タイで着るもの、持っていくもの
バンコクは一年じゅう暑い一方で、王宮や寺院には入れない服装があり、屋内は冷房が強い場所もあります。公式に出ている服装の決まり、月ごとの気温と雨、虫よけと日焼け止めの選び方、持ち込みが禁じられているものを整理しました。
この記事の要点
- 王宮は、袖のないシャツ、丈の短いトップス、ショートパンツ、ミニスカート、破れたズボンなどでは入れません。かかとの無いサンダルで止められることもあります。
- 男性は袖のあるシャツと膝が隠れるズボン、かかとが留まる靴で条件を満たせます。女性は肩と膝を隠せる羽織りかストールを1枚。屋内や車内は冷房が強いので、その1枚は街歩きでも使います。
- 一年じゅう暑く、月平均気温は12月の27.4℃から4月の30.8℃までしか動きません。冬服は要らず、変えるのは雨具のほうです。雨季は5月中旬から10月中旬で、9月は343.6mm降ります。
- 日焼け止めは成分を見ます。オキシベンゾン、オクチノキサート、4-メチルベンジリデンカンファー、ブチルパラベンを含むものは国立公園への持ち込みと使用が禁止で、罰金は10万バーツ以下です。
- 電子たばこと加熱式たばこは持っていけません。商売目的でなく個人で所持・利用していた場合でも罰せられ、最高で10年の懲役または50万バーツの罰金とされています。
タイで服に困るのは、暑さそのものではありません。暑いのに肌を出せない場所があることです。王宮や有名な寺院には服装の決まりがあり、条件を満たさないと入口で止められます。その一方で、デパートや長距離バスの中は冷房が強く、羽織るものが要ります。ここでは、公式に公表されている決まりと数字だけを使って、着るものと、かばんに入れるものを組み立てられるようにしました。どの店で買うとよいかという話は扱いません。
一年じゅう暑い。月で変わるのは雨の量です
気象庁が公表しているバンコクの平年値では、月平均気温がいちばん低いのは12月の27.4℃、いちばん高いのは4月の30.8℃です。年間で3.4℃しか動きません。「冬服が要る月」はありません。代わりに大きく動くのが雨で、12月の13.5mmに対して9月は343.6mmあります。
| 月 | 月平均気温 | 月降水量 |
|---|---|---|
| 1月 | 27.6℃ | 24.2mm |
| 2月 | 28.7℃ | 19.4mm |
| 3月 | 29.8℃ | 53.6mm |
| 4月 | 30.8℃ | 92.7mm |
| 5月 | 30.5℃ | 215.4mm |
| 6月 | 29.8℃ | 209.9mm |
| 7月 | 29.3℃ | 182.9mm |
| 8月 | 29.1℃ | 212.0mm |
| 9月 | 28.7℃ | 343.6mm |
| 10月 | 28.5℃ | 304.0mm |
| 11月 | 28.4℃ | 46.5mm |
| 12月 | 27.4℃ | 13.5mm |
タイ気象局は、国全体の季節を3つに分けています。暑季(ฤดูร้อน)が2月中旬から5月中旬ごろ、雨季(ฤดูฝน)が5月中旬から10月中旬ごろ、冬季(ฤดูหนาว)が10月中旬から2月中旬ごろです。とくに4月は太陽がほぼ真上に来るため暑くなる、と説明されています。つまり服の重さは通年ほぼ同じで、変えるのは雨具と靴の判断だけです。時期の選び方そのものはタイの気候と、いつ行くのがいいかで扱っています。
王宮と寺院には、守らないと入れない決まりがあります
王宮(The Grand Palace)の公式サイトには、入場できない服装が具体的に並んでいます。「王宮はタイの人々にとって敬意を払うべき場所なので、来場者はふさわしい服装をしなければならない」として挙げられているのは次のとおりです。
- 袖のないシャツ(No sleeveless shirts)
- ベスト(No vests)
- 丈の短いトップス(No short top)
- 透ける素材のトップス(No see through tops)
- ショートパンツ・丈の短いズボン(No short hot pants or short pants)
- 破れたズボン(No torn pants)
- 体に密着したズボン(No tight pants)
- 自転車用のタイツ(No bike pants)
- ミニスカート(No mini skirts)
- キュロット(No pants skirts)
- 部屋着(No sleeping suit)
同じページに、開場は毎日8:30〜16:30、チケットの販売は8:30〜15:30、料金は500バーツと出ています。
ワット・ポー(วัดโพธิ์)の公式サイトでは、開門が毎日8:00〜19:30、外国人の入場券が1人300バーツと案内されています。服装は「地元の民族衣装か、きちんとした服装(ชุดประจำท้องถิ่นหรือชุดที่สุภาพเรียบร้อย)」で、女性は膝より上のショートパンツでの参拝ができません。仏教の建物に入るときは、階段脇の置き場で靴を脱ぐことも書かれています。
タイ国政府観光庁も、ワット・プラケオ、王宮や一部の寺院では「タンクトップ、ホットパンツなど極端に肌を露出した服装やかかとの無いサンダルでは入場できません」と案内しています。上半身ばかり気にして足元で止められる、というのがいちばんありがちな失敗です。
男性は何を着ればいいか
上の決まりを男性の服装に落とすと、条件は3つに整理できます。
- 肩が隠れる、袖のあるシャツ(袖なしとベストは不可)
- 膝が隠れる丈のズボン(短パンは不可。破れたもの、体に密着したものも挙げられています)
- かかとが留まる靴かサンダル(ビーチサンダルのような、かかとの無いものは不可)
Tシャツでも袖と丈の条件は満たせます。ただ、襟のある半袖シャツと薄手の長ズボンを1組持っておくと、寺院に行く日も、少し格式のある店で食事をする日も、同じ服で通せます。生地については、タイ国政府観光庁が「一年を通して日差しが強く、高温多湿の気候なので、通気性の良い服装をおすすめします」と書いています。
街を歩くだけの日に短パンやサンダルを禁じる決まりはありません。困るのは「その日の午後に寺院へ寄ろうとしたとき」です。寺院や王宮に行く予定のある日だけ服を合わせると考えれば、荷物は増えません。長ズボン2本と、袖のあるシャツを日数分。これが最小構成です。
気温より、冷房に合わせて1枚足す
タイ国政府観光庁の案内には、「チェンマイなどの山岳部では、朝晩冷え込むこともあり、また、デパートやレストランの中、エアコンバス・空調寝台車などでは、エアコンが効きすぎているところがありますので注意してください。羽織るものが一枚あると便利です」とあります。屋外30℃・屋内は上着が要る、という往復が一日に何度も起きます。薄手のシャツやカーディガンを1枚、かばんに入れておく前提で服を選んでください。
女性は肩と膝を隠せるものを1枚
寺院の決まりは男女とも同じ考え方ですが、女性は肩と膝の2か所を隠せるかどうかで判定されます。ワンピースやノースリーブで出かける日でも、大きめのストールか薄い羽織りが1枚あれば、その場で条件を満たせます。
タイ国政府観光庁は「ノースリーブやショートパンツ、破れたジーンズなど、肌の露出が多い服装は避けてください」としたうえで、「場所によっては腰巻などを有料で借りられる場合もあります」と書いています。借りられるとは限らないので、貸し出し前提で行かないほうが確実です。あわせて、女性は僧侶の体や衣、持ち物に直接手を触れてはいけないこと、仏前に足の裏を向けない座り方をすることも案内されています。
虫よけは成分と塗り直しで決まります
厚生労働省検疫所(FORTH)は、蚊に刺されないための服装として「ゆったりとした長袖のシャツや長ズボン、ブーツ、帽子を身につけ、できるだけ皮膚が露出されている部分を減らす」ことを挙げ、シャツの裾はたくしこみ、サンダルではなく「足の指先がしっかり覆える靴をはき」ます、としています。寺院の服装規定と要求がほぼ重なるので、長袖・長ズボン・つま先の覆われた靴という一組が、そのまま虫対策にもなります。
虫よけ剤については、成分として「ディート(DEET)、ユーカリ油(レモンユーカリ油)、ピカリジン」が挙げられ、「一般的には濃度が高い方が持続時間は長くなり」ます、と説明されています。使い方は「1から2時間ごとに繰り返し塗」り、「水を浴びたり、体をタオルで拭いたりした後には再度塗」ることとされています。
つまり、選ぶときに見るのは商品名ではなく成分と濃度で、効き目を決めるのは塗り直しの回数です。朝に1回塗って終わりにすると、日中の大半は守られていない状態になります。小さなボトルを持ち歩ける形にしておくほうが、大きな1本を宿に置いておくより効きます。
子どもに使うときの回数
ディートを含む製品には、日本で回数の目安が定められています。厚生労働省が平成17年8月24日付で出した「ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について」(薬食安発第0824003号)は、一般用医薬品の使用上の注意に次の内容を含めるよう求めています。
- 「6か月未満の乳児には使用しないこと」
- 「6か月以上2歳未満は、1日1回」
- 「2歳以上12歳未満は、1日1~3回」
- 小児に使わせる場合は保護者等の指導監督の下で使い、「顔には使用しないこと」
- 「漫然な使用を避け、蚊、ブユ(ブヨ)等が多い戸外での使用等、必要な場合にのみ使用すること」
この回数は、先ほどの「1〜2時間ごとに塗り直す」という前提と噛み合いません。子ども連れの場合は、忌避剤だけに頼らず、服で覆う・網戸のある部屋を選ぶ・蚊の活動する時間帯を避ける、という組み立てにします。FORTHも、蚊帳の使用と「網戸がしっかりとされている」施設を選ぶことを挙げています。ディート以外の成分を選ぶときは、製品ごとに使用年齢の表示が違うので、買う前に容器の表示を読んでください。蚊が運ぶ病気そのものについては蚊と虫の対策で扱っています。
屋台で食べる日に備えるもの
FORTHは、飲食について次のように書いています。飲み水は「ボトル入りの水が最も安全です(ふたがしっかりとされていることを確認できればベストです)」。氷は「生水から作られている可能性があります」。加熱については「危険な微生物も適切に調理をすれば殺菌されます。これは食べ物の安全を確保する最も効果的な方法です」。野菜は「生水を用いて処理されている可能性があります。野菜やフルーツなどは、自分で皮をむいて用意できるもの以外は避けましょう」。
屋台そのものを避けるという話ではなく、火が通っているか、水と氷はどこから来たかという2点で見る、ということです。
店側の衛生には、タイ保健省の認証制度があります。保健省健康局(กรมอนามัย)は、飲食店・屋台・生鮮市場に対する清潔さと安全の目印として「SAN」「SAN Plus」を掲げており、以前使われていた「Clean Food Good Taste」の掲示は2023年9月30日で認証を取りやめたと公表しています。店先に古い掲示が残っていても、いま保健省が保証しているものとは限らない、ということです。制度の現況は保健省健康局の公式発表で確認してください。
持ち物としては、ボトル入りの水を買う小額の現金と、手を拭けるものがあると使えます。手を洗える場所が屋台の近くにあるとは限りません。
日焼け止めは、行き先によって成分を選ぶ必要があります
2021年8月4日から、タイではサンゴ礁に有害な化学物質を含む日焼け止めの、国立公園への持ち込みと使用が禁止されています。タイ国政府観光庁が公表している対象は次の4種類です。
- オキシベンゾン(ベンゾフェノン-3、BP-3)
- オクチノキサート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)
- 4-メチルベンジリデンカンファー(エンザカメン)
- ブチルパラベン
違反した場合は法律により10万バーツ以下の罰金が課せられる、とされています。所管はタイ国立公園・野生動植物保全局です。島や海の国立公園に行く予定があるなら、手持ちの日焼け止めの成分表示を出発前に見ておいてください。バンコクの市内だけを歩く旅であれば、この規制の対象にはなりません。
かばんに入れるもの
| 持ち物 | 理由 | 確かめる先 |
|---|---|---|
| 袖のあるシャツ、膝が隠れるズボン | 王宮・寺院の服装規定 | 行く施設の公式サイト |
| かかとが留まる靴 | かかとの無いサンダルは入場を断られる | タイ国政府観光庁の案内 |
| 薄手の羽織り1枚 | 屋内・車内の冷房、山岳部の朝晩 | — |
| 虫よけ剤(成分と濃度を確認) | 1〜2時間ごとの塗り直しが前提 | 製品の表示 |
| 日焼け止め(成分を確認) | 国立公園で禁止の4成分がある | 製品の成分表示 |
| 折りたたみ傘か軽い雨具 | 5月〜10月は月180mm以上の雨(7月だけ182.9mm、ほかの月は200mmを超えます) | 月別の平年値 |
| 変換プラグ | 電圧は交流220V(50Hz)、プラグはA・BF・Cタイプ | タイのコンセントと電圧、変換プラグはいるのか |
| 水着 | 宿のプールや温浴施設を使うとき | バンコクのサウナ、入る前に知っておくこと |
到着したら時計を2時間戻します。タイ国政府観光庁は「日本とタイの時差はマイナス2時間で、タイで午前8時のとき日本は午前10時です」と案内しています。時差の扱いは日本とタイの時差にまとめています。
持っていってはいけないもの
電子たばこと加熱式たばこです。タイ国政府観光庁は公式サイトで、「タイでは電子タバコ禁止条例がタイ商務省から2014年12月27日より発令されています。アイコスをはじめ、加熱式のタバコも含まれます」「違反した場合、最高で10年の懲役、または50万バーツの罰金のいずれかが科せられます」「商売目的でなく、個人的に所持・利用していた場合でも罰せられます」と案内しています。
罰の重さに対して、荷物にうっかり入れやすいものです。本体だけでなく付属品も対象とされているので、出発前にかばんの中を一度確認してください。
出発前に、自分で見ておくこと
ここに書いた数字と決まりは、2026-08-31に各公式サイトで確認したものです。料金・開場時間・規制はどれも変わります。とくに次の3つは、出発前にもう一度公式で見てください。
- 行く寺院や王宮の服装規定と開場時間(各施設の公式サイト)
- 国立公園へ行くなら、手持ちの日焼け止めの成分表示
- 持ち込みが制限されているもの(タイ国政府観光庁の案内)
旅の前に決めることは、ほかにもいくつかあります。旅の準備の記事一覧にまとめてあります。
出典
- The Grand Palace 公式「Practical Information」(服装の決まり・開場時間・料金)(2026-08-31 取得)
- ワット・ポー(วัดโพธิ์)公式「วางแผนการเยี่ยมชม」(開門時間・入場料・服装と靴)(2026-08-31 取得)
- タイ気象局(กรมอุตุนิยมวิทยา)「ฤดูกาลของประเทศไทย(タイの季節)」(2026-08-31 取得)
- 気象庁「世界の地点別平年値」バンコク(月平均気温・月降水量)(2026-08-31 取得)
- タイ国政府観光庁 公式「基礎知識」(服装・冷房・電圧・時差)(2026-08-31 取得)
- タイ国政府観光庁 公式「仏教国タイの寺院の参拝方法とマナー」(2026-08-31 取得)
- タイ国政府観光庁 公式「タイの国立公園:サンゴ礁に有害な成分を含む日焼け止めの持込・使用を禁止」(2026-08-31 取得)
- タイ国政府観光庁 公式「電子たばこ・加熱式たばこ(アイコスなど)の持ち込みについて」(2026-08-31 取得)
- 厚生労働省検疫所 FORTH「病気にならないために」(防蚊・飲食物の注意)(2026-08-31 取得)
- 厚生労働省「ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について」(薬食安発第0824003号)(2026-08-31 取得)
- タイ保健省 健康局(กรมอนามัย)「SAN・SAN Plus を Clean Food Good Taste に代えて推進」(2026-08-31 取得)
このページの内容は 2026-08-31 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。