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タイはどんな国か、まず押さえておくこと

タイの面積・人口・季節・時差・電圧・通貨といった基本から、王室と仏教にまつわる決まりごと、入国のときに要るもの、医療と歯の治療にかかる費用まで、タイ国政府観光庁・ジェトロ・タイ国家統計局などの公式情報だけで整理しました。

この記事の要点

  • タイは日本の約1.4倍の広さで、人口は6,600万人前後です。日本との時差は2時間遅いだけですが、電気は220ボルトなので、日本の100ボルト用の機器はそのままでは使えません。
  • 季節は気温ではなく雨の降り方で分かれ、乾期が11月から2月、暑期が3月から5月、雨期が6月から10月です。年間の平均気温は約29℃です。
  • 日本国籍の観光にビザは要りません。居られるのは2026年9月14日までの入国なら60日、9月15日以降の入国なら30日です。陸路から入るのは暦年で2回までです。
  • 入国前にタイ・デジタル到着カード(TDAC)のオンライン登録が要ります。復路の航空券と、1人10,000バーツ相当の現金や資金の携帯も入国規則で求められています。
  • 人前では他人の頭を触らない、足の裏を人や仏像に向けない、寺では露出の多い服を着ない、というのがタイ国政府観光庁が名指しで挙げている決まりです。

タイは東南アジアの真ん中にある、日本の約1.4倍の広さの国です。人口はおよそ6,600万人。一年じゅう暑く、季節は気温ではなく雨の降り方で3つに分かれます。仏教が生活の土台にあり、王室が国の中心にいます。このページは、面積や人口といった数字から、寺や人前でしてはいけないこと、入国のときに用意するもの、医療や歯の治療にいくらかかるかまでを、政府や公的機関が公表しているものだけで並べたものです。どこへ行くとよいか、どの店が良いかという評価は扱いません。

どこにあって、どのくらいの広さか

正式な国名はタイ王国、タイ語では「プラテート・タイ」です。首都はバンコクで、タイ語の呼び名はクルンテープ・マハナコーン。国土の広さは、タイ国政府観光庁が約51万4,000平方キロメートル(日本の約1.4倍)としており、ジェトロは513,115平方キロメートルという数字を出しています。地方行政は県、郡、町、村という階層になっています。

人口は出どころによって少しずれます。タイ国政府観光庁は約6,593万人(2025年2月現在)、ジェトロはタイ内務省を出所として6,581万人(2025年)と載せています。どちらも6,600万人前後という意味では同じで、集計の時点が違うと考えてください。バンコクの人口はジェトロの掲載で542万人です。

民族の内訳は、タイ国政府観光庁によるとタイ族が約85%、中華系が10%、そのほかにモーン・クメール系、マレー系、ラオス系、インド系があり、山岳部には少数民族も住んでいます。言語はタイ語で、地方によって方言があります。

一年は3つの季節に分かれる

熱帯モンスーン気候で、年間の平均気温は約29℃です。タイ国政府観光庁は季節を次の3つに分けています。

  • 乾期(11月〜2月) … 雨がほとんど降らず、他の季節にくらべて気温が低い時期です。北部の山岳地域では深夜や早朝に0℃近くまで下がることがあります。
  • 暑期(3月〜5月) … 一年でいちばん暑い時期で、4月がその頂点です。40℃を超える地域も多いとされています。
  • 雨期/グリーンシーズン(6月〜10月) … 一年で最も雨が降ります。降り方は一日じゅうではなく、毎日1〜2時間程度の激しいスコールです。

服装は通気性のよい素材が基本で、山岳部へ行くなら朝晩の冷え込みに羽織るものが要ります。雨期は折りたたみ傘かレインコートを持つことをタイ国政府観光庁がすすめています。

日本との時差は2時間、電気は220ボルト

時差は日本より2時間遅いだけです。日本が午前10時のとき、タイは午前8時になります。飛行機の時間さえ越えれば、体内時計はほとんど狂いません。

電気は交流220ボルト・50ヘルツで、日本の100ボルトとは違います。プラグの形はA・BF・Cの3種類が使われていて、主要都市のホテルは日本と同じAタイプに対応しているとタイ国政府観光庁は書いています。ただし電圧そのものは変わらないので、220ボルトに対応していない機器はそのまま挿せません。手持ちの機器の表示を先に見てください。

お金はバーツ、暮らしの水準はどのくらいか

通貨はバーツです。硬貨が6種類、紙幣が5種類あります。両替は銀行や両替所ででき、スワンナプーム国際空港の両替所は24時間、市内の銀行は月曜から金曜の10時から16時が目安だとタイ国政府観光庁は案内しています。

物価の感覚は、公的な統計を見るとつかみやすくなります。タイ国家統計局が公表している直近の値では、1世帯あたりの平均収入が月28,308バーツ、平均支出が月22,420バーツ、世帯の平均債務が153,038バーツです(仏暦2568年=西暦2025年の調査)。失業率は1.0%、インターネットの利用者は6,160万人、携帯電話の利用者は6,380万人とされています。

国全体の水準としては、ジェトロの基礎データで1人あたりGDPが7,492米ドル(2024年)、実質GDP成長率が2.5%、消費者物価上昇率が0.4%です。日本との貿易は、日本からの輸出が281億8,300万ドル、日本への輸入が254億9,400万ドルとなっています。

旅行者の目線でいうと、ミネラルウォーターは500ミリリットルで10バーツ程度だとタイ国政府観光庁は書いています。チップの慣習はあり、同庁のFAQではホテルのベルボーイに荷物1個あたり20〜40バーツ、マッサージで50〜100バーツ、ゴルフのキャディに約500バーツが目安とされています。レストランはサービス料が含まれているので必要ないが、おつりを置いていくのが慣例、という説明です。銀行の営業は月曜から金曜の9時から15時、デパートは10時か11時に開いて22時に閉まり、コンビニは24時間というのが同庁の示す目安です。

信じられているもの — 上座部仏教と王室

宗教の内訳は、ジェトロの基礎データで上座部仏教が約95%、イスラム教が4%、キリスト教が0.6%です。日本で多い大乗仏教とは系統が違うとタイ国政府観光庁は説明しており、「男子は一生に一度は出家をして修業を積む」という教えが基本にあるとしています。僧侶に物を施す、持つ人が持たぬ人に施すといった「徳を積む」行い(タンブン)が、日常の中に置かれています。

政体は1932年からの立憲君主制です。元首はワチラロンコーン国王で、2016年10月の即位。国会は上院150名と下院480名で構成されます。

王室への敬意は、街の中で目に見える形で現れます。タイ国政府観光庁によると、毎朝8時と夕方6時に国歌が流れ、多くの人が仕事の手を止めて起立します。映画館では上映の前に国王賛歌と王室の映像が流れ、全員が起立することになっています。旅行者も、その場では周りに合わせて立つのが自然です。

人前でしてはいけないこと

タイ国政府観光庁が名指しで挙げているものを並べます。理由まで含めて知っておくと、うっかりを避けられます。

  • 他人の頭を触らない。 大変失礼にあたるとされています。小さな子どもの場合は問題ないと同庁は書いています。
  • 足の裏を人や仏像に向けない。 足の裏は不浄とされ、仏前に足の裏を向けて座らないよう気をつける必要があります。
  • 人の足をまたがない。 またぐのは失礼な行為なので、通りたいときは一声かけて足をずらしてもらいます。
  • 寺院では露出の多い服を着ない。 ノースリーブ、ショートパンツ、破れたジーンズなどは避けます。かかとのないサンダルも入場できないことがあります。
  • 女性は僧侶に触れない。 物を渡すときも直接手渡しにしないのが決まりです。

あいさつの合掌はワイと呼ばれます。ひじを軽く体につけ、顔や胸の前で指先をそろえて両手を合わせる形で、相手の立場によって手の高さが変わるとタイ国政府観光庁は説明しています。言葉のほうは「サワッディー」(こんにちは)と「コップクン」(ありがとう)が基本で、男性は語尾に「クラップ」、女性は「カー」を付けると丁寧になります。

暦が2つある

タイでは西暦のほかに仏暦が使われます。公的な統計や書類の年は仏暦で書かれていることが多く、たとえばタイ国家統計局のサイトでは四半期の表示が「2569年 第2四半期」となっています。

2つの暦の差は543年です。タイ国政府観光庁の歴史のページは、年表を「1782(2325)年」「1932(2475)年」「1939(2482)年」のように西暦と仏暦の併記で書いており、どの組み合わせでも差は543になります。西暦に543を足せば仏暦、仏暦から543を引けば西暦という関係です。レシートや役所の書類で見慣れない年が出てきたら、まずこの543を疑ってください。

祝日と、酒が売られない日

日付が動かない祝日には、4月13日から15日のソンクラーン(タイの正月。水を掛け合う行事として知られています)、4月6日のチャクリー記念日、5月4日の戴冠記念日、7月28日のワチラロンコーン国王陛下生誕日、8月12日のシリキット王太后生誕日、10月13日のラーマ9世記念日、10月23日のチュラロンコーン大王記念日、12月5日のラーマ9世生誕日、12月10日の憲法記念日があります。

もうひとつ、旅程に効いてくるのが酒類の販売が禁止される日です。マカブーチャ(万仏祭)、ヴィサカブーチャ(仏誕節)、アサラハブーチャ(三宝節)、カオパンサー(入安居)、オークパンサー(出安居)といった仏教にまつわる祝日がそれにあたるとタイ国政府観光庁は書いています。これらの日付はその年ごとに公表されるので、旅程が決まったら同庁の祝日一覧でその年の日を確かめてください。

植民地にならなかった国という背景

タイの歴史は、タイ国政府観光庁の年表では次のように区切られています。スコータイ王朝が1238年から1438年、アユタヤ王朝が1351年から1767年、トンブリー王朝が1767年から1782年、そして1782年にラーマ1世が即位して王都をバンコクへ移したラッタナコーシン王朝が現在まで続いています。トンブリー王朝はわずか15年で終わりました。

タイ文字は、スコータイ王朝の第3代ラームカムヘーン王(在位1279年から1298年)のもとで1283年に考案されたと同庁は記しています。そして同庁は、タイが「列強の侵略から東南アジアで唯一独立を守り通すことができた」と明記しています。周りの国と歴史の前提が違うところです。

1932年に絶対王政から民主主義体制へ移り、国王は憲法で象徴的な存在と定められました。国の呼び名がシャム(サイアム)からタイになったのは1939年です。

入るときに用意するもの

日本国籍の場合、観光目的ならビザは要りません。居られる日数は2026年9月14日までに入国するなら60日以内、9月15日以降に入国するなら30日以内です(切り替えの日はまだ来ていません)。復路(または次の行き先)の航空券は押さえておいてください。タイ国政府観光庁は「タイの入国規則により、復路航空券および1人10,000バーツ(家族の場合は20,000バーツ)相当額の現金や資金の携帯が義務付けられています」と案内しています。航空会社が搭乗手続きのときに確認することもあります(金額の整理はタイ旅行にビザは必要かで扱っています)。パスポートの残存期間は入国時から6か月以上が必要です。上に書いた日数を超えて滞在するなら、事前にビザを取ります。

タイ国政府観光庁(TAT)が2026年9月1日に出した告知によると、関係する内務省告示は2026年8月31日に官報(Royal Gazette)へ公示され2026年9月15日から新しい枠組みが始まります。同じ日に60日免除は終わります2026年9月14日までに入国する場合は、60日免除のままです。新しい枠組みでは60の国・地域が「観光目的で30日まで」の免除になり、日本はその一覧に載っています(15日免除はセーシェルとモーリシャス、到着ビザはアゼルバイジャン・ベラルーシ・セルビア)。陸路の国境から入る場合は、暦年で2回までです。空路には回数の制限がありません。この2回制限は、マレーシア・ブルネイ・インドネシア・シンガポールの国籍には適用されません(タイの大臣が別に指定した国籍も同じ)。陸路のビザラン(近隣国へ出て入り直すこと)を繰り返す前提で予定を立てないでください。2026年9月14日までに入国した人は、すでに許可された滞在期間のあいだ滞在できます(施行日をまたいでも、その場で日数が縮むわけではありません)。詳しくはタイ旅行にビザは必要かを見てください。2026-09-04 訂正。ここには「官報へ未公示」「日本はどちらにも入っていません」と書いていましたが、いずれも誤りでした。

これとは別に、タイ・デジタル到着カード(TDAC)のオンライン登録が2025年5月1日から必須になりました。タイ国籍を除くすべての外国籍の人が対象で、到着日の3日前から登録できるとタイ国政府観光庁は案内しています。

入国審査で提示を求められることがあるものとして、同庁は復路の航空券と、1人あたり10,000バーツ(家族の場合は20,000バーツ)相当の現金や資金を挙げています。現金の持ち込みは45万バーツ以上なら税関への申告が必要で、持ち出しは5万バーツまで(国境を接する国へ向かう場合は200万バーツまで)です。

持ち込みが禁じられているものにも注意が必要です。麻薬や猥褻物のほかに電子タバコが禁制品で、違反すると最高で10年の懲役または50万バーツの罰金だとタイ国政府観光庁は書いています。日本で当たり前に持っているものが、国境を越えると違法になる例です。

医療はどう見られているか

タイ国政府観光庁は、タイの医療水準は国際的に高く評価されており、治療を目的に訪れる外国人も多いと説明しています。バンコクには英語に対応する病院が多数あり、日本語に対応する施設もあります。バンコク、プーケット、チェンマイに日本語対応の病院があるというのが同庁のFAQの記述です。

ただし「安い」「進んでいる」といった言葉だけで動かず、窓口ごとに値段も待ち時間もまったく違うことを先に知っておいたほうが安全です。次の節がその実例になります。

歯の治療にいくらかかるのか

歯科は、タイの医療費が具体的な数字で公開されている数少ない分野です。チュラロンコン大学歯学部の歯科病院は、料金表を公式サイトで公開しています。この表は歯科医の専門の度合いで3つの窓口に分かれていて、同じ処置でも金額が大きく変わります。下は、2026年2月5日に改定されて同じ日から適用されている表からの抜粋です。単位はバーツです。

処置学生実習クリニック(学部生)同(大学院生)特別歯科診療クリニック(専門の教員)
外来基本料100100230
歯石除去400580980
抜歯100〜300250〜800980〜2,000
親知らずの抜歯(切開をともなうもの)400〜500800〜2,3002,500〜6,000
大人の詰め物(歯の色の材料・前歯)140〜220360〜6601,200〜2,800
根管治療(大臼歯)700〜1,1005,500〜6,5009,500〜11,000

同じ表には待ち時間の目安も載っています。歯石除去は学生実習クリニックでおよそ1年待ち、特別歯科診療クリニックなら2〜3週間。大人の詰め物にいたっては学生実習クリニックで2〜3年待ちで、特別歯科診療クリニックは2〜3週間です。安い窓口は、その分だけ順番が来ません。金額だけを見て比べると判断を誤ります。

表そのものに「治療費は担当の歯科医にもう一度確かめてください」という注記が付いています。そして、ここに出ている金額は公立大学の歯科病院のもので、街の歯科医院や私立総合病院の相場ではありません。私立は各院が自由に値段を決めます。

タイで働いて社会保険に入っている人には、公的な給付があります。タイ社会保険事務局の案内によると、抜歯・詰め物・歯石除去・埋伏歯の手術は年900バーツまでが給付の対象です。入れ歯は5年のあいだで上限が決まっていて、部分入れ歯が1〜5本で1,300バーツ、6本以上で1,500バーツ、総入れ歯は片顎で2,400バーツ、上下そろえて4,400バーツまでとなっています。旅行者はこの制度の対象外です。

日本の健康保険から後で払い戻しを受けられるかどうかも、先に知っておく価値があります。協会けんぽの海外療養費は、日本国内で保険診療として認められている医療行為であることと、治療を目的とした渡航での診療でないことの2つが条件です。インプラントのように日本で保険適用でない治療は対象になりません。支給額は日本国内で同じ傷病を治療した場合の費用が基準になるため、実際に払った額より大幅に少なくなることがあります。歯科の場合は様式Cの診療内容明細書が要り、申請は2年で時効になります。

受診の流れ、日本語で受けたいときの探し方、公立と私立の使い分けは、バンコクで歯医者にかかるときのほうで詳しく扱っています。

困ったときにかける番号

タイ国政府観光庁が示している連絡先は次のとおりです。局番は要りません。

  • ツーリスト・ポリス(観光警察)… 1155(24時間)
  • 警察 … 191
  • 火事 … 199

体調のほうで気をつけたいのは水です。同庁は生水を飲まないよう案内しており、ミネラルウォーターを買うことをすすめています。貴重品から目を離さない、見知らぬ人について行かない、という基本も同庁のFAQに書かれています。

ここから先を調べるとき

国のかたちが分かったら、次は個々のものに入っていくと理解が早くなります。街で毎日目にするタイの国旗は、色の意味も掲揚の時刻も法令で決まっています。首都の名前がなぜあれほど長いのかはバンコクの正式名称の話です。寺で必ず出会う仏像は姿ごとに場面が決まっていて、買って持ち帰るときには許可が要ります。式典や店先で見かける民族衣装にも、名前と着る場面の決まりがあります。

ここに書いた数字や制度は、公表元が更新すれば変わります。金額・ビザ・入国の決まりは、動く前に必ず各機関の公式サイトで見直してください。

出典

このページの内容は 2026-09-04 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。