ZYRO

タイで在留届を出す — 期限・出し方・変更届と帰国届

タイに3か月以上住む人が出す在留届を、旅券法第16条の義務・「遅滞なく」の期限・ORRネットでの出し方・バンコクの大使館とチェンマイ総領事館の違い・変更届と帰国届の順に、外務省と公館の案内から整理しました。

この記事の要点

  • タイに3か月以上住む人は、旅券法第16条により在留届を出します。ビザの種類は問われません。3か月未満の滞在なら在留届ではなく、たびレジに登録します。
  • 期限は日数ではなく「遅滞なく」です。ORRネットなら現地に着く90日前から出せます。書面で出す場合は、着いて住所が決まってからです。
  • 北部9県に住む人はチェンマイ総領事館、それ以外は在タイ日本国大使館へ出します。大使館はメールでの届け出を受け付けず、総領事館のページには電子メールでの提出の記載があります。
  • 同じ管轄の中の引越しでも変更届が要り、タイを離れるときは事前に帰国・転出届を出します。登録した滞在終了予定日から1年以上たつと、転出扱いになります。
  • 旅券法第23条の罰則の各号に、第16条の届け出をしないことを罰する号はありません。ただし外務省が「罰則なし」と明言した記述は見つかっていません。出さないと、災害や事件の際の安否確認が受けられなくなります。

タイに3か月以上住むなら、在留届を日本の大使館か総領事館に出す決まりです。根拠は旅券法第16条で、期限は日数ではなく「遅滞なく」と定められています。出し方は原則としてオンライン在留届(ORRネット)で、北部の9県に住む人はチェンマイ総領事館、それ以外の人はバンコクの在タイ日本国大使館が届け先です。住所が変わったときの変更届と、タイを離れるときの帰国・転出届も同じ仕組みで出します。

誰が出すのか — 3か月以上タイに住む人

届け出の義務は旅券法第16条にあります。e-Gov の条文はこう書いています。

旅券の名義人で外国に住所又は居所を定めて三月以上滞在するものは、外務省令で定めるところにより、当該地域に係る領事官に届け出なければならない。

外国に住所か居所を定めて3か月以上滞在する人が、その地域を担当する領事官に届け出る、という意味です。在タイ日本国大使館は届け出の条件として次のように書いており、ビザの種類で対象が変わることはありません。

タイ国に3ヶ月以上滞在予定であること(滞在査証の種類は問いません)。

滞在の長さが3か月以上かどうかで決まり、どのビザで住んでいるかは関係ありません。3か月未満の滞在の人は、在留届ではなく外務省の「たびレジ」に登録するよう外務省のFAQが求めています。

在留届(ORRネット)たびレジ
対象3か月以上滞在する人3か月未満の滞在の人
根拠旅券法第16条の届け出取得したページに根拠法の記載なし
主な登録内容氏名・生年月日・パスポート・在留地の住所と電話・職業・滞在期間・緊急連絡先渡航先・渡航期間・氏名・メールアドレス・電話番号など
家族世帯ごとにまとめて出せる日本の家族のメールも一緒に登録できる

チェンマイ総領事館のページは、ORRネットについて「任意により1ヶ月程度の短期滞在の方もご提出いただけます」とも書いています。義務の範囲が3か月以上であることは外務省と同じで、短い滞在で任意に出せるかの書き方が違うだけです。

いつまでに出すか — 法令は「遅滞なく」、オンラインなら到着の90日前から

旅券法の本文に提出期限の日数はありません。期限は旅券法施行規則第15条第1項にあり、ORRネットのFAQが転載している条文はこうです。

三月以上滞在しようとするときは、遅滞なく、当該住所又は居所を管轄する領事官

「遅滞なく」が何日かの目安は、法令にも外務省のFAQにも書かれていません。着いて住所が決まったら早めに出す、と受け取るのが安全です。

日本を出る前に出すこともできます。外務省のFAQと在タイ日本国大使館は、どちらも同じ90日前を書いています。

在留地到着の90日前から在留届の届出が可能です。

これはオンラインに限った扱いです。書面で出す場合について、外務省のFAQは「現地に到着して住所等が決まってから日本大使館・総領事館に在留届を提出してください」と書いています。ORRネットのほうは、在留地の住所と電話番号が未定でも出せます。

どこに出すか — バンコクの大使館とチェンマイ総領事館で扱いが違う

届け先は住んでいる県で決まります。在タイ日本国大使館のページはこう書いています。

北部タイ9県(チェンマイ、チェンラーイ、ラムプーン、メーホンソン、ラムパーン、ナーン、パヤオ、プレー、ウッタラディット)に在住の方は、

この9県の人はチェンマイ総領事館へ、それ以外の県の人は在タイ日本国大使館へ出します。チェンマイ総領事館のページも同じ9県を挙げていますが、チェンライ・ランプーン・メーホンソーン・ランパーン・ウタラディットと表記が少し違います。

出し方の案内は、2つの公館で同じではありません。メールでの届け出の扱いが違うので、自分の届け先の案内に従ってください。

在タイ日本国大使館(バンコク)在チェンマイ日本国総領事館
管轄北部9県以外北部9県
原則2022年3月から在留・変更・帰国の届け出は原則すべて ORRネットページ冒頭に、2022年3月から原則すべてオンラインと記載
紙の届け出オンラインが難しい人は大使館の窓口で紙を受け付ける窓口・郵送・FAX の記載あり。書面は一家族で一枚
メールでの届け出受け付けない電子メールでの提出の記載あり
ページの日付令和6年5月3日令和7年3月24日

大使館のページは、メールについてはっきり断っています。

※Emailによる在留・変更・帰国の届出は受け付けておりません。

一方、チェンマイ総領事館のページには次の一文があります。同じページの冒頭には2022年3月から原則オンラインとも書かれており、1つのページの中で2つの案内が並んでいます。

在留届の提出は、 窓口/郵送/FAX/ 電子メール : consular@tm.mofa.go.jp にてお願い致します。

北部9県の人がメールや郵送で出したいときは、総領事館に受け付けるかを確かめてから送るのが確実です。大使館は窓口の混雑によって登録の完了に時間がかかる場合があるとも書いており、どちらの公館もオンラインでの手続きを求めています。

ORRネットで出すときに知っておくこと

外務省のFAQは「原則として、「オンライン在留届(ORRネット)」で提出してください」と書いています。ORRネットのトップページによれば、入力が必須の情報は次のとおりで、登録したメールアドレスがそのまま利用者IDになります。

  • 氏名・生年月日・パスポートの情報・メールアドレス
  • 在留地の住所と電話番号(未定でも出せる)
  • 職業・滞在期間・在留地の緊急連絡先

書面で出すと失うものがあります。外務省のFAQは「書面で在留届を提出した場合には、証明やパスポートのオンライン申請はできません」と書いています。在留届をオンラインで出しておくことが、後の手続きをオンラインで済ませる条件になっているわけです。

場面公式の案内
家族と住む在留届・変更届・帰国届は世帯ごとにまとめて出せる(旅券法施行規則第15条第3項)
家族に日本国籍でない人がいる同居家族として登録できるが、筆頭者にはなれない
有効なパスポートが手元に無い失効したパスポートの番号で出せる。提出日から7か月たっても有効な番号を登録しないと、在留届は抹消される
以前に紙やメールで出した本人が旅券を持って大使館に来館し、認証コードを受け取る。1〜3日以内に届くメールから ORRネットに登録する。世帯の登録なら代表者1名で来館できる

住所や家族が変わったとき — 変更届

届け出た内容が変わったら、変更届を出します。旅券法施行規則第15条第2項は「住所、居所その他の届出事項に変更を生じたときは遅滞なく」と定めています。近所への引越しでも省けない、というのが外務省のFAQの説明です。

同じ日本大使館・総領事館の管轄区域内の引っ越しであっても、変更届を提出しなければなりません。

届け先の公館が変わる引越しは、変更届では済みません。たとえばバンコクから北部9県へ移る場合、今の公館に帰国・転出届を出したうえで、新しい公館に在留届を出し直します。チェンマイ総領事館のページも、抹消の届け出が要る場面に、管轄の外のタイ国内へ移るときを挙げています。

3. 本帰国・当館管轄地域以外のタイ国内への転出・他国へ転出時

タイ国内で引越したときの届け出の全体は、「タイで引越したら出す届け出」で扱います。

家族が増えたときも変更届です。外務省のFAQは「お子様が生まれた場合には、親の在留届に同居家族としてお子様を追加してください」と書いており、子どもの分の在留届を別に出す必要はありません。子どものパスポートができたら、その番号も登録します。出生届そのものは「タイで子どもが生まれたら」で扱います。

タイを離れるとき — 帰国・転出届

本帰国するときや第三国へ移るときは、帰国・転出届を出します。旅券法施行規則第15条第2項の文言は、管轄区域を去るときは「事前に」です。第三国へ移る場合、外務省のFAQは新しい国の公館に在留届を出す前に、今の公館へ届けるよう書いています。

現在の住所地を管轄している日本大使館・総領事館に「帰国・転出届」を提出してください。

旅行や出張で一時的にタイを離れるだけなら、帰国・転出届は要りません。生活の本拠がタイにある限り在留届はそのままで、第三国へ短く行くときはたびレジに登録します。

場面すること
本帰国・第三国へ移る事前に帰国・転出届を出す
出さずに帰国してしまったオンラインで出した人は、帰国後に ORRネットで出せる。書面で出した人は提出先の公館に相談する
筆頭者だけ帰国し、家族が残る家族全員の帰国・転出届を出し、残る家族から新しい筆頭者を立てて在留届を出し直す
旅行・出張で一時的に出国する帰国・転出届は不要。第三国へ短く行くならたびレジに登録する

帰国・転出届を出し忘れると、外務省のFAQによれば、帰国した後も注意喚起や安否確認の SMS やメールが届き続けます。在外選挙人名簿に登録していた人は、在タイ日本国大使館の案内では、本帰国して転入の手続きをすると原則3か月たってから国内の選挙人名簿に登録されます。

出さないとどうなるか — 困るのは安否確認と選挙

外務省のFAQが挙げる不利益は、事件・事故・災害が起きたときのことです。在留届を出していない人について、FAQはこう書いています。

安否確認や日本の留守宅への連絡を行うことができなくなります。

もう1つは選挙です。外務省のFAQは「在外選挙人名簿登録をする際にも、在留届が必要になります」と書いています。チェンマイ総領事館は、在留届が「当地に引き続き3ヶ月以上滞在していること」を確かめる資料になると説明しています。

罰則について言えるのは、条文から読める範囲だけです。旅券法の罰則を定めた第23条を見ると、第1項の各号にも第4項の各号にも、第16条の届け出をしないことを罰する号はありません。第23条第1項の柱書きは次のとおりです。

次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

ただし、外務省や大使館が「罰則は無い」と明言した記述は、取得した資料の中にありませんでした。ここで書いているのは条文を読んだ結果であり、外務省の見解ではありません。罰則の有無にかかわらず、義務であることは第16条に書かれています。

届け出が「転出」扱いになる条件

出したままにしておくと、在留届が転出として扱われることがあります。外務省のFAQは転出扱いの条件を5つ挙げており、そのうち期間が書かれているのは次の3つです。

条件期間
在留届に登録した滞在終了予定日を過ぎた1年以上
届け出た公館から連絡が取れない1年以上
パスポートの有効期間満了日を過ぎた1年以上

在タイ日本国大使館は、例年10月に在留の確認調査をしていると書いています。滞在予定期間を過ぎた人には、届け出たメールアドレスにメールを送るなどして在留を確かめます。

この記事で確かめられなかったこと

  • 在留届を出さないことへの罰則。旅券法の罰則の条文に第16条違反を罰する号が無いことは、条文で確かめました。外務省や大使館が「罰則なし」と明言した記述は見つけられていません。
  • 「遅滞なく」が何日か。法令にも外務省のFAQにも、日数の目安はありませんでした。
  • 旅券法施行規則第15条の原文。条文は ORRネットのFAQに転載されたものを使いました。e-Gov の施行規則のページ本体は取得しておらず、転載と現行の条文が一致するかは確かめていません。
  • メールでの届け出。在タイ日本国大使館は「Emailによる在留・変更・帰国の届出は受け付けておりません」と書いています。チェンマイ総領事館は窓口・郵送・FAX・電子メールで受け付けると書き、同じページで2022年3月から原則オンラインとも書いています。総領事館が今もメールで受け付けているかは確かめていません。
  • 郵送での届け出。郵送はチェンマイ総領事館のページにだけ記載があり、在タイ日本国大使館のページには記載がありません。
  • 転出扱いの条件の数。外務省のFAQは5つ、チェンマイ総領事館は平成26年4月1日からの2つ、在タイ日本国大使館は滞在終了予定から1年以上の1つを挙げています。最も網羅的なのは外務省のFAQです。
  • チェンマイ総領事館の管轄を定めたページ。北部9県の列挙は在留届のページ2件にあるだけで、管轄区域の一覧のページは取得していません。
  • たびレジの法的な位置づけ。たびレジのページに根拠法の記載はありません。旅券法上の届け出ではない、というのは在留届との対比からの読み取りです。
  • ORRネットで出してから受理されるまでの時間。記載がありません。

届け出の受け付け方は公館が変えることがあります。手続きをする前に、自分の届け先の公館のページで最新の案内を確かめてください。

出典

このページの内容は 2026-10-19 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。