タイで会社をつくる手続き
社名の予約から設立登記、外国人事業法の許可、就労許可、そして毎月と毎年の税務まで。タイで非公開会社をつくるときに決まっている期限と金額を、役所の公式情報だけで順に並べました。
この記事の要点
- 会社の登記が通っても、外国人がその会社で働くには就労許可が別に要ります。払込済みの登録資本200万バーツ以上、または国外から300万バーツ以上の投資で外国人1人、その1人につき常勤のタイ人4人が求められます。
- 会社をつくる手続きと、その会社が何をしてよいかは別々に進みます。外国人事業法の一覧に載る事業は許可が下りるまで始められず、リスト3では申請2,000バーツに加えて登録資本の1,000分の5(下限20,000バーツ、上限250,000バーツ)がかかります。
- 設立の登記は設立総会の日から3か月以内で、過ぎると総会からやり直しです。役所へ払う設立登記の手数料は、資本金がいくらであっても5,000バーツと示されています。
- 登記のあとは期限つきの手続きが続きます。年間の売上が180万バーツを超えるとVATの対象で、申告は毎月、翌月15日以内。決算は決算日から4か月以内に株主総会で承認し、承認から1か月以内に提出します。
- 決算書に付ける監査は公認会計士でなければできません。誰に頼むかは、タイ会計職業連盟のページで、名前・姓・登録番号から登録されているかを照会して確かめられます。
タイで会社をつくる、と一口に言っても、通る窓口はひとつではありません。会社そのものの登記は商務省の事業開発局、外国人が営むときの事業許可も同じ役所、働くための許可は労働省の雇用局、税は歳入局へ、というふうに分かれています。それぞれに決まった期限と金額があり、順番も決まっています。このページは、その順番と数字を公式に出ている情報だけで並べた「知るための」記事です。どの代行業者に頼むとよいかという評価は扱いません。
このページが前提にしている会社の形
ここで扱うのは、タイでもっとも多く使われている非公開会社(บริษัทจำกัด)です。登記を受け付けるのは商務省 事業開発局(กรมพัฒนาธุรกิจการค้า)で、政府の手続案内でも担当機関としてこの局が示されています。支店や駐在員事務所、個人での営業は根拠になる決まりも窓口も別なので、このページでは触れません。
登記までに通る順番
- 社名を予約する — 事業開発局が運営する法人名の予約システムで行います。使うには利用登録(ユーザー名とパスワードの取得)が必要です。
- 基本定款(หนังสือบริคณห์สนธิ)を登記する — 会社の名前、目的、資本金、発起人を書いたものです。
- 株を引き受けてもらい、設立総会を開く — 招集の通知は、開催日から数えて7日以上前に出す必要があります。
- 株式の払込を受ける — 手続案内では、株式の額面の25パーセント以上と示されています。
- 設立の登記を申請する — 設立総会の日から3か月以内です。
この中で、自分の都合で縮められないのは「7日前の招集」と「3か月以内の登記」の2つです。とくに3か月を過ぎると、総会からやり直しになります。逆に言えば、社名の予約や定款づくりに時間がかかっても、そこは自分の速さで進められます。
登記そのものにかかる時間
手続案内には、役所側の処理時間として合計1時間(書類の確認50分、審査25分、署名10分)と書かれています。電子登記(e-Registration)の窓口も用意されていて、24時間受け付けると示されています。本人確認の方法は4種類、払込に使える銀行は5行と書かれています。
ただしこの1時間は、書類がすべてそろってからの時間です。社名が通るかどうか、株主全員の身分証明をそろえられるか、事務所の住所を使う承諾が取れるかといった準備は、この時間には入っていません。日数の見積もりは準備側でつくものだと考えてください。
登記のときに役所へ払うお金
| 項目 | 単位 | 公式表示の額 |
|---|---|---|
| 会社の設立登記 | 1件 | 5,000バーツ |
| 登記事項の証明(登記簿の内容証明) | 1通・5項目 | 200バーツ |
| 登記済であることの証明書 | 1通 | 100バーツ |
| 申請書類の写しの認証 | 1ページ | 50バーツ |
2026-09-06に政府の手続案内で確認した額です。資本金がいくらであっても設立登記は同じ額で示されています。証明書の類は、銀行口座の開設や取引先への提出のたびに必要になるので、1回で終わらない出費だと見ておくほうが実際に近くなります。
外国人が株を持つかどうかで道が分かれます
タイには外国人事業法があり、外国人が営むには許可が要る事業が一覧(บัญชี)の形で決められています。会社の登記そのものが通っても、事業が一覧に載っていれば、事業開発局の許可を受けるまでその事業は始められません。会社をつくる手続きと、その会社が何をしてよいかという話は、別々に進むということです。
許可(มาตรา 17)の手数料は、事業がどの一覧に載るかで変わります。
| 区分 | 申請の手数料 | 許可・証明書の手数料 | 示されている審査期間 |
|---|---|---|---|
| リスト3の事業(มาตรา 17/บัญชีสาม) | 2,000バーツ | 登録資本の1,000分の5。下限20,000バーツ、上限250,000バーツ | 合計2か月 |
| リスト2の事業(มาตรา 17/บัญชีสอง) | 2,000バーツ | 登録資本の1,000分の10。下限40,000バーツ、上限500,000バーツ | 合計2か月(うち閣議での審議に60日) |
| 投資奨励を受けている場合(มาตรา 12) | 2,000バーツ | 証明書 20,000バーツ | 合計15日 |
リスト3の許可は、事業開発局の局長が委員会の承認を得て可否を決める、と手続案内に書かれています。リスト2はさらに上の判断が要るぶん、示されている期間の内訳も長くなっています。
3つ目は、投資委員会(BOI)の投資奨励カードを持っているときの手続きです。許可を取り直すのではなく、奨励を受けた範囲の事業について証明書の交付を受ける形で、必要書類にも投資奨励カードの写しが挙がっています。示されている期間も15日と短くなっています。
自分の事業がどの一覧に当たるかは、事業の中身で決まります。ここは読み手が自分で判断するには重すぎるところなので、事業名を書き出したうえで、公式の手続案内と役所の窓口で確かめてください。
会社ができても、そのままでは働けません
その会社の代表者であっても、外国人がタイで働くには就労許可が要ります。雇用局が公表している基準では、会社の側に次の条件が求められます。
- 払込済みの登録資本が200万バーツ以上、または国外から300万バーツ以上を持ち込んで投資していること。この規模で外国人1人です。
- 投資の規模が200万〜300万バーツ増えるごとに、1人ずつ増やせます。
- 1社あたりの上限は10人と示されています。
- 外国人1人につき、常勤のタイ人を4人雇っていること。
- タイ人と法律上の婚姻をしている場合は、必要な投資の規模が半分になります。
つまり資本金の額と、雇っているタイ人の人数が、そのまま働ける外国人の人数の上限になります。「会社をつくれば働ける」ではありません。資本金をいくらにするかは、税や体面の話ではなく、何人が働けるかを決める数字だということです。会社の形を決める段階でここまで見ておかないと、あとから増資と登記のやり直しになります。
就労許可の手数料と有効期間
| 項目 | 公式表示の額 |
|---|---|
| 申請 | 100バーツ |
| 許可証(有効期間3か月以下) | 750バーツ |
| 許可証(3か月を超え6か月以下) | 1,500バーツ |
| 許可証(6か月を超え1年以下) | 3,000バーツ |
| 許可証の再交付 | 500バーツ |
| 職種の変更 | 1,000バーツ |
| 雇用主の変更 | 3,000バーツ |
許可の有効期間は2年、審査にかかる期間は2日と手続案内に示されています。申請は雇用局の窓口のほか、電子申請(e-WorkPermit)も挙げられています。必要書類には入国・滞在の許可(VISA)の写しが入っているので、ビザの側が先に整っている必要があります。就労許可とビザは別の役所が別々に出すもので、片方だけでは働けません。
登記のあとに、期限つきで続く手続き
付加価値税(VAT)
年間の売上が180万バーツを超える事業者は課税の対象です。登録は事業を始める前、または売上がその額に達してから30日以内と歳入局の説明に書かれています。税率は7パーセントで、輸出や国外で提供される役務などは0パーセントです。申告は VAT 30 という様式で毎月出し、期限は翌月の15日以内、提出先は管轄の歳入支局です。
法人税
税率は純利益の20パーセントです。会計期間の末日で払込資本が500万バーツ未満の小規模会社については、純利益が30万バーツから300万バーツまでの部分は15パーセント、300万バーツを超える部分は20パーセントと示されています。確定申告(CIT 50)は会計期間の末日から150日以内、中間の予定納税(CIT 51)は最初の6か月が終わってから2か月以内です。
決算書の提出
決算日から4か月以内に株主総会で承認を受け、承認の日から1か月以内に事業開発局へ提出します。12月決算の会社なら翌年の5月31日までに出すことになる、と手続案内に書かれています。提出は電子(DBD e-Filing)で、手数料はかからないと示されています。提出書類には公認会計士(ผู้สอบบัญชีรับอนุญาต)の監査報告書の原本が含まれます。
毎月来るものと、年に一度来るもの
会社を持つと、経理の仕事は2種類のリズムで来ます。VATの申告のように毎月来るものと、決算・監査・法人税のように年に一度来るものです。前者は締切が翌月15日と近く、後者は決算日から4か月・5か月・150日というやや長い時計で動きます。どちらも遅れると罰の対象になり得るので、社内で見る人を決めるか、外に出すかを早い段階で決めておくほうが安全です。
決算書に付ける監査は、公認会計士でなければできません。誰に頼むかを決めるときは、タイ会計職業連盟のページで、その人が公認会計士として登録されているかを名前・姓・登録番号から照会できます。名刺や紹介だけで決めずに、番号で引けることを確かめておくと安心です。
記帳や給与計算を外に出すかどうかは、取引の量と、社内でタイ語の書類を扱えるかで決まります。どの事業者に頼むかという評価はこのページでは扱いません。タイでの会社設立を代行する事業者と、就労ビザ・就労許可を代行する事業者は別のページにまとめています。
役所へ払うぶんの全体像
| いつ | 何に | 公式表示の額 |
|---|---|---|
| 設立のとき | 会社の設立登記 | 5,000バーツ |
| 設立のとき(該当する事業のみ) | 外国人事業法の許可(リスト3) | 申請2,000バーツ+20,000〜250,000バーツ |
| 人を働かせるとき | 就労許可(1年ぶん・1人) | 申請100バーツ+3,000バーツ |
| 毎年 | 決算書の提出 | 手数料なし |
ここに入っているのは役所へ払うぶんだけです。代行の手数料、会計士の報酬、事務所の家賃、そして資本金そのものは入っていません。資本金は費用ではありませんが、就労許可の人数を決める数字なので、手元の資金計画では先に置いておく必要があります。
手続きを始める前に、自分で決めておくこと
- 会社の名前 — 予約が通るかどうかは先に確かめられます。
- 事業の中身 — 外国人事業法の一覧に当たるかどうかで、期間も費用も変わります。
- 株主の構成 — 誰が何パーセント持つかは、あとから変えると登記のやり直しになります。
- 資本金の額 — 働ける外国人の人数に直結します。
- 決算期 — 4か月以内の承認、1か月以内の提出、150日以内の申告という期限が、ここで決まります。
- 事務所の住所 — 使用の承諾を出してもらえる場所かどうかを先に確かめます。
暮らしの側と地続きです
会社の形は、住む場所や家族の暮らしと切り離せません。住まいを自分で持つかどうかは タイでコンドミニアムを買うときの決まりとお金に、家のことを頼む人を雇うなら タイでメイドを雇うときの決まりにまとめています。そもそも国を決めるところからなら 移住先の国はどうやって決まるのかを先に読んでください。飲食店のように業種ごとの営業許可が別に要る場合は、タイで飲食店を開くまでに通る手続きで役所の並びが変わります。
このページで扱っていないこと
- 支店・駐在員事務所・個人での営業の手続き
- 業種ごとの営業許可(飲食、輸入、教育など)
- ビザの種類と、その条件
- 源泉徴収や社会保険の細かい取り扱い
- 個別の事情に応じた税務の判断
金額も期限も改定されます。ここに並べたのは確認した時点の公式表示なので、実際に動く前に、それぞれの公式ページと窓口で今の表示を見てください。住む・働く・ビザの記事一覧から、関係する回り道も見ておけます。
出典
- ศูนย์รวมข้อมูลเพื่อติดต่อราชการ(政府手続情報センター)「การจดทะเบียนจัดตั้งบริษัทจำกัด」(設立登記の期限・手数料・処理時間)(2026-09-01 取得)
- กรมพัฒนาธุรกิจการค้า(商務省 事業開発局)「ระบบจองชื่อนิติบุคคลอัตโนมัติ」法人名の予約システム(2026-09-01 取得)
- ศูนย์รวมข้อมูลเพื่อติดต่อราชการ「การขอรับใบอนุญาตประกอบธุรกิจของคนต่างด้าว สำหรับธุรกิจบัญชีสาม ตามมาตรา 17」(リスト3の許可・手数料)(2026-09-01 取得)
- ศูนย์รวมข้อมูลเพื่อติดต่อราชการ「การขอรับใบอนุญาตประกอบธุรกิจของคนต่างด้าว ตามมาตรา 17(บัญชีสอง)」(リスト2の許可・手数料)(2026-09-01 取得)
- ศูนย์รวมข้อมูลเพื่อติดต่อราชการ「การขอหนังสือรับรองการประกอบธุรกิจของคนต่างด้าว ตามมาตรา 12」(投資奨励を受けた場合の証明書)(2026-09-01 取得)
- ศูนย์รวมข้อมูลเพื่อติดต่อราชการ「การขอรับใบอนุญาตทำงานของคนต่างด้าว ตามมาตรา 59 กรณีทั่วไป」(就労許可の手数料・有効期間・必要書類)(2026-09-01 取得)
- กรมการจัดหางาน(労働省 雇用局)「การขอใบอนุญาตทำงาน คนต่างด้าวระดับฝีมือ/ชำนาญการ」(資本金とタイ人雇用の基準・手数料)(2026-09-01 取得)
- タイ歳入局 英文ページ「Value Added Tax」(登録の基準額・期限・税率・申告)(2026-09-01 取得)
- タイ歳入局 英文ページ「Corporate Income Tax」(税率・小規模会社の軽減・申告期限)(2026-09-01 取得)
- ศูนย์รวมข้อมูลเพื่อติดต่อราชการ「การนำส่งงบการเงิน」(決算書の承認・提出期限・必要書類)(2026-09-01 取得)
- สภาวิชาชีพบัญชี ในพระบรมราชูปถัมภ์(タイ会計職業連盟)「ตรวจสอบสถานะผู้สอบบัญชีรับอนุญาต」公認会計士の登録照会(2026-09-01 取得)
このページの内容は 2026-09-06 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。