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バンコクのトゥクトゥク、料金の決まり方と乗り方

トゥクトゥクは四輪のタクシーとは別の登録区分で走る三輪の営業車です。運賃がどう決まるのか、乗る前に何を決めておくのか、アプリで呼ぶ電動タイプ、料金でもめたときの連絡先、内バンコクの走行を制限する案までを、タイ陸運局と外務省の公式情報から整理しました。

この記事の要点

  • トゥクトゥクの運賃は、公式資料をあたった範囲では距離あたりの単価を定めた告示を見つけられませんでした。メーターが自動で計算する乗り物と同じつもりで乗らず、行き先と金額は走り出す前に言葉にして決めてください。
  • 金額の見当は、四輪のタクシーの告示運賃で概算できます。最初の1キロが35バーツ、三列座席の車は40バーツ、以降は1キロにつき6.50バーツからの単価です。
  • 制度のうえでは、トゥクトゥクは三輪の旅客営業車という独立した区分で、四輪のタクシーとは別物です。陸運局の苦情受付も、車種ごとに入り口が分かれています。
  • もめたときの窓口は陸運局の1584で、申告には車のナンバーが要ります。乗る前に写真を撮っておいてください。身の危険を感じるときは警察191、観光警察1155です。
  • アプリで呼ぶ電動のトゥクトゥクは別の乗り物です。運行するMuvMiの公式案内では、毎日6時30分から22時まで、市内12のゾーンの中だけを走り、ゾーンをまたぐ移動は提供していません。

バンコクの通りを、屋根と座席だけの三輪車が甲高い音を立てて走っていきます。トゥクトゥクです。同じ「客を乗せて走る車」でも、登録の区分も運賃の決まり方も、四輪のタクシーとは別の仕組みで動いています。ここでは、トゥクトゥクが制度のうえでどういう乗り物なのか、支払いをどう考えればよいのか、困ったときにどこへ連絡すればよいのかを、タイの行政と運行会社の公式資料、それに日本の外務省の情報から整理しました。どの車に乗るとよいかという評価は扱いません。

三輪の営業車という、独立した区分の乗り物です

タイ陸運局(กรมการขนส่งทางบก)の法務室が公開している自動車法(พระราชบัญญัติรถยนต์ พ.ศ. 2522)の要旨解説には、登録できる車の種類が17に分けて並んでいます。トゥクトゥクはその8番目、รถยนต์รับจ้างสามล้อ(รย.8/三輪の旅客営業車)です。四輪のタクシーは6番目のรย.6、公共のバイクは17番目のรย.17ですから、三者はそれぞれ別の区分として扱われています。

同じ資料には運転免許の区分も載っています。三輪の公共車を運転するための免許は「สามล้อสาธารณะ(公共三輪車)」で、有効期間は3年です。自家用の三輪車の免許が5年であるのに対して短く設定されています。免許を受ける人の年齢についても、原則は18歳以上、営業用の車(รถยนต์รับจ้าง)は22歳以上、公共のバイクは20歳以上と書かれています。街を走っているトゥクトゥクは、専用の登録区分と専用の免許のうえで動いている乗り物です。

見た目の似た乗り物と、どこで分かれているか

三輪だから、あるいは小さいからといって、ひとまとめに「トゥクトゥク」と呼べるわけではありません。同じ要旨解説の一覧をたどると、近い区分がいくつも並んでいます。

区分タイ語の呼び名どういう車か
รย.4รถยนต์สามล้อส่วนบุคคล自家用の三輪車。客を乗せて対価を取る車ではありません
รย.6รถยนต์รับจ้างบรรทุกคนโดยสารไม่เกิน 7 คน七人乗り以下の旅客営業車。いわゆるメーターのタクシー
รย.7รถยนต์สี่ล้อเล็กรับจ้าง小型四輪の営業車
รย.8รถยนต์รับจ้างสามล้อ三輪の旅客営業車。トゥクトゥクはここ
รย.17รถจักรยานยนต์สาธารณะ公共のバイク。いわゆるバイクタクシー

この区分の分かれ方は、行政の窓口にもそのまま現れます。陸運局の苦情受付は入り口が車種ごとに分かれていて、タクシー、三輪の営業車、小型四輪の営業車、営業用のバイクが、それぞれ別の窓口として並んでいます。乗った車が何だったのかを言えないと、話が始まらない作りになっているということです。

いくら払うのか

四輪のタクシーには、告示で決まった運賃表があります

金額の見当をつけるために、まず比較の物差しを置きます。バンコク都内で登録された七人乗り以下の旅客営業車、つまりメーターのタクシーについては、運輸省告示(仏暦2565年)が距離ごとの運賃を定めています。官報には仏暦2566年1月12日付で掲載されており、2026-09-01に本文で確認できた金額は次のとおりです。アプリなどの電子的な仕組みを通して呼ぶ営業車は、この告示の対象から外れると本文に明記されています。

区間三列座席の車それ以外の車
最初の1キロ40.00バーツ35.00バーツ
1キロを超えて10キロまで1キロにつき6.50バーツ1キロにつき6.50バーツ
10キロを超えて20キロまで1キロにつき7.00バーツ1キロにつき7.00バーツ
20キロを超えて40キロまで1キロにつき8.00バーツ1キロにつき8.00バーツ
40キロを超えて60キロまで1キロにつき8.50バーツ1キロにつき8.50バーツ
60キロを超えて80キロまで1キロにつき9.00バーツ1キロにつき9.00バーツ
80キロを超える分1キロにつき10.50バーツ1キロにつき10.50バーツ
時速6キロを超えて進めないとき1分につき3.00バーツ1分につき3.00バーツ

このほか、電話や電子的な仕組みで呼んだ場合はメーター表示に20バーツ、ドンムアン空港かスワンナプーム空港の指定された乗り場で待っている車に乗った場合は50バーツが加算される、と同じ告示に定められています。

トゥクトゥクの運賃表は、公式資料からは確認できませんでした

陸運局法務室の法令データベースで公開されている運賃の告示は、四輪のタクシー(รย.6)と、電子的な仕組みを通して呼ぶ営業車を対象にしたものです。2026-09-01に探した範囲では、トゥクトゥク(รย.8)を対象にした同じ形の運賃告示は見つけられませんでした。見つからなかったことは「存在しない」ことの証明にはなりませんし、地方ごとの扱いまでは確かめていません。ただ、距離あたりの単価が公式に決まっているかどうかを確かめられない以上、メーターが自動で計算してくれる乗り物と同じつもりで乗るのは危ない、ということになります。

乗る前に決めておくこと

  • 行き先と金額を、走り出す前に言葉にする — 金額が決まらないうちは乗らない、と自分の中で先に決めておくと、その場で迷いません。
  • 金額の見当をつけてから話す — 同じ区間を四輪のタクシーで走ったらいくらか、上の表で概算しておくと、提示された額が自分の感覚とどれだけ離れているかを判断できます。
  • 車のナンバーを控える — 後述する陸運局の苦情受付は、車のナンバーを入力する作りになっています。乗る前に写真を撮っておくのがいちばん確実です。
  • 目的地と関係のない提案には乗らない — 「途中で店に寄る」「今日はその寺は閉まっている」といった話は、自分が頼んだ移動とは別の用件です。
  • 紙幣は小さく崩しておく — 釣り銭のやり取りは、金額の合意そのものを曖昧にしやすい場面です。

アプリで呼ぶ電動のトゥクトゥクもあります

バンコクには、電動のトゥクトゥクをアプリで呼ぶ相乗りサービスがあります。運行しているMuvMiの公式案内から、2026-09-01に確認できた内容を挙げます。

  • アプリで呼ぶオンデマンドの相乗りが基本で、同乗者を入れない貸し切りも選べます。
  • 営業時間は毎日6時30分から22時までです。
  • バンコク市内の12のゾーンで運行しています。アーリー〜プラディパット、バンスー、チュラ〜チットロム、スクンビット、シーロム〜サトーン、パホンヨーティン〜カセート、ラチャダー〜ラマ9、ラタナコーシン、戦勝記念塔、オンヌット、ベーリング〜ラサール、ウォンウィエンヤイの12か所です。
  • ゾーンをまたぐ移動は提供していません。各ゾーンの中の移動と、そのゾーン内にある大量輸送機関への接続が役割だと説明されています。
  • 乗り降りできる地点は市内全体で2,500か所以上設定されています。
  • 貸し切りは1台1時間あたり350バーツからという時間制です。
  • 支払いは、アプリ内のウォレットにクレジットカード・デビットカードか銀行のQRコードでチャージしておき、乗るときに車体のQRコードを読み取る形です。
  • 犬や猫を連れて乗りたい場合は、ペット同乗のメニューか貸し切りを選びます。
  • サービス提供区域を広げる予定は、公式案内の時点では「ない」と書かれています。

街で拾うトゥクトゥクとは、呼び方も、乗る場所も、金額の決まり方も別のものだと考えたほうが分かりやすくなります。

声をかけられて乗るときに気をつけること

日本の外務省が公開している「タイ安全対策基礎データ」(2026年4月13日更新)は、日本人の被害例として次のように書いています。「また、タクシーや三輪タクシー(トゥクトゥク)等の運転手を含め、見知らぬ者から声を掛けられ、安易に話に乗ることによる詐欺等の被害が発生しています。見知らぬ者から声を掛けられた際には十分警戒し、軽々しく話に乗らないことが肝要です。」

同じ資料は、旅行者が集まる観光地や繁華街、大型商業施設の周辺、安宿の周辺で犯罪が多いこと、不用意に狭い路地へ入り込むのは危険であることも挙げています。自分で探して乗るのと、向こうから声を掛けられて乗るのとでは、注意の度合いを変えたほうがよい、という読み方ができます。

料金でもめたとき、どこへ連絡するか

タイ陸運局は、公共の旅客車についての苦情を受け付ける窓口を持っています。電話は1584、メールは1584@dlt.go.thです。ウェブの受付は車種ごとに入り口が分かれていて、トゥクトゥクは「รถสามล้อรับจ้าง(三輪の営業車)」の窓口です。自動車法(仏暦2522年)に基づく車の苦情として受け付ける、とページに明記されています。

申告フォームで入力を求められるのは、次のような項目です。何を控えておけばよいかが、そのまま分かります。

  • 車のナンバー
  • 身分証明書(国民IDまたは旅券)の種類と番号
  • 申告する人の氏名、携帯電話番号、住所
  • 起きた日付と時刻
  • 起きた場所(県・郡・町の三段階を選ぶ形式)
  • すでに警察へ届け出ているかどうかと、その内容
  • 求めるもの(注意にとどめる、法に基づく手続きを求める、など)
  • 結果の連絡を希望するかどうかと、その連絡先

受け付けた件の進み具合を追いかけるページも、同じサイトに用意されています。

その場で身の危険を感じるとき、言葉が通じないときは、外務省の資料が挙げている連絡先が使えます。バンコクでは警察191(救急車の要請も可能)、観光警察1155(日本語・英語可)、消防199、在タイ日本国大使館は02-696-3000または02-207-8500です。チェンマイでは観光警察1155に日本人ボランティアがいる、と記載されています。

内バンコクでの走行を制限する案が意見公募にかけられました

陸運局法務室は、内バンコク(กรุงเทพมหานครชั้นใน)での三輪営業車の走行を制限する省令案について、その考え方を公開して意見を募りました。公募の期間は仏暦2569年7月28日から8月27日までです。

案の中身は、内バンコクでは三輪の営業車を走らせてはならない。ただし電動の三輪営業車である場合、または交通担当官が定めて告示した時間帯はこの限りでない、というものです。理由としては、内バンコクにワット・プラケオをはじめとする重要な寺院や国の史跡があり、内燃機関の三輪営業車による騒音と大気の汚染を整理するために管理区域とするのが適当だ、と説明されています。

これは案の段階で、施行されているものではありません。掲載ページの集計欄では、仏暦2569年8月29日21時56分の時点で1,446人が意見を寄せ、案の考え方に「反対」が65%(933人)、「賛成」が35%(513人)となっていました。禁止の対象になる区域がどこまでかは、このページには示されていません。なお、バンコクでの三輪営業車の登録の基準についても、仏暦2566年に告示案の意見募集が行われた経緯があります。今後どうなるかは、陸運局法務室のページで確認してください。

鉄道と組み合わせて考える

トゥクトゥクは、金額が事前のやり取りで決まる乗り物です。長い距離や、渋滞をまたぐ移動を任せると、金額の読みにくさがそのまま大きくなります。幹線は鉄道で動いて、駅から先の短い区間だけを任せる、という組み立てにすると考えやすくなります。

市内の高架鉄道と地下鉄の路線や運賃はバンコクのBTSとMRT、路線図の見方と乗り方に、空港と市内を結ぶ鉄道はスワンナプーム空港と市内を結ぶエアポート・レール・リンクにまとめています。地方へ長距離で移動するときの選択肢はタイ国鉄で地方へ行くときに知っておくことを参照してください。メーターのタクシーとアプリ配車の制度はバンコクのタクシーと配車アプリ、乗る前に知っておくことで扱っています。移動まわりの記事はバンコクとタイの移動に関する記事一覧から辿れます。

登録の要件も運賃の告示も、改正や事業者の運用変更で変わります。金額や条件を確定させたい場面では、必ず各公式サイトで最新の表示を確かめてください。

出典

このページの内容は 2026-09-01 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。