社の調味粉をふって切り、袋詰めしたものです。公式説明では、この系統の商品名として Taokaenoi、Taokaenoi Big Sheet、Konomi、Nora が挙がっています。タイ国内の主力はこの揚げ海苔で、2025年の伸びは0.6%ほどと落ち着いていますが、量としては今も土台です。

焼き海苔(Grilled Seaweed)

海苔を自社のたれにくぐらせ、専用のオーブンで焼いたものです。袋に入れるほか、形を作ってから詰めるものもあります。商品名は Taokaenoi BigRoll、Taokaenoi BigBag、Taokaenoi Wave です。BigRoll は棒状に巻いたもので、1袋が一口ぶんに近い小ささから、まとめ買い向けの大袋まであります。

炙り海苔(Roasted Seaweed)

油で揚げず、熱で炙ってから調味粉をふって袋詰めしたものです。日本の味付け海苔に近い見た目で、公式サイトのタイ語ページでも「熱を通して焼くのでカロリーが低い」と説明されています。同社の2025年12月期の説明では、この炙り海苔が4年続けて伸びており(前期比6.7%ほど)、健康を意識する流れと、おかずとして食べやすいことが理由に挙げられています。近い将来にタイの海苔スナック市場で最大の区分になると同社は見ています。

天ぷら海苔(Tempura Seaweed)

海苔を衣にくぐらせ、きつね色になるまで揚げてから調味粉をふったものです。商品名は Taokaenoi Tempura と Taokaenoi Hi-Tempura。ほかの4つと比べると厚みがあり、食感がはっきり違います。

ふりかけの海苔(Topping Seaweed)

海苔を細かくちぎって調味粉と混ぜたもので、公式説明は「ご飯、カレー、スープにふりかけたり、おかずの添えものとして食べたりするのに向く」としています。同社によると、この区分は2025年に150%を超えて伸びました。まだ規模は小さいものの、ご飯と一緒に海苔を食べる習慣が広がっているという読みで、力を入れている系統です。海苔をご飯に載せる食べ方そのものは、バンコクで寿司を食べるときに見かける板海苔とは別物で、こちらは日本でいうふりかけに近い扱いです。

タイの店頭に並ぶ味

公式サイトのタイ向け商品ページに載っている区分と味です。国や時期によって入れ替わるので、同じ袋がいつでもあるとは限りません。

区分公式ページに載っている味
Crispy(揚げ)クラシック、スパイシー、シーフード、トムヤムクン、スパイシーBBQ、ポップコーンチーズ
Big Sheet(揚げ・大判)クラシック、スパイシー、チーズ、シーフード、ジャパニーズソース、キムチ、コーンスープ、サワークリームオニオン、トムヤムクン
Roasted(炙り)クラシック、スパイシー、キムチ
Season Lavered(味付け)クラシック40g、キムチ、かつおだし
Big Roll(焼き・巻き)クラシック、スパイシー、スパイシーBBQ、焼きイカ
Big Bag(焼き・大袋)クラシック、スパイシー、焼きイカ
Grill(Wave)オリジナル、焼きイカ
Tempura(天ぷら)オリジナル、スパイシー
Topping(ふりかけ)しいたけ、シーフード、バーベキュー、しょうゆ、チリ

同社は2025年だけで、海苔の全区分にわたって40を超える新しい品目を出したと説明しています。棚の顔ぶれが年ごとに変わるのは、そのためです。

袋は何グラムあるのか

同じ味でも容量が何種類も用意されています。公式の商品ページに出ている、クラシック味の容量です。

区分公式ページに出ている容量
Crispy(揚げ)クラシック8g/12g/30g/45g
Big Sheet クラシック3.5g/7g/28g/56g
Big Roll クラシック0.9g/3g/7g(XL)/9g/27g/36g/49g

小さい袋は1回で食べきる想定、大きい袋は分けて食べるか配る想定です。お土産にまとめて買うなら大袋、配るなら小袋がたくさん入った箱、という分け方になります。

タイの海苔はどこから来るのか

タイの商品なのだから海苔もタイ産だろう、と思うと外れます。同社の年次報告書は、主原料を「Pyropia 属の紅藻である海苔」と書いたうえで、この海苔の養殖と加工が商業的に行われているのは韓国・日本・中国の3か国に限られ、収穫は冬に年1回だけだと説明しています。ミネラルと水温の条件が合う場所でしか育たないためです。

そのうえで同社は「海苔原料の大半は韓国から調達している」と明記しています。リスクの説明ではさらに踏み込み、これまで韓国からの乾海苔の輸入が95%を超えてきたと書かれています。2025年12月期の調達内訳として公表されている金額は、韓国からの乾海苔が1,496,240,000バーツ、タイ国内からの包装資材が753,840,000バーツです。原料はタイに着いたあと冷蔵倉庫で保管されます。

工場の生産能力は海苔以外も含めて年8,100トン、稼働率は57%と開示されています。「タイの海苔」といっても、育てているのはタイではなく、タイでやっているのは味付けと加工と売り方だ、というのが実態です。

タイの海苔スナック市場でどれくらいの位置にいるのか

同社が調査会社AC Nielsenの数字として載せているところでは、2025年12月時点のタイの菓子市場は全体でおよそ49,107百万バーツ。最大はポテトチップスの約15,700百万バーツ(32%)で、海苔スナックは約3,716百万バーツ、全体の7.6%です。海苔スナックの区分は前年から約3.7%伸びました。

この区分でのタオケーノイのシェアは、同社の説明では2025年でおよそ65%です。ブランドの公式サイトには「タイ最大の海苔メーカーで、シェアは70%を超える」という記述もありますが、こちらは時点が書かれていません。年で区切った数字が要るときは、年次報告書に出ている65%のほうを見てください。

売れている場所も偏りがあります。海苔スナックの販売はコンビニがおよそ66%、スーパー・ハイパーマーケットが約24%、個人商店などの伝統的な小売が約10%です。2025年はコンビニが8%伸びた一方、伝統的な小売は約12%減り、スーパー・ハイパーは約2%減りました。同社は、スーパー・ハイパーの落ち込みの理由として、中国からの旅行者が減ったことを挙げています。お土産として買われる比率が高い商品だということが、ここに出ています。

創業者はどんな人か

ブランドの公式サイトが名前を出しているのは、イッティパット・ピーラデチャパン氏(Itthipat Peeradechapan、愛称トップ)です。公式サイトの説明では、19歳のときにこの海苔スナックの商売を始めたとされています。

同じページに書かれている経緯はこうです。もともとは学校を抜け出してゲームばかりしていた少年だったが、2002年に家業が行き詰まり、家の借金が4,000万バーツを超えた。そこから家族を助けるために動きはじめ、試行錯誤のすえに海苔にたどり着いた。調理法と味で勝負すると決め、コンビニのセブン-イレブンに置いてもらう道を探し、独学と自前の調査だけで進めて、最終的に3,000のセブン-イレブンの棚に自分の海苔を並べた——という筋書きです。会社の登記はその後の2004年9月21日、資本金100万バーツからの出発でした。

今の会社での立場

ここは公式資料のあいだで書きぶりが分かれるので、分けて書きます。ブランドの公式サイトの「About Us」は、今もイッティパット氏を「founder and ceo」と書いています。一方、上場会社としての開示にあたる投資家向けページでは、2025年から最高経営責任者を務めているのはオラパット・ピーラデチャパン氏(Ms. Orrapat Peeradechapan)で、同ページには「イッティパット氏の姉」と明記されています。経営の現況を知りたいのであれば、開示にひもづく投資家向けページのほうが確かです。

株の持ち分は開示されています。2025年8月27日時点の大株主は、1位が Peeradechapan Holding Company Limited で26.09%、2位が個人としてのイッティパット・ピーラデチャパン氏で22.30%、3位が Major Cineplex Group で10.24%です。オラパット氏が4.23%、ナッチャットポン・ピーラデチャパン氏が3.52%と続きます。創業者は経営の第一線からは退いたように見えますが、株主としては最大の個人株主のままです。

会社の歩み

投資家向けページに載っている年表から、外から見て意味の分かる出来事だけを抜き出しました。

出来事
2004会社を登記し、ターイット事務所に最初の工場を開く
2005初めての輸出。最初の相手はシンガポール
2007ノッパウォンに2つ目の工場。年商が10億バーツを超える
2009子会社を作り、土産物店「Taokaenoi Land」を始める
2011調味粉の会社NCPを買収。年商が20億バーツを超える
2013公開会社に組織変更
2015ロジャナ工業団地に新工場を着工。12月3日に上場
2017米カリフォルニアの海苔焼成工場を買収(のちのTaokaenoi USA)
2019米国法人を工場から販売拠点に切り替える
2022個人商店向けの流通を組み直し、国内14社の代理店と組む
2024売上5,712百万バーツ、純利益836百万バーツで20年で最高

インフルエンサーと組んで売るというやり方

この会社を見ていておもしろいのは、商品そのものより売り方のほうかもしれません。年次報告書の販促の項目には、統合的なマーケティング・コミュニケーションの手段として、デジタル媒体とSNSでの広告、店頭での販促、狙う客層に合わせたインフルエンサーとの協業、話題づくりのための限定品や共同ブランドの4つが並んでいます。タイでSNSやインフルエンサーを使った売り方の実例を探しているなら、開示資料に中身まで書かれているぶん、この会社は追いかけやすい対象です。

タイ国内でやっていること

2025年12月期について同社が挙げているのは、次のような活動です。「Every Day, Every Moment(毎日、どんなときも)」という言い方で、子どもと家族から働く世代まで幅広く狙う。小売店・オフィス街・学校・地方の市場に販促ブースを出し、旧正月やバレンタイン、ソンクラーンといった時期に合わせる。地方でミニコンサートを開く。ご飯にかける海苔については新しいブランド出演者を立て、「子どもが好きで、母親も楽しめる」という打ち出しで各媒体に流す。年末にはゲームの見本市に「Taokaenoi Toynity」という名前で出展し、オンラインゲームをする10代に接点を作る。さらに飲食店のネットワーク24店と組み、食事と一緒に海苔を食べる機会を増やす——という具合です。

国外の市場では

国外はもっとはっきりしています。中国では、値下げ競争を避けるため、通販の予算を従来型のプラットフォームから、内容で買わせる型のSNS通販(抖音や小紅書)に振り替えたと書かれています。配信の回数を増やすのではなく、ファンを持つブランドアンバサダーと組んで成約率を上げる方針をとり、年末には新しいグローバルアンバサダーを立てて、微博と小紅書で数億回の表示、広告換算で30〜50百万バーツに相当する反響が出たとしています。米国ではTikTokとInstagramへの投資を増やし、商品が実際に置かれているロサンゼルス・サンフランシスコ・サンディエゴにいるインフルエンサーと組む。インドネシアでは大型の見本市に出展し、話題のインフルエンサーをブースに呼んで盛り上げる。いずれも「その土地で影響力のある人を、その土地の売り場に近いところで使う」という組み立てです。

SNSでの評価

結果として、同社は Thailand Social Awards 2025 で2つの賞を受けたと報告しています。スナック部門の「Thailand's Social Power Brand 2025」と、食品・スナック部門の「Best Brand Performance on Social Media」で、受賞は2年続けてです。この表彰は BrandAge が Ocean Sky Network と組み、Mandala AI のしくみでブランドの発信と消費者の反応を分析して順位づけしたもので、対象は44業種、集計期間は2024年7月1日から2025年6月30日までのSNSデータだと説明されています。

どこで買えるのか

公式の商品ページが挙げているタイ国内の販売先は、直営の Taokaenoi Land のほか、Makro、CJ Express、セブン-イレブン、ロータス、ファミリーマート、Tops Market、Gourmet Market、Big C です。オンラインでは、公式の Taokaenoi Shop Online、Shopee、Lazada、セブン-イレブンのデリバリーが挙げられています。
同じ一覧に Foodpanda も載っていますが、こちらはタイでは使えません。2026-09-01に確かめたところ、foodpanda.co.th は Robinhood のアプリ案内へ転送され、運営元 Delivery Hero が公表しているブランド別の展開国一覧にもタイは入っていません。メーカーの公式ページの更新が追いついていない形です。要するに、食料品を置いている店ならたいてい置いてある、という位置づけです。

値段は店と時期で動くうえ、公式サイトは価格表を出していません。ここで金額を書いても当てにならないので、実際の棚で確かめてください。海苔スナックを酒の肴にする話が気になるなら、バンコクの居酒屋の話のほうも合わせて読めます。飲食店そのものの評判を見比べたいときは、点をつけて比べる面であるバンコクの飲食店の口コミと評価を見てください。この記事は「知る」ための面なので、店を選ばせることはしません。

日本へ持ち帰るとき

土産に箱でまとめ買いすることが多い商品なので、免税の枠だけ押さえておきます。税関の案内では、酒・たばこ・香水以外の「その他の品目」は、海外市価の合計額が20万円までなら免税です。さらに、1品目についての海外市価の合計額が1万円以下のものは、原則としてこの20万円の枠に含めません。海苔スナックは1袋あたりが安いので、常識的な量なら枠に触れることはまずありませんが、転売目的とみなされる量は別扱いになります。細かい条件は税関のページで確かめてください。

海苔以外にも広げている

最後に、袋の裏側にある事情をもうひとつ。同社は海苔以外の商品を増やす方針を明確にしています。年次報告書に名前が出ているのは、100%とうもろこしの焼き菓子「Wow Corn」、こんにゃくの菓子「SUPER GROOB」、プロバイオティクスのサプリメント「MePoonn」などです。2025年の第4四半期には、映画館を運営する Major Cineplex Group と51対49の合弁会社を作り、袋入りポップコーンの販売を始めています。同じ時期にインドネシアにも現地法人を設立しました。一方で、赤字が続いていた「71 Moo Kratha」というムーガタの飲食事業からは撤退しています。海苔で当てた会社が、次の柱を探している最中だ、というのが今の姿です。

もう少し知りたいとき

この記事で使った数字は、すべて同社の公式サイトと、上場会社として公開している年次報告書(Form 56-1 One Report、2025年12月期)から取っています。原料の産地や市場シェアは年ごとに動くので、最新の値が要るときは同社の投資家向けページを直接見てください。タイで買って食べるもの全般の話は食べる・飲むの記事一覧から辿れます。

出典

このページの内容は 2026-09-01 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。