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バンコクのタクシーと配車アプリ、乗る前に知っておくこと

街で拾うメーターのタクシーと、アプリで呼ぶ車は別の制度で動いています。運賃の決まり方、空港の乗り場と追加料金、車と運転手を確かめる方法、もめたときの連絡先を、運輸省・陸運局・空港会社の公式情報だけで整理しました。

この記事の要点

  • 路上で手を挙げて拾えるのはメーターのタクシーだけです。アプリ専用の営業車は、手を挙げて止める客を待って乗せてはいけないと陸運局の告示で決まっています。
  • メーターの運賃は運輸省の告示どおりで、最初の1kmが35バーツ、3列構造の乗用車・ワゴンは40バーツです。時速6kmを超えて進めないときは1分につき3バーツが積み上がります。
  • アプリで呼ぶ車は、乗る前に金額が出ます。ただし運賃は告示が上限と下限の幅で決めていて、その中でアプリが計算した額です。高速道路の通行料はふつうその金額に含まれません。
  • 空港の指定された乗り場で待っているタクシーに乗ると50バーツ、電話やアプリで配車を頼むと20バーツが、メーターの表示に加算されます。
  • もめたときの相談先は陸運局の1584です。苦情の受付は車のナンバーが必須なので、乗る前にナンバーを写真に撮るか、アプリで呼んで履歴を残しておいてください。

バンコクで車に乗るとき、街で手を挙げて拾うタクシーアプリで呼ぶ車は、見た目は似ていても別の制度で動いています。運賃の決まり方も、客の乗せ方の決まりも、もめたときの相談先も違います。このページは、その違いと、タイの運輸省・陸運局・空港会社が公表している数字を整理した「知るための」記事です。どの会社が良いかという評価は扱いません。

制度としては3つに分かれます

  • メーターのタクシー(รถแท็กซี่มิเตอร์)… 運賃は運輸省の告示で決まっていて、メーターの表示どおりに払います。路上で拾えるのはこれです。
  • アプリ専用の営業車(รถยนต์รับจ้างผ่านระบบอิเล็กทรอนิกส์)… 自家用の乗用車を営業車へ登録変更したものです。運賃は告示が幅(上限と下限)で決めていて、その中でアプリが乗る前に金額を出します。
  • 特別型のタクシー(TAXI-VIP)や空港のリムジン… 上の2つとは別の料金体系です。

アプリの中には、メーターのタクシーを呼ぶ機能と、アプリ専用の営業車を呼ぶ機能の両方を持つものがあります。同じアプリでも、どちらを選んだかで運賃の決まり方が変わります。

メーターのタクシーはいくらか

バンコク都内で登録されたタクシーの運賃は、運輸省告示「バンコク都内で登録された七人乗り以下の旅客営業車の運賃および付帯料金の定め 仏暦2565年」で決まっています。陸運局法務室が本文を公開しており、官報は第140巻 特別号8 ง、公示は2023年1月12日です。告示は車種で2段に分けていて、第3条(1)に挙がる3列構造の乗用車・ワゴン(รถเก๋งสามตอน など)は最初の1kmが40.00バーツ、(2)のそれ以外は35.00バーツです。2km目からの単価は両者で同じです。

区間告示の金額
最初の1km(3列構造の乗用車・ワゴン)40.00バーツ
最初の1km(それ以外の車)35.00バーツ
1km超〜10kmまで1kmにつき6.50バーツ
10km超〜20kmまで1kmにつき7.00バーツ
20km超〜40kmまで1kmにつき8.00バーツ
40km超〜60kmまで1kmにつき8.50バーツ
60km超〜80kmまで1kmにつき9.00バーツ
80km超1kmにつき10.50バーツ
時速6kmを超えて進めないとき1分につき3.00バーツ

これとは別に「付帯料金」が第4条にあります。通信センターまたは電子的な通信システムを通して配車を頼んだ場合は、メーター表示に20バーツを加えます。ドンムアン空港またはスワンナプーム空港で、空港内の指定された場所に待機しているタクシーに乗った場合は50バーツを加えます。

この告示が対象にしているのは1992年4月17日以降に登録された営業車で、特別型(TAXI-VIP)と電子システム経由の営業車は含まれません。陸運局が公開している運賃計算のページ「TAXI ดีพร้อม」も、バンコクの規則として「最初の1kmは35バーツ」「時速6km未満のときの渋滞料金は1分3バーツ」と表示します。

アプリで呼ぶ車は、乗る前に金額が出ます

アプリ専用の営業車の運賃は、運輸省告示「電子システム経由の旅客営業車の運賃および付帯料金の定め 仏暦2564年」(官報 第138巻 特別号278 ง)で決まっています。こちらは1つの金額ではなくで定められているのが特徴です。

車の大きさ最初の2km2km超の1kmごと
小型40〜45バーツ6〜10バーツ
中型45〜50バーツ7〜12バーツ
大型100〜150バーツ12〜16バーツ

同じ告示は、加算される分も決めています。事前に運賃を計算する仕組みが「渋滞で通常どおり走れない」と評価した場合は1分につき2バーツを加算します。電子システム経由で頼んだことに対する付帯料金は20バーツです。車の数と需要が釣り合わないときの上乗せは運賃の1倍を超えず、かつ200バーツを超えてはならないと書かれています。そして請求できるのは、陸運局が認証した事前計算システムが端末に表示した金額だけです。

メーターの車とアプリの車、どう使い分けるか

好みの問題に見えて、実は制度がかなりの部分を決めています。陸運局告示「電子システムの要件と認証の基準 仏暦2564年」(官報 第138巻 特別号261 ง)には、次のことが書かれています。

  • アプリ専用の営業車の運転手は、手を挙げて止める客を待って乗せてはいけません(第12条(5)(ฉ))。路上で拾えるのはメーターのタクシーだけ、という線引きはここから来ています。
  • 乗客用のアプリは、呼べる車を①メーターのタクシー、②電気だけで走るアプリ専用車(あれば)、③それ以外を運賃の安い順という順番で示さなければなりません(第3条(3))。
  • アプリは車種ごとに運賃と付帯料金の内訳を表示しなければなりません(第3条(4))。
  • 配車が確定して車を待つあいだ、アプリは運転手の氏名と写真、ナンバー、登録した県、車の種類・型・色を表示しなければなりません(第3条(13)(ข))。
  • 降車後に、運賃と移動の要約を表示し、日時・乗降場所・距離・所要時間・運賃を利用履歴として残さなければなりません(第3条(12))。

つまり、行き先を口で伝えるのが不安なとき、金額を先に確定させたいとき、あとで記録を出したいときは、アプリ側に寄せる理由があります。逆に、目の前に空車がいて短い距離を動くだけなら、メーターのタクシーのほうが手数が少なくて済みます。渋滞のときはメーターに1分3バーツが積み上がるので、動かない時間が長いほど不利になります。

Grabのタイ公式サイトは、乗車前に料金がわかる仕組みについて「Know how much your trip will cost (excluding tolls and surcharges) before you book.(通行料と追加料金を除いた金額が、予約前にわかります)」と書いています。支払いは現金、クレジット/デビットカード、GrabPay が挙げられています。Bolt の公式サイトのバンコクのページは、Economy、Bolt、Comfort、XL、Taxi、Motor、Ladies の7つの区分を挙げています。

そのアプリが認証を受けているか

タイでは、配車アプリの事業者そのものが陸運局の認証を受ける建て付けになっています。前述の陸運局告示は、認証を受ける事業者の条件として、タイの法律にもとづく法人であること、登録資本金が500万バーツ以上であること、タイ国内に自社の事業所を持つか3年以上の賃貸借契約があること、緊急時に24時間対応できる担当者を置くことを挙げています(第4条)。認証書の有効期間は3年です(第7条)。

さらに、認証を受けてから30日以内に国内銀行の保証を差し入れる義務があり、金額は登録車両数で段階的に決まります(第10条)。車1,000台以下で100万バーツ、1,001〜10,000台で200万バーツ、10,001〜50,000台で300万バーツ、50,001〜100,000台で500万バーツです。運転手から取る手数料は運賃の25%を超えてはならず、メーターのタクシーで受けた仕事からは取ってはいけません(第12条(12))。大臣が定めた最低運賃を下回るような値引きや販促も禁じられています(第12条(11))。

個別のアプリについては、スワンナプーム空港の公式ページが、空港に乗降場所を設けているGrabについて「The Grab taxis provided are certified by the Department of Land Transport, ensuring legal compliance.(提供されるGrabのタクシーは陸運局の認証を受けており、法令に適合しています)」と書いています。認証を受けている事業者は入れ替わるので、最新の状況は陸運局(電話1584)で確認してください。

空港からタクシーに乗るとき

スワンナプーム空港の公式ページによると、公共タクシーの案内カウンターと自動発券機は旅客ターミナル1階、4番ゲートと7番ゲートのあいだにあります。整理券を取ってから乗る決まりで、待ち時間はそのときの混み具合によります。料金については、同ページが「運輸省の告示により、運転手に対して50バーツの追加料金」「通行料は乗客が支払う」と明記しています。渋滞料金は「タクシーが時速6km未満で動いている状態」と定義されています。

サービスは2種類に分かれます。短距離は空港の周辺で20kmを超えない範囲、通常距離は陸運局の告示にもとづき、乗客と運転手の合意で柔軟に価格を決められる、と書かれています。同ページには陸運局の注記として、バンコク登録のタクシーがバンコク外へ向かう場合(ノンタブリー、パトゥムターニー、サムットプラーカーン、チャチュンサオ、サムットサーコーン、ナコンパトムの各県、およびその県外での雇用が終わるまで継続する場合)は、メーターの使用に加えて価格の合意による収受ができる、とあります。問い合わせはタクシーサービスカウンター +66 2 132 0360 です。

空港の案内ページ「Ways to transport」には、乗り場と初乗りがまとめられています。以下は2026-08-31に同ページで見た内容です。

種類場所公式表示の初乗りなど
タクシー本館1階、4〜7番ゲート(内側車線)・24時間35または40バーツから。メーター運賃に加えて空港追加料金50バーツ
EV Society Taxi VIP本館1階、4〜7番ゲート(中央車線)・24時間初乗り150バーツ+陸運局の規則によるメーター運賃
CABBY Electric VIP Taxi本館1階、3番ゲート(中央車線)・24時間初乗り150バーツ+メーター運賃+運転手へのサービス料100バーツ
Grab本館1階、4番ゲート(外側車線)・24時間指定の乗降場所。空港内のどこからでも呼べるが、乗降はこの場所
AOT Limousine本館2階のカウンター・24時間Eco Sedan 550バーツから。当日窓口のみ

AOT Limousine の車種別の下限は、公式ページによると Eco Sedan 550バーツ、SUV 650バーツ、Standard Sedan 750バーツ、Standard Van 850バーツ、Premium Sedan 1,000バーツ、Premium Van 1,150バーツ、Luxury Sedan 1,300バーツです。24時間の案内は +66 63 237 0000 です。Grab の乗降場所についての問い合わせは +66 2 021 2530、同ページは Grab Taxi、Grab Car、Just Grab の3種類が使えると書いています。なお同じ案内ページには、手荷物の料金が運輸省の規則にしたがってかかる場合がある、とも書かれています。金額はそのページには出ていないので、乗る前にカウンターで確かめてください。

ドンムアン空港でも、指定の乗り場から乗ったタクシーには同じ50バーツの付帯料金がかかります。これは運輸省告示が両空港を名指ししているためです。

高速道路の通行料は運賃と別に払います

空港の公式ページが「通行料は乗客が支払う」と書いているとおり、高速道路(ทางพิเศษ)を使うと、その料金はメーターの表示とは別に必要です。運転手が立て替えることもあれば、料金所で現金を渡すよう求められることもあります。路線ごとの金額はタイ高速道路公社(EXAT)の公式サイトの「通行料金(อัตราค่าผ่านทาง)」のページに、ブーラパーウィティ、チャローンラット、シーラットなど路線別のPDFで掲載されています。改定があるので、金額はそこで確かめてください。

乗る前に「高速道路を使うか」を決めておくと、あとの行き違いが減ります。アプリの表示金額は通行料を含まないのがふつうです。

QRコードで車と運転手を確かめられます

陸運局は「TAXI ดีพร้อม」という確認の仕組みを公開しています。公式ページによると、目的は乗客の安全を高めることで、QRコードを使って車と運転手が正しいものかを確かめられるようにし、あわせて苦情の受付とサービスの評価もできるようにするものです。主な機能として、QRコードの読み取りによる車と運転手の確認、運転手の情報と営業の履歴の表示、不適切な行為の申し立て、サービスの評価が挙げられています。

使い方は4段階だと同サイトの手引きに書かれています。①タクシーに貼られたQRコードを読み取る、②表示された車の情報、ナンバー、運転手の情報を確かめる、③問題がなければ乗車する(移動の記録が残ります)、④降りたあとにサービスを評価する、という流れです。連絡先として電話1584とメール info@dlt.go.th が示されています。

もめたときの連絡先

公共の旅客車についての苦情は、陸運局が受け付けます。電話は1584、受付サイトは ins.dlt.go.th の「รับและตรวจสอบเรื่องร้องเรียนรถโดยสารสาธารณะ(公共旅客車の苦情の受付と調査)」で、同サイトのフッターに電話1584とメール 1584@dlt.go.th が記載されています。入口はタクシー、三輪タクシー、四輪の小型タクシー、バイクタクシーなど車種ごとに分かれています。

タクシーの受付フォームの見出しは「รับเรื่องร้องเรียนรถ ตามพ.ร.บ. รถยนต์ พ.ศ. 2522(1979年自動車法にもとづく車の苦情受付)」です。入力が必須になっているのは、車のナンバー、苦情の内容、発生した日付と時刻、発生した場所(県・郡・区)、申立人の氏名、身分証(タイの国民IDまたはパスポート)の番号、携帯電話番号です。申立ての目的として「口頭での注意」か「法にもとづく処分」かを選ぶ欄もあります。

つまり、ナンバーを控えていないと手続きが進みません。乗る前にナンバーを写真に撮っておく、あるいはアプリで呼んで履歴を残す、というのが現実的な備えになります。旅行者としての相談は、観光警察の1155もあります。タイ観光警察本部の公式サイトが「สายด่วน : 1155」として出しています。

鉄道と組み合わせると読みやすくなります

バンコクの車移動は、時間の読みにくさがそのまま料金に効きます。メーターのタクシーは時速6km未満で1分3バーツ、アプリ専用車も渋滞が見込まれると1分2バーツが上乗せされる仕組みです。朝夕に長い距離を動くなら、鉄道で幹線をまたいでから、駅から先だけ車にする組み立てのほうが読みやすくなります。

市内の高架鉄道と地下鉄の路線や運賃はバンコクのBTSとMRT、路線図の見方と乗り方に、空港と市内を結ぶ鉄道はスワンナプーム空港と市内を結ぶエアポート・レール・リンクにまとめています。地方へ長距離で移動するときの選択肢はタイ国鉄で地方へ行くときに知っておくことを参照してください。移動まわりの記事はバンコクとタイの移動に関する記事一覧から辿れます。

運賃も乗り場も、告示の改正や空港の運用変更で変わります。金額を確定させたい場面では、必ず各公式サイトで最新の表示を確かめてください。

出典

このページの内容は 2026-08-31 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。