ZYRO

タイの硬貨の見分け方

タイの硬貨は9つの額面があります。直径・重さ・色・縁・裏の寺院で見分ける方法を財務省と官報の規格から並べ、窓口での引き換え、傷んだ硬貨の扱い、「レアな硬貨」の話がどこまで公的な裏づけを持つのかまでまとめました。

この記事の要点

  • タイの硬貨は1サタンから10バーツまでの9種類で、20バーツからは紙幣です。ふだん手にするのは1バーツ・5バーツ・10バーツが中心になります。
  • 額面ごとに大きさは1つと通貨法が定めているので、直径が分かれば額面が決まります。数字が読めないほど摩耗していても、隣の硬貨と並べて比べれば見分けられます。
  • まちがえやすいのは25サタンと10サタンです。額面の大きい25サタンのほうが16ミリと小さくて赤茶色、10サタンは17.5ミリの白いアルミで0.8グラムしかありません。
  • 10バーツは外側が白で内側が金色の二色、5バーツは枠が九角形、2バーツは金色です。裏の図柄は、額面ごとに別の寺院が刻まれています。
  • 財務局が公的な評価額を出しているのは古い時代のお金で、いま流通している硬貨は対象ではありません。高値が付くとしても、収集の市場での話です。

タイのお金は、10バーツまでが硬貨で、20バーツからは紙幣です。タイ通貨法は「通貨とは硬貨と紙幣である」「単位はバーツで、1バーツは100サタンに分ける」と定めていて、硬貨には1サタンから10バーツまでの額面があります。財布の中で迷いやすいのは、色が似ている白い硬貨どうしと、赤茶色のサタン硬貨どうしです。このページでは、タイ財務省と官報が公開している規格をそのまま並べて、手のひらの上で見分けられるようにします。あわせて、検索でよく尋ねられる「レアな硬貨」という話が、どこまで公的な裏づけを持つのかも整理します。

硬貨は9つの額面がある

官報に載った省令(仏暦2551年、9つの額面の形を定めたもの)は、10バーツ、5バーツ、2バーツ、1バーツ、50サタン、25サタン、10サタン、5サタン、1サタンの9種類を規定しています。世界的に金属の値段が上がり、いくつかの額面で材料代が額面を上回ってしまったため、金属の組み合わせを作り直したのがこのときです。

財務局の説明によれば、流通用の硬貨は1950年から作られてきました。1987年に全額面をまとめて作り直し、1988年から全種類がそろい、このとき10バーツ硬貨が初めて登場しています。2バーツ硬貨はさらに遅く、2005年に追加された9番目の額面です。

大きさと色で見分ける

省令が定めている数字です。直径と重さは規格値で、実物には省令が認めた誤差の幅があります。

額面色と金属直径重さ裏の図柄
10バーツ外側が白、内側が金色の二色26ミリ8.5グラム刻みと平らが交互ワット・アルンの塔
5バーツ白(銅とニッケルの合金で銅の芯を包む)24ミリ6グラム全周に刻みワット・ベンチャマボピットの本堂
2バーツ金色(銅92%・ニッケル2%・アルミ6%)21.75ミリ4グラム刻みと平らが交互ワット・サケットの丘の上の塔
1バーツ白(鉄の芯にニッケルめっき)20ミリ3グラム全周に刻みワット・プラケオのプラ・シー・ラッタナ塔
50サタン赤茶(鉄の芯に銅めっき)18ミリ2.4グラム全周に刻みワット・プラタート・ドイステープの塔
25サタン赤茶(鉄の芯に銅めっき)16ミリ1.9グラム全周に刻みナコンシータマラートの仏塔
10サタン白(アルミ99%)17.5ミリ0.8グラム平らワット・プラタート・チューンチュムの塔
5サタン白(アルミ99%)16.5ミリ0.6グラム平らプラパトム塔
1サタン白(アルミ99%)15ミリ0.5グラム平らワット・プラタート・ハリプンチャイの塔

同じ大きさの硬貨は二つとない

通貨法は、硬貨は額面ごとにひとつの大きさしか持てず、別の額面と同じ大きさにしてはならないと定めています。例外は記念硬貨と、回収した硬貨の代わりに出す硬貨だけです。つまり、目の前の硬貨の直径が分かれば額面は一意に決まります。数字が読めないほど摩耗していても、隣の硬貨と並べて大小を比べれば判別できるということです。

まちがえやすい組み合わせ

  • 1バーツと2バーツ — 2バーツのほうが少しだけ大きく(21.75ミリと20ミリ)、色が金色です。1バーツは白い金属です。
  • 25サタンと10サタン — 額面の大きいほうが小さい、という逆転が起きています。25サタンは16ミリで赤茶色、10サタンは17.5ミリで白いアルミです。持ったときの軽さがまるで違い、10サタンは0.8グラムしかありません。
  • 5バーツ — 縁の内側の枠が九角形です。丸い枠の他の硬貨とはっきり違います。
  • 10バーツ — 中心が金色、外周が白の二色です。裏面の上部には額面を示す点字で「10」が打たれています。
  • アルミの3種類 — 10サタン、5サタン、1サタンは縁に刻みがなく、平らです。指でなぞると他の額面と区別がつきます。

裏の図柄はすべて別の寺院

表は国王の肖像と「ประเทศไทย(タイ国)」の文字で共通です。裏は額面ごとに違う寺院が刻まれています。10バーツはバンコクのワット・アルンの塔、5バーツはワット・ベンチャマボピットの本堂、2バーツはワット・サケットの丘の上の塔、1バーツは王宮内ワット・プラケオのプラ・シー・ラッタナ塔です。サタン硬貨は地方の寺院で、50サタンがチェンマイのワット・プラタート・ドイステープ、25サタンがナコンシータマラートの仏塔、10サタンがサコンナコンのワット・プラタート・チューンチュム、5サタンがナコンパトムのプラパトム塔、1サタンがランプーンのワット・プラタート・ハリプンチャイです。図柄を覚えてしまえば、数字を読まなくても額面が分かります。

ふだん出回っているのはどの額面か

財務局は、額面ごとに窓口で出した枚数と戻ってきた枚数を公表しています。2026年2月分の表では、出した枚数は1バーツが1億4170万枚で群を抜いて多く、5バーツが4023万枚、10バーツが2633万枚と続きます。25サタンは1540万枚、2バーツは880万枚、50サタンは612万枚です。

いっぽう、10サタン・5サタン・1サタンの欄には数字が入っていません。窓口を出入りしている最小の額面は25サタンだということです。旅行や生活のなかで手にする硬貨は、実際には1バーツ・5バーツ・10バーツが中心になります。なお同じ表の注記には、10バーツの数字には二色の記念硬貨も含めてある、と書かれています。

「レアな硬貨」の話はどこまで本当か

見慣れない図柄の硬貨を受け取ると、価値が高いのではないかと気になります。公的な資料から言えることを順に並べます。

記念硬貨は珍しくても額面のお金

タイには記念硬貨(เหรียญกษาปณ์ที่ระลึก)という制度があり、行事や周年ごとに省令で1種類ずつ形が定められます。たとえばタイ港湾公社72周年の記念硬貨は、官報の省令で「20バーツ、白い金属(ニッケル25%・銅75%)、重さ15グラム、直径32ミリ、縁に刻み」と決められています。ふだんの硬貨にない20バーツという額面と大きさですが、額面の書かれた通貨です。

財務局はこれを窓口とオンラインで扱っています。窓口なら1枚から引き換えでき、手数料はかかりません。オンライン注文では送料と保険料がかかると案内されています。つまり「珍しい記念硬貨」は、市場を探さなくても額面で手に入る種類があるということです。

公の値段が付いているのは昔のお金

財務局が公的な評価額を出しているのは、現行の流通硬貨ではなく古い時代のお金です。「ราคาประเมินมูลค่าเงินตราโบราณ(古貨幣の評価額)」という一覧があり、アユタヤ期やスコータイ期の弾丸型銀貨(พดด้วง)、ラーマ1世期から歴代の記念貨など、種類ごとに項目が立っています。現在お釣りで受け取る10バーツや1バーツは、この一覧の対象ではありません。

造幣局は、流通硬貨を年間およそ10億枚、記念硬貨を年間5000万枚作れる設備だと公表しています。ふだん受け取る硬貨が希少品である可能性は、この生産規模から考えて高くありません。相場として高値が付く個体があるとしても、それは収集の市場での話で、政府が保証する価格ではありません。

加工した硬貨は法律上お金ではない

通貨法は、切る・打つ・叩く・曲げるなどで形が損なわれたり、模様が消えたり、明らかに目方が減った硬貨を「き損した硬貨」と呼び、法定通貨ではないと定めています。通常の摩耗で規定の誤差の2.5倍を超えて軽くなったものも同じ扱いです。さらに同法は、大臣の許可なく通貨の代わりになる物やしるしを作ったり、売ったり、使ったりすることを禁じています。硬貨に手を加えて価値を付けるという話には、この規定が関わります。

硬貨と紙幣を入れ替える窓口

紙幣を硬貨に替えることも、硬貨を紙幣に戻すこともできます。財務局の案内では次のとおりです。

  • 紙幣から硬貨へ — 100バーツ以上から、上限なし。手数料なし。予約は不要で、身分証(タイの国民IDカード)で整理券を取る流れです。窓口では現金・振込・デビットカード・QRコードで支払えます。受け渡しにかかる時間は3〜20分と案内されています。
  • 硬貨から紙幣へ — 個人には現金で、法人には銀行間送金で戻します。送金の場合は手数料がかかります。
  • 受付時間 — 月曜から金曜の8時30分から15時30分(昼休みあり)。土日と祝日は休みです。

窓口として案内されているのは、パトゥムターニー県クローンルアン郡パホンヨーティン通りにある通貨管理部(ランシット)、バンコク都プラナコーン区チャオファー通り4/4のチャックラポン通り支所、パヤータイ区ラマ6世通りの財務省内の窓口です。地方ではチェンマイ県の官庁センター内にある県財務事務所も挙がっています。所在地や電話番号は財務局の公式ページで確認してください。

傷んだ硬貨はどう扱われるか

ここは資料によって書きぶりが違うので、両方を並べます。

通貨法の条文では、切られたり叩かれたり曲げられたりして損なわれた硬貨は半額で引き換え、通常の摩耗で目方が減っただけの硬貨は全額で引き換えると定められています。金貨・銀貨・磨き仕上げの硬貨は引き換えの対象外です。

いっぽう財務局の窓口案内は、よくある質問への答えとして「黒ずんだ硬貨、傷んだ硬貨、曲がった硬貨でも、額面が見えるものは全額で引き換えられる」と書いています。手元の硬貨がどちらに当たるかは、窓口で見てもらうのが確実です。

使えなくなった硬貨もある

タイでは、大臣が必要と認めれば、発行済みの硬貨の種類と額面を指定して回収できます。回収の省令には、対象の硬貨、紙幣や他の硬貨と引き換える期間(省令の施行日から1年以上)、受け付ける窓口を必ず書くことになっています。期間が過ぎると、その硬貨は法定通貨ではなくなります。ただし理由を説明して持ち込めば、財務省はその後も引き換えに応じると条文に書かれています。

実際に回収された例として、財務局の法令一覧には「九角形の白色5バーツ硬貨を回収する緊急勅令(仏暦2521年、1978年10月19日)」が載っています。古い硬貨を見つけたときに、いま使えるのかどうかは、この回収の手続きが行われたかどうかで決まります。

硬貨を作っているのはどこか

紙幣と硬貨で発行元が違います。通貨法は、硬貨は財務省が作って発行する紙幣はタイ銀行が作って発行すると分けて定めています。硬貨の実務は財務省の外局である財務局(กรมธนารักษ์)が担い、製造は同局の造幣局(กองกษาปณ์)が行います。造幣局はパトゥムターニー県クローンルアン郡のランシット造幣所にあり、硬貨の作り方を展示する学習センターを併設していると公表しています。

紙幣のほうは、タイ銀行が現在発行しているものとして20バーツ・50バーツ・100バーツのポリマー紙幣と紙の紙幣を公開しています。硬貨の額面が10バーツまでなのは、この境目のためです。

買い物のときに覚えておくこと

財務局の統計で最も多く出回っているのは1バーツ硬貨で、次が5バーツ、10バーツです。お釣りで戻ってくるのもこの3種類が中心になります。まとまった額を替えるときの窓口や必要なものはバンコクで両替するにまとめてあります。どのくらいの金額を持ち歩けばよいかの感覚はタイの物価が目安になります。

値札に出てくる「บ.」は、通貨法がバーツの略号として認めている書き方です。土産物の店や日本の商品を扱う店の場所は、ナラヤのバッグをバンコクで買うバンコクで日本のものを買う(ドンキ・紀伊國屋)で扱っています。

自分で確かめるには

硬貨の規格は官報に載る省令で決まり、財務局のサイトから原文を読めます。額面ごとの金属・重さ・直径・図柄は、上に挙げた仏暦2551年の省令が根拠です。窓口の場所や受付時間は変わることがあるので、行く前に財務局の公式ページで確認してください。手元の硬貨が使えるかどうか判断がつかないときは、財務局のコールセンター(0-2059-4999、8時から16時)に問い合わせる方法もあります。

ほかの買い物とお金の話は買い物とお金の記事一覧にまとめています。

出典

このページの内容は 2026-08-31 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。