バンコクのレストランでタイ料理を食べる前に
バンコクで座って食べられる店は、性格の違う何種類かに分かれます。店に法律が求めていること、衛生の目印、会計に乗る税、お酒を頼める時間、体調を崩したときの連絡先までを、タイと日本の官公庁の公開情報だけで整理しました。
この記事の要点
- 店構えのあるレストランや食堂と、道ばたの屋台は、タイの法律では別の区分です。衛生について掛かっている決まりも別々になります。
- 衛生の目印は入れ替わりました。「Clean Food Good Taste」は2023年9月30日で終わり、いまは SAN と SAN Plus です。古い板が貼ってあっても、いまの認証を受けている証拠にはなりません。
- 会計に乗るものは店の規模で変わります。付加価値税の税率は7%ですが、年間の売上が180万バーツ未満の事業者は非課税で、税の行が立たない店もあります。
- お酒を頼めるのは、おおむね11時から24時までです。2026年5月29日からこの時間になり、飲めるのは20歳からです。
- 急病の番号は1669、旅行者のトラブル相談は観光警察の1155です。
バンコクでタイ料理を食べる場所を探すとき、多くの人は「どの店が良いか」から入ります。ところが実際に困るのは、店の良し悪しよりも手前のことです。座って食べる店と道ばたの屋台では掛かっている決まりが違い、衛生の目印は数年前に切り替わっていて、会計に何が乗るかも店によって違います。お酒を頼める時間にも国の決まりがあります。
このページは、その「手前のこと」だけを、タイと日本の官公庁が公開している情報から整理したものです。どの店が良いかという評価は扱いません。評価を見たいときの行き先は最後に置きます。
「レストラン」と「屋台」は、法律の上で別のものです
タイ保健省 保健局(กรมอนามัย)の解説によると、省令のいうสถานที่จำหน่ายอาหาร(食品販売場所)とは、公共の場所や公道ではない建物・場所で、そのまますぐ食べられる状態まで調理して売るところを指します。その場に食べる席を用意していても、持ち帰り専門でも、同じ区分に入ります。
つまり、店構えのあるレストラン・食堂・持ち帰り専門店はここに入り、道路や歩道の上で売る屋台は別の区分(公共の場所での販売)として扱われます。同じ「タイ料理を売っている場所」でも、根拠になる決まりが違うということです。屋台側の話はタイの屋台、食べる前に知っておくことにまとめています。
座って食べる店は、席のつくられ方で性格が分かれます
- 食堂型 — 注文してすぐ出てくる一皿ものが中心で、席は回転を前提にしています。呼び出しも会計もその場で完結します。
- フードコート型 — 商業施設の中に複数の売り場が並び、席は共用です。支払いの窓口が売り場とは別になっていることがあります。
- 専門店型 — 一つの料理や一つの地方の料理を深く扱う店です。北部の汁麺のように、置いている店が限られる料理もあります(バンコクのカオソーイ、食べる前に知っておくこと)。
- 予約前提型 — 席数が少なく、時間を決めて入る店です。予約・服装・支払い方法が店ごとに決まっているので、行く前に店の公式サイトで確かめる必要があります。
この4つは筆者の整理であって、法律上の区分ではありません。ただ、どれに当たるかで「予約がいるか」「席をどう確保するか」「会計がどこか」が決まるので、店名を探す前にここを決めておくと迷いません。
店に決まりとして求められていること
保健局の解説によると、食品販売場所の衛生については กฎกระทรวงสุขลักษณะของสถานที่จำหน่ายอาหาร พ.ศ. 2561(食品販売場所の衛生に関する省令) があり、2018年12月16日から施行されています。中身は4つの章に分かれています。客として見えるところだけを抜き出すと、次のようになります。
建物と席について
- 床・壁・天井は清潔で、丈夫で、掃除しやすい材質であること
- 換気が足りていること。あわせてたばこ製品の管理に関する法律にも従うこと
- 明るさは、保健省の告示が定める基準に沿っていること
- 手を洗う場所と用具があること
- 下ごしらえ・調理・販売に使う台は、床から60センチ以上の高さにあること
- 客が食事に使う机と椅子が清潔で、丈夫な材質であること
- 便所が使える状態で足りていること。扉が調理場へ直接開かないよう区切ること
- ごみの容器はふたが閉まり、漏れず、水を吸わないもので、生ごみを分けること
- 排水は油分を分けてから流し、排出の基準を満たすこと
食べ物・氷・水について
- 生鮮の食材は適した温度で保管し、覆いをして、床や汚れる場所に直に置かないこと
- 出来上がった料理は、床から60センチ以上の高さに置くこと
- 密封容器入りの飲み物は床から15センチ以上に置き、容器の外側をきれいにしてから出すこと。密封でない飲み物は60センチ以上に置くこと
- 調理に使う水は、保健局が定める飲料水の基準を下回らない品質であること
- 氷は食品としての基準を満たすものを使い、清潔でふたのある容器に入れ、氷専用のトングやスコップを使うこと。食べる氷の中に、食品やほかの物を一緒に漬けてはいけない
- 使う水は水道水であること(水道のない地域では同等の品質の水)
- 客が食事をする食卓の上で、家庭用ガス(LPG)を燃料にして調理してはいけない
- メタノール(メチルアルコール)を調理の燃料に使ってはいけない。固形の燃料用アルコールは除く
作る人について
食品に触れる仕事をする人(ผู้สัมผัสอาหาร)には、健康であること、病気のときは仕事を休んで治してから戻ることが求められます。コレラ、腸チフス、赤痢、水痘、人に嫌悪感を与える皮膚の病気、A型肝炎など、水や食べ物を介して客にうつる病気にかかっている人は従事できません。あわせて、定められた講習を修了していることが条件です。この講習は、経営者と食品に触れる人の双方が対象で、省令の施行から2年以内(2020年12月16日まで)に受けることとされていました。
守られていなかったときはどうなるか
保健局の解説には罰則も並んでいます。届出の受理書を受けずに営業した場合は3か月以下の拘禁または25,000バーツ以下の罰金、許可を受けずに営業した場合は6か月以下の拘禁または50,000バーツ以下の罰金、省令に違反した場合は50,000バーツ以下の罰金です。違反を見つけたときの届け先は、その店がある地域の自治体だと書かれています。
客の立場でこれを全部点検する必要はありません。ただ「料理が床すれすれに置かれていないか」「氷の中に瓶が漬かっていないか」「手を洗う場所があるか」は、決まりとして定められている項目なので、目に入ったときの判断材料になります。
衛生の目印は、いまは SAN と SAN Plus です
店先に「Clean Food Good Taste(อาหารสะอาด รสชาติอร่อย)」の板が貼ってあるのを見ることがあります。保健局は、この認証を2023年9月30日で終了し、現在は SAN と、その上位である SAN Plus の基準を使っていることを公表しています。保健局は、古い板を掲げたまま衛生の基準に沿っていない店が住民から通報された事例も、実名を伏せた形で公表しています。板が貼ってあること自体は、いまの認証を受けている証拠にはなりません。
SAN の認証は、次の手順を踏んだ店に与えられると保健局が説明しています。
- 経営者と、食品に触れる人が講習を受ける
- 自治体から営業の許可証、または届出の受理書を受ける
- 省令に沿って、店が自分で衛生の自己点検を Foodhandler の仕組みに入力する
- 担当職員が Foodhandler の上で評価し、認定する
- 認定されると SAN の標章を Foodhandler から印刷でき、さらに手順を踏めば SAN Plus に上げられる
Foodhandler は保健省 食品・水衛生局が運営している仕組みで、登録の区分は「食品に触れる人」「食品販売場所の経営者」「公共の場所や道路で売る屋台・移動販売の持ち主」「食品保管場所の経営者」「食品の運搬者」などに分かれています。講習を受けた人の氏名を照会する欄も公開されています。
生のまま・半生の料理をどう扱うか
タイ料理には、火をあまり通さない、あるいはまったく通さない料理があります。保健局は、生の川ガニを使ったソムタムのような料理について、加熱していないために寄生虫が入る危険があると注意を出しています。同じ注意の中で、ラープやヤムのように「肉を軽く火に通しただけで調味し、辛さや酸味を強くする」料理も、材料に付いた病原体が残りうる例として挙げられています。
保健局が挙げている作り手側の要点は、材料を水でよく洗ってから使うこと、肉は中まで火が通るように加熱すること、辛さや酸味を強くしすぎないことです。客の側でできるのは、生や半生の料理を選ぶかどうかを自分で決めることだけです。
日本側の情報も同じ方向を向いています。厚生労働省検疫所 FORTH の「タイ」のページは、患者数がもっとも多い病気は急性下痢症であるとしたうえで、「水道水をそのまま飲むことは避け、外食の際も衛生管理の行き届いたお店を選びましょう。十分加熱されたものを、冷めないうちに食べるようにしましょう」と書いています。同じページによると、バンコクは暑季(3月〜5月)・雨季(6月〜10月)・乾季(11月〜2月)に分かれ、暑季は最高気温が38度から40度に達し、雨季は湿度が高く食中毒を起こしやすい季節とされています。いつ行くかによって、生ものを避けるかどうかの判断は変わります。
会計に乗るもの
タイの付加価値税(VAT)の税率は、歳入局の公式サイトに「Currently, the rate is 7 percent.」と書かれています。同じページによると、タイ国内で継続的に物やサービスを供給し、年間の売上が180万バーツを超える事業者が課税の対象で、年間売上が180万バーツ未満の小規模事業者は非課税とされています。
ここから分かるのは、店の規模によって税の扱いが違うということです。小さな食堂では税の行が立たず、施設に入っている店では別行で立つ、ということが起こります。表示価格に何が含まれているのかは店ごとに違うので、メニューの隅の但し書きと、受け取った明細の行を見る以外に確かめる方法はありません。金額の目安をこの記事では出しません。公式に確かめられる相場の数字が見つからなかったためです。
支払い方法も店で違います。現金しか扱わない店、QRコードでの支払いを受ける店、カードが使える店が混在します。持ち帰りや配達に切り替える手もあります(Grab Food、注文する前に知っておくこと)。
お酒を頼める時間と、飲めない場所
タイ国政府観光庁(TAT)の公式ニュースルームは、酒類の販売時間について、官報での告示を受けて2026年5月29日から、酒類はおおむね11時から24時までの間に販売できると案内しています。それまで扱いが分かれていた14時から17時までの時間帯は、通常の販売時間に組み込まれました。
同じ案内には、条件が別に定められている場所があるとも書かれています。国際線の乗客が使う国際空港の区域、ホテル、許可を受けた娯楽施設、承認されたイベント会場などです。営業の形態や許可によって提供時間が変わるので、店の案内に従ってくださいと呼びかけています。飲酒できる年齢は20歳です。
飲む場所にも決まりがあります。TAT は、寺院、官公庁、給油所、公園、公共交通の区域などでは、法律で特に認められた場合を除いて販売も飲酒も制限されると書いています。政府情報センター(GCC1111)も、飲酒と販売を禁じる場所についての告示が官報に8本公示され、2026年5月12日から施行されたと伝えています。対象は、国有企業や国の機関の敷地、その公園、工場の敷地、バスなどの旅客ターミナル、公共の旅客船着き場、鉄道の上、道路上または車の中です。店の外に持ち出して飲むと、場所によっては違反になります。
選挙の期間や宗教上の重要な日には、販売が別に制限されることがあるとも書かれています。ビールそのものの種類や買い方は別の記事に分けています。お酒でない飲み物の選択肢としてはクラティンデーン(タイのエナジードリンク)のような地元の飲み物もあります。
探すときに使える、公式の入口
| 調べたいこと | 公式の入口 |
|---|---|
| 衛生の講習を受けた人がいるか | 保健省 食品・水衛生局 Foodhandler(受講者名の照会欄) |
| 商務省に登録された「ธงฟ้า」の食堂を地図で探す | 商務省 国内商業局のร้านอาหารธงฟ้า検索ページ |
| ハラール標章の仕組みと申請 | タイ・イスラーム中央委員会(สกอท.)事務局 ハラール事業部のサイト |
| 値段や商売のやり方について申し立てる | 商務省 国内商業局のコールセンター 1569 |
商務省 国内商業局は「ร้านอาหารธงฟ้า」に登録された店を検索し、地図で表示できるページを公開しています。同じページには、この制度についての問い合わせ電話が3つ載っています。局のサイトのフッターには「Call Center: 1569 ร้องเรียน/เสนอแนะ(苦情・提案)」と表示されています。
ハラールについては、タイ・イスラーム中央委員会(CICOT)の公式サイトのメニューにある「ハラール標章の使用申請」が、同委員会事務局のハラール事業部のサイトへつながっています。そちらには、認証を受ける手順と、標章を不正に使った製品について申し立てる手順が項目として並んでいます。標章のデザインを見て判断するのではなく、認証の仕組みが誰の管轄かを知っておくほうが確実です。
「良い店」は、点数の前に自分の条件で決まります
ここまでの内容は、どれも店を選ぶ前に効いてくる条件です。先に決めておくと、探す範囲が一気に狭まります。
- 辛さをどうするか — 辛さを抑えた注文ができる店かどうかで、行ける店は変わります
- 生ものを食べるか — 食べないと決めるなら、生や半生の料理が主役の店は外れます
- 支払い手段 — 現金しか持たない日は、現金が使える店に限られます
- 時間帯 — お酒を頼みたいなら、販売できる時間の中に収まっているかを見ます
- 同行者 — 予約前提の店は人数と時間の自由が利きません
そのうえで、実際に行った人の評価を並べて比べたいときは、点をつけて比べる面であるバンコクの飲食店の口コミと評価のほうを見てください。この記事は「知る」ための面なので、店を選ばせることはしません。
体調を崩したとき、困ったとき
タイの急病の番号は1669です。タイ国立救急医療センター(สพฉ.)が公式サイトで案内しています。旅行者のトラブル相談は観光警察の1155で、タイ観光警察本部の公式サイトが「สายด่วน 1155」として出しています。値段や商売のやり方についての申し立ては、上に書いた商務省 国内商業局の 1569 が窓口です。衛生についての違反は、店のある地域の自治体へ届けるよう保健局が案内しています。
食あたりは水分が失われます。暑季と雨季のバンコクでは、外を歩いてきた時点ですでに汗をかいています。水分の補給を、日本にいるときよりも意識してください。
レストランだけで一日を組み立てない
毎食を店で解決しようとすると、暑さと待ち時間で先に体力が尽きます。屋台や持ち帰り、配達、そして自分で作る日を混ぜたほうが続きます。台所がある滞在なら、屋台の味を家で出す道もあります(タイの屋台の味を、家でつくる)。
タイ料理が続いて口を変えたくなったときのために、バンコクには日本の料理の店も多くあります。魚を食べたい日はバンコクで寿司を食べる、夜に軽く飲みたい日はバンコクの居酒屋と焼き鳥にそれぞれまとめています。食べること全体の記事は食べる・飲むの記事一覧から辿れます。
このページに書いた数字と決まりは、いずれも各機関の公式サイトで2026-09-01時点の表示を見たものです。制度は変わります。行く前に、それぞれの公式サイトで見直してください。
出典
- タイ歳入局(The Revenue Department)公式「Value Added Tax」(税率7%・課税事業者の基準)(2026-09-01 取得)
- タイ保健省 保健局(กรมอนามัย)「SAN・SAN Plus を Clean Food Good Taste に代えて推進する」(旧認証の終了日と認証の手順)(2026-09-01 取得)
- タイ保健省 保健局「食品販売場所の衛生に関する省令(พ.ศ. 2561)」の解説(施設・食品・調理者に対する決まりと罰則)(2026-09-01 取得)
- タイ保健省 保健局「生煮え・生のままの料理を避けるように」(省令の施行日と、加熱と洗浄の呼びかけ)(2026-09-01 取得)
- タイ保健省 食品・水衛生局 Foodhandler(調理に関わる人の講習登録と、受講者名の照会)(2026-09-01 取得)
- タイ国政府観光庁 TAT Newsroom「Alcohol sales and consumption rules updated in Thailand」(酒類の販売時間・年齢・飲めない場所)(2026-09-01 取得)
- 政府情報センター GCC1111(デジタル経済社会省)「官報が飲酒・販売を禁じる8種類の場所を公示」(2026-09-01 取得)
- タイ商務省 国内商業局(กรมการค้าภายใน)「ร้านอาหารธงฟ้า」登録店の検索と問い合わせ先(2026-09-01 取得)
- タイ・イスラーム中央委員会(สกอท./CICOT)公式サイト(ハラール標章の申請窓口へのリンク)(2026-09-01 取得)
- タイ・イスラーム中央委員会事務局 ハラール事業部 公式サイト(認証の手順と、標章の不正使用の申し立て)(2026-09-01 取得)
- タイ国立救急医療センター(สพฉ.)公式サイト(急病の番号 1669)(2026-09-01 取得)
- タイ観光警察本部 公式サイト(สายด่วน 1155)(2026-09-01 取得)
- 厚生労働省検疫所 FORTH「タイ」(季節ごとの気候・急性下痢症・水道水と外食についての注意)(2026-09-01 取得)
このページの内容は 2026-09-01 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。