タイの治安と、気をつけること
外務省がタイに出している危険情報の範囲、日本人が実際に遭っている手口、うっかりやると捕まること、体と病気のこと、かける番号までを、公式が出している情報だけで整理しました。
この記事の要点
- 外務省が危険情報のレベルを出しているのはカンボジア国境沿いと深南部で、バンコク・チェンマイ・プーケット・パタヤは入っていません。
- 日本人が実際に遭うのは、ほとんどが盗まれるか騙されるかです。2025年に大使館と総領事館へ報告があった被害は、窃盗が128件、詐欺が22件でした。
- 夜は飲み物から目を離さないでください。親しげに声をかけてきた相手と飲食し、睡眠薬を入れられて朦朧としたままキャッシングをさせられる事例が出ています。
- 電子タバコは加熱式も含めて持込み・所持・使用のすべてが禁止で、最高10年の懲役または50万バーツの罰金です。大麻も娯楽目的の使用は認められていません。
- 私立病院はすべて自由診療で、保証金を求められることもあります。日本の公的医療保険の海外療養費だけでは足りないので、海外旅行保険で埋めておきます。
タイは「危ないのか、危なくないのか」で語られがちですが、実際に必要なのは、どこにどんな線が引かれていて、日本人がどの手口で被害に遭っていて、うっかりやると捕まるのは何か、という具体です。このページは外務省と在タイ日本国大使館、タイの当局が公表している情報だけを使って、そこを順に並べたものです。数字と決まりは変わりますので、出かける前に必ず出典元で見直してください。
いま、どの地域に線が引かれているか
外務省は国や地域ごとに「危険情報」を出しています。タイについて出ている最新のものは2026-09-04時点で更新日が2026年7月2日で、レベルが付いているのは次の範囲です。
| 地域 | レベル | 意味 |
|---|---|---|
| カンボジア国境から30km以内(シーサケート県、スリン県、ブリラム県、ウボンラチャタニ県、サケーオ県、チャンタブリ県、トラート県) | レベル3 | 渡航は止めてください(渡航中止勧告) |
| ナラティワート県、ヤラー県、パッタニー県、ソンクラー県の一部(ジャナ郡、テーパー郡、サバヨーイ郡) | レベル3 | 渡航は止めてください(渡航中止勧告) |
| カンボジア国境から30kmを超えて50km以内の地域 | レベル2 | 不要不急の渡航は止めてください |
| ソンクラー県(上記3郡を除く) | レベル2 | 不要不急の渡航は止めてください |
この一覧にバンコク、チェンマイ、プーケット、パタヤは入っていません。つまり多くの旅行者が行く場所には、いま危険情報のレベルは出ていないということです。「タイは危ないらしい」と聞いたときの多くは、この国境沿いと深南部の話が混ざっています。
線が引かれている理由も公表されています。カンボジア国境は2025年5月以降にタイ・カンボジア両軍の軍事衝突が発生し、同年12月27日の停戦合意以降は大規模な衝突が起きていないものの、重火器の撤去が進んでおらず緊張が続いているためです。マレーシアと接する深南部は、分離独立を掲げる武装勢力による襲撃・爆発事件が続いていることが理由とされています。
数字で見ると、何が多いのか
在タイ日本国大使館と在チェンマイ日本国総領事館が出している「安全の手引き」の令和8年版には、タイ警察がまとめた2025年の犯罪統計が載っています。殺人・傷害致死事件(未遂を含む)の通報が3,981件、強制性交等事件が1,875件、盗難事件等が34,961件です。銃器・爆発物関連では48,374人、薬物犯罪では418,104人が検挙されています。同手引きはタイの凶悪事件の発生率は日本と比べて非常に高い水準で推移していると書いています。
一方で、日本人が実際に巻き込まれる被害はもっと地味です。2025年に大使館と総領事館へ報告があった日本人の被害は、最も多いのがスリ・置き引き等の窃盗で128件、次いで詐欺が22件、恐喝・脅迫が2件でした。旅券は同じ年に、盗難が86件、紛失(盗まれたものか明確でないものを含む)が267件、合計353件がなくなっています。
読み方はこうなります。命に関わる事件の水準は日本より高いけれど、日本人が実際に当たるのはほとんどが盗まれるか騙されるかである。だから対策も、身を隠すことではなく、財布と旅券と「知らない人の話」の扱いに集中します。
日本人が実際に遭っている手口
手引きは事例と注意点を名指しで挙げています。以下は要点だけを抜き出したものです。
声をかけられて、話している間に抜かれる
外国人の男性、または男女から「お札を見せてほしい」「日本円のレートを教えてほしい、その前に日本円を見せてほしい」などと親しげに話しかけられ、やりとりの最中に財布から現金やクレジットカードを抜き取られる被害が複数報告されています。手引きの注意点は簡潔で、相手にせず、その場を速やかに立ち去るです。
スリと置き引き
市場や電車内で複数人に取り囲まれ、バッグを刃物で切られたりチャックを開けられたりする手口、数名の子どもや女性がなれなれしく触れたり抱きついたりして気をそらす「抱きつきスリ」が挙げられています。抱きつきスリは風俗店や飲食店の多い繁華街で注意するようにと書かれています。混んだ場所ではバッグを体の前に持ち、財布をズボンの後ろポケットに入れない。レストランやフードコートで椅子の背もたれに荷物を掛けない。公園のベンチで横に荷物を置かない。これがそのまま対策になります。
ひったくりと強盗
歩道を歩いているところへ二人乗りのバイクがすれ違いざまにカバンを奪う手口、トゥクトゥクに乗車中に後方から来たバイクに奪われる手口、深夜に徒歩で通行中に刃物で刺されて現金を奪われた事例が挙げられています。歩くときはバッグを道路と反対側に持つ、トゥクトゥクやシーローでは荷物を体から離さない、というのが注意点です。
飲み物に入れられる
パブなどから連れ出した相手や、親しげに声をかけてきた人物と飲食していたところ、飲み物に睡眠薬等を入れられて金品を盗まれる事例が出ています。手引きによれば、完全に昏睡するわけではなく朦朧とした状態になるため、犯人の言うままにキャッシングをさせられるケースもあり、そのあとバンコク都内から地方の県まで運ばれて路上に放置された例もあります。その日に出会った相手と飲食するときは、自分の飲食物と相手の行動から目を離さないこと、とされています。
連れて行かれた店で買わされる
タクシーやトゥクトゥクの運転手が王宮や寺院の周辺で声をかけ、宝石店やオーダーメードのスーツ店へ連れて行く手口です。「日本で高く売れる」「カシミア100パーセント」などと言われるものの、実際には粗悪品であることが多く、返品も受け付けないと書かれています。高額なものを買うなら、事前に店を調べ、返金の決まりを確認してから、というのが注意点です。
肩書きや身内をかたる
ホテルの従業員を名乗る者に宿泊代を払ったが従業員ではなかった例、ゴルフ場でシャワーを浴びている間にロッカーを開けられ、すぐ気づかないよう現金は残したままクレジットカードだけを他人名義のものとすり替えられた例、親族を名乗る者から「バンコクの病院に入院していて手術費が要る」と連絡が来て送金したが入院自体が架空だった例が挙がっています。支払いのときは請求書の内容を確かめて領収書を必ずもらう、送金の前に病院へ問い合わせて裏付けを取る、が注意点です。
仕事の誘いに乗る
これは被害の形が違います。外務省は「ミャンマー・タイ国境付近の詐欺拠点に関する注意喚起」を出していて、オンラインゲームやSNSで知り合った面識のない相手からタイなど海外の仕事を紹介されて渡航し、最終的にミャンマー側の特殊詐欺拠点へ連れて行かれて詐欺に加担させられ、ノルマが達成できないと暴行を受ける事案が発生したとしています。この周辺はミャンマー少数民族武装組織が実質的に支配していて当局の活動が及びにくく、救出や解決が容易ではない可能性があるとも書かれています。危険情報の本文にも、タイ到着直後に旅券と連絡手段を取り上げられ、監禁状態で不法行為をさせられる事案が挙がっています。
夜の街で気をつけること
外務省の安全対策基礎データは、バンコクでは旅行者が集まる観光地や繁華街、大型商業施設の周辺、ゲストハウス周辺で犯罪が多発しているとし、カラオケ店でのぼったくり被害も発生しており、特に夜の繁華街では十分な注意が必要だと明記しています。不用意に狭い路地へ入り込むことも危険だとしています。
夜について公式が挙げている具体は、だいたい次の4つに集まります。
- 飲み物から目を離さない — 上に書いた睡眠薬を使った窃盗です。相手が誰であっても同じです。
- 薬物には近づかない — 手引きによれば、パブなどの一斉捜査やおとり捜査で薬物の所持・使用により逮捕される日本人がいます。ナイトクラブやゲストハウスでも警察が随時取り締まりを行っています。
- 帰りの足を先に決める — 夜間に女性が一人でタクシーやバイクタクシーに乗った際、車内で凶器で脅されたり連れ回されたりした事例があります。乗合タクシー(ソンテオ)は夜に一人で乗らない、乗るなら他の乗客がいる車両か後部座席、とされています。乗り方そのものはバンコクでタクシーと配車アプリを使うにまとめています。
- 一人歩きを減らす — 手引きは、どうしても出かけるなら遠回りでも幹線道路など明るく広い通りを使う、肌を露出した服装をしない、相手が勘違いするような態度を取らない、と書いています。服装の考え方はタイで着るもの・持っていくもので扱っています。
お金については、正直に書いておきます。夜の店の相場を示している公的な資料は、今回の確認では見つかりませんでした。行政が出しているのは価格表ではなく、「ぼったくり被害が実際に起きている」という事実と、支払い時に請求書の内容を確認して領収書をもらうという注意点だけです。金額を書いている記事があっても、それは誰かの体感であって公的な相場ではありません。値段が心配なら、入る前に自分で確かめる以外の方法はありません。
もうひとつ、夜に効いてくるのが煙草の決まりです。手引きによれば、レストラン、カラオケスナック、バーなどエアコンの効いた屋内の飲食店は全面禁煙で、違反や路上のポイ捨てには数千バーツの罰金が科される場合があります。
うっかりやると捕まること
治安の話より現実に日本人が引っかかるのは、こちらです。知らなかったでは済みません。
- 電子タバコ — タイでは加熱式を含む電子タバコの持込み・所持・使用・販売のいずれも禁止されています。違反すると最高で10年の懲役または50万バーツの罰金が科されると外務省は書いています。
- 王室に関わる言動 — タイ刑法には「国王、王妃、皇太子、摂政に対する罪」があり、王室を侮辱した場合は3年以上15年以下の禁錮に処せられるおそれがあります。
- 大麻 — 2022年6月に規制薬物のリストから除外されましたが、認められているのは医療等の目的と、含有成分に厳しい制限を設けて製品化された食品や化粧品等に限られます。娯楽目的の使用は認められておらず、公共の場での吸引も禁止です。日本の大麻取締法には国外での栽培・所持・譲受け・譲渡し等を罰する規定があり、タイで手を出しても罪に問われる場合があります。バンコクやプーケットでは、大麻クッキーの摂取による精神錯乱や、違法薬物の過剰摂取による死亡事案も起きています。
タイ国政府観光庁は「2025年6月23日をもって、大麻の花穂はタイで規制物質に分類された」と告知しています。あわせて「タイ伝統医療知識保護促進法(仏暦2552年)に基づく保健省の新しい規則が、2022年11月の旧通達を廃止して置き換えた」「旅行者は、タイで有資格の医療者が発行した処方箋を持たないかぎり、大麻の花穂の使用・購入・携帯・運搬を厳しく禁じられる」「処方は30日分を超えてはならない」と告知しています。あわせて「喫煙用の大麻を売る店や屋台、とくに飛び込みの客を相手にしているところは、違法に営業している可能性がある」とも書いています(この告知は2025年6月26日付。2026-09-04確認)。
日付と法律名の年号は、いずれも同庁の告知の書き方によります。ただし、この年号は同庁の誤りです。正しくはタイ伝統医療知識保護促進法 仏暦2542年(1999年)(พระราชบัญญัติคุ้มครองและส่งเสริมภูมิปัญญาการแพทย์แผนไทย พ.ศ. 2542)で、仏暦2552年(2009年)にこの名称の法律はありません。原典を当たるときは、上のタイ語名か「B.E. 2542」で探してください。タイの省令は公示日と施行日が別に置かれることがあるため、「6月23日から」という日付も同庁の言い方に依っています。2022年に規制薬物のリストから外れたことと、街の店で買えることは別です。外務省の「安全対策基礎データ」は2026-09-04時点でも2022年の記述のままなので、こちらの告知と合わせて読んでください。 - 違法薬物一般 — 販売目的の所持や密輸であった場合、死刑や終身刑が科される場合があります。空港などで見知らぬ人から荷物を預からないこと、とされています。
- 万引き — 空港免税店やホテルでの万引きで逮捕される事例が報告されています。少額でも警察に引き渡され、裁判が行われるまで収監され、数か月から数年の禁錮刑になる場合もあります。
- 無免許運転 — 日本の運転免許証だけでは運転できません。国際運転免許証かタイの免許が必要で、バイクは自動車免許とは別にバイクの免許が要ります。無免許中の事故は罰金の対象になるうえ、海外旅行傷害保険に入っていても運転資格のない者の事故として保険が適用されません。
- いきものを持ち出す — ウィークエンドマーケット等で売られている亀やサル、カワウソなどを無許可で持ち出すことはできません。2025年にも、ヘビや亀を無許可で持ち出そうとした日本人が逮捕されています。
写真とSNSの投稿
外務省は撮影と投稿についても注意喚起を出しています。撮影が禁止されている場所の例として、軍事施設、空港、駅や鉄道関連施設、港湾、橋、国境地帯、政府関係施設、各国の大使館が挙げられています。遠くからの風景写真にそうした施設が写り込む場合や、集会・デモの周辺では被写体を問わず撮影が禁止されている場合もあり、意図せず撮ってしまった場合でも拘束されることがあるとされています。SNSに投稿した写真や動画に写り込んでいた場合も同じです。ドローンは持込みと撮影に事前の届出や許可が必要で、手続きを取らずに使って国外退去処分になった例が報告されています。礼拝などの宗教行事や人物を撮るときは、事前に了承を得るようにと書かれています。
入国と滞在でつまずくところ
ここは制度の話なので、確かめれば防げます。
- 観光ならビザなし — 日本国旅券の所持者は、入国目的が観光であればビザなしで入れます。居られる日数は2026年9月14日までに入国するなら60日、9月15日以降に入国するなら30日です(切り替えの日はまだ来ていません)。陸路の国境から入る場合は、暦年で2回までです。空路には回数の制限がありません。この2回制限は、マレーシア・ブルネイ・インドネシア・シンガポールの国籍には適用されません(タイの大臣が別に指定した国籍も同じ)。陸路のビザラン(近隣国へ出て入り直すこと)を繰り返す前提で予定を立てないでください。タイ国政府観光庁(TAT)が2026年9月1日に出した告知によると、関係する内務省告示は2026年8月31日に官報(Royal Gazette)へ公示され、2026年9月15日から新しい枠組みが始まります。同じ日に60日免除は終わります。2026年9月14日までに入国する場合は、60日免除のままです。新しい枠組みでは60の国・地域が「観光目的で30日まで」の免除になり、日本はその一覧に載っています(15日免除はセーシェルとモーリシャス、到着ビザはアゼルバイジャン・ベラルーシ・セルビア)。2026年9月14日までに入国した人は、すでに許可された滞在期間のあいだ滞在できます(施行日をまたいでも、その場で日数が縮むわけではありません)。条件は告知なく変わることがあるため、駐日タイ王国大使館やタイ入国管理局で確認するようにと外務省は付け加えています。2026-09-04 訂正。ここには「陸路・空路を問わずビザなしで60日間」と書いていましたが、日数も、陸路の回数制限が無いという書き方も誤りでした。日数の整理はタイ旅行にビザは必要かにあります。
- 到着カードは事前にオンライン — タイ入国管理局は2025年5月1日からタイデジタル到着カード(TDAC)を導入しました。陸路・海路・空路を問わず、タイに入国するすべての非タイ国籍者が対象で、登録はタイ到着の3日前(到着日を含む)から可能です。入国審査を受けずに空港で乗り継ぐだけなら不要です。公式サイト以外を使って料金を請求されたりカード情報を入力させられたりするトラブルが起きており、偽サイトも存在します。公式サイトは、その表題自体が「手数料は不要(No Fees Required)」と名乗っています。手順は入国前に出すタイの電子入国カード(TDAC)にまとめています。
- 旅券をきれいに保つ — ページの一部に出入国スタンプや査証以外のもの(メモ書き、観光地の記念スタンプ、小売店のポイントシール等)があるため、あるいは破れ・欠落や顔写真の汚損のために、出入国を拒否された事例があります。
- 入国印をその場で確かめる — 係官が押し忘れることによるトラブルが起きています。入国印がないことに気づかず出国しようとすると、不法入国とみなされて罰金や身柄拘束につながる可能性があります。旅券を受け取ったら、その場で確認してください。
- 期限を過ぎたとき — 軽微な違反であれば出国時に1日あたり500バーツの罰金を払って出国を認められることもありますが、職務質問で不法滞在が判明した場合は身柄を拘束され、強制送還となるおそれがあります。90日ごとの滞在報告を怠った場合の罰金は、公式ページによって書き方が違います(2,000バーツ/摘発・逮捕された場合は4,000バーツ以上または5,000バーツ)。入国管理法(仏暦2522年)第76条の上限は5,000バーツです。
- 旅券を持ち歩く — 警察官や入国管理局職員に職務質問された際に旅券を携帯していないと、罰金や身柄拘束の可能性があります。同時に、盗難と紛失にも注意が要ります。両替所に一時的に預けたまま受け取り忘れて所在が分からなくなる事案も報告されています。
- 審査の窓口で怒らない — 大声を出す、侮辱的な言葉を発する、カウンターを叩くといった行為で入国拒否になった事例、警察に引き渡されて罰金を払う事態になった事例が報告されています。
持ち込みと持ち出しの線
| もの | 決まり |
|---|---|
| 紙巻きタバコ | 免税範囲は200本(1カートン)まで |
| 葉巻等 | 免税範囲は250グラムまで |
| 酒類 | 一人につき1本1リットルまで |
| タイバーツ | 持込みは45万バーツを超えると税関申告。持出しは5万バーツ超でタイ中央銀行の許可、45万バーツ超で税関申告 |
| 外貨 | 持込み・持出しとも1万5千米ドル相当を超えると税関申告 |
| 金(板状・延べ棒など) | 量にかかわらず申告が必要 |
免税範囲は一人ずつで見られます。団体旅行で一人が他の人の分もまとめて持っていた場合、その持っていた人が超過とみなされ、没収と罰金の対象になります。米、植物、果物等の持込みも規制されています。
もうひとつ、荷物で引っかかりやすいのがモバイルバッテリーです。タイ国内線で、ワット時定格量(Wh)の記載がないために機内に持ち込めなかったケースが出ていると手引きは書いています。表示が読めないものは国内線・国際線を問わず持ち込めない、あるいは没収される可能性があります。充電まわりの持ち物はタイのコンセントと電圧、変換プラグはいるのかで整理しています。
道と乗り物
手引きは、タイの運転マナーは一般的に良いとは言えず速度も出ているため死亡・重傷事故が多いとしたうえで、車優先の交通社会なので歩行や横断には細心の注意が必要だと書いています。歩行者向けに挙げられているのは3点です。
- 歩行者優先の意識が低いため、青信号でも左右の安全を十分確認してから渡る。
- タクシーを降りるとき、後方から来るバイクに気をつける。
- 歩道にもバイクが走ってくることがあるため、歩きスマホを避けて周囲への注意を切らさない。
事故に遭ってしまった場合は、けが人の救護と警察への通報、加入している保険会社への連絡、現場をなるべく動かさないこと、書類に署名する前に内容をよく確認することが挙げられています。タイでの保険や賠償金は日本と比べて非常に低く、加害者に補償能力がない場合もあるため、自分でも保険に入っておくようにと書かれています。
体のこと
暑さと空気
外務省の「世界の医療事情」によれば、バンコクは乾季が11月から2月、暑季が3月から5月、雨季が6月から10月です。暑季は最高気温が35℃前後に達して外を歩くと疲れやすく、乾季は過ごしやすい代わりに大気汚染と相まって呼吸器の不調が増える季節とされています。運動時は水分と塩分を十分に取ること、雨のあとで曇っていても紫外線は強くなることが、注意点として挙げられています。
蚊が運ぶ病気
デング熱、チクングニア熱、日本脳炎、ジカ熱はいずれも蚊が媒介し、雨季を中心に流行しますが、バンコクなどの都市部でも発生します。マラリアについては、バンコク・チェンマイ・パタヤなどの都市部で感染する可能性はほとんどなく、危険が残るのは深南部を含む国境に接する県の郊外・森林地帯とされています。
覚えておくと効くのがデング熱の一点です。アセトアミノフェン以外の解熱剤は症状を悪化させるおそれがあるため、自己判断で薬を飲まず病院にかかると外務省は書いています。潜伏期間は2〜14日(多くは3〜7日)で、突然の高熱で発症します。予防は蚊に刺されないことに尽き、長袖・長ズボン、虫よけ、網戸や蚊帳の使用が挙げられています。虫よけの選び方は蚊と虫の対策で扱っています。
動物に触らない
狂犬病では、2019年から2022年の間、毎年3〜4名の死者が確認されています。犬や猫だけでなく、牛やさまざまな動物から感染する可能性があります。噛まれたり傷をなめられたりしたら、すぐに石けんと水で洗い、速やかに病院を受診してください。事前にワクチンを接種している場合でも、受診して追加接種が必要とされています。
食べ物と水
旅行者下痢症や食中毒は、不衛生な食品や氷・飲料、食器を介して起きるとされ、衛生管理の行き届いた店を選ぶことが挙げられています。A型肝炎と腸チフスも汚染された水や食品からの経口感染で、いずれも十分な加熱で殺菌でき、予防接種もあります。洪水のあとに素足やサンダルで歩くと、レプトスピラ症の危険が増すとも書かれています。
病院にかかると、いくら飛ぶのか
バンコクの代表的な私立病院の医療水準は日本と比べて遜色がなく、日本語通訳や専用窓口を置いているところもあります。ただし私立病院はすべて自由診療で、診察料・治療費・入院費・手術費用が高額になることが多く、保証金が必要となることもあります。外務省は、海外旅行傷害保険への加入と事前の費用確認を勧めています。かかり方そのものはバンコクで病院にかかるにまとめています。
日本の公的医療保険の「海外療養費」だけをあてにするのは危険です。協会けんぽの説明では、支給されるのは日本国内で同じ傷病を治療した場合の治療費を基準に計算した額(海外で実際に払った額のほうが低ければその額)から自己負担相当額を引いた額で、日本と海外で医療体制や治療方法が異なるため、支給金額が大幅に少なくなることがあると明記されています。対象は日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られ、治療目的の渡航は対象外、請求の時効は2年です。差額は自分でかぶることになるので、海外旅行保険や現地の医療保険で埋めるのが現実的です。タイ側の仕組みはタイの医療保険で扱っています。
かける番号
| 用件 | 番号 | 補足 |
|---|---|---|
| 警察 | 191 | 全国共通。救急車の要請も可能 |
| 観光警察 | 1155 | バンコクは日本語・英語可。タイ観光警察本部の公式サイトも「สายด่วน 1155」と表示しています |
| 火災通報 | 199 | タイ警察の消防部門 |
| 救急車 | 1669 | タイ保健省管轄のナレントンセンター。タイ国立救急医療センターの公式サイトも「เจ็บป่วยฉุกเฉิน โทร.1669」と案内しています |
| 在タイ日本国大使館 | 02-696-3000 / 02-207-8500 | 領事部(邦人援護)は02-696-3002 / 02-207-8502 |
| 在チェンマイ日本国総領事館 | 052-012-500 | チェンマイなど北部9県を管轄 |
手引きには、いざというときのタイ語も載っています。助けては「チュアイ・ドゥアイ」、警察を呼んでは「リアッ(ク)・タムルアッ(ト)」、泥棒は「カモーイ」、今どこにいるかを伝えるときは「トーン・ニー・ユー・ティー・○○」です。男性は語尾に「カッ(プ)」、女性は「カー」を付けると丁寧になります。
日本の家族に連絡するときは、電話をかける時刻がずれます。何時にかければ相手が起きているかは日本とタイの時差で確かめてください。
出発前と現地で、情報をどこで取るか
「タイの今の状況を調べたい」と思ったときに見る先は、実はそう多くありません。外務省の海外安全ホームページには3種類の情報があり、地域ごとのレベルを示す危険情報、その国で起きた個別の事案を知らせるスポット情報、複数の国にまたがる注意喚起の広域情報に分かれています。タイのページを開けば、この3つが日付付きで並んでいます。
そのうえで、外務省は登録を勧めています。3か月未満の旅行や出張ならたびレジに登録すると、滞在先の安全情報が日本語のメールで届き、事件・事故・災害の際の安否確認にも使われます。家族や同僚のメールアドレスも受け取り先に追加できます。3か月以上滞在する場合は、旅券法第16条により在留届の提出が義務づけられています。
登録より先にできることもあります。手引きと安全対策基礎データが共通して挙げているのは、自分の旅行や出張の予定を家族や会社の関係者と共有し、連絡手段と方法をお互いに確認しておくことです。財布とスマートフォンを同時に失うと、日本にいる人へ連絡する手段まで一緒になくなります。家族の連絡先をメモに書き出しておく、というのも手引きに書かれた注意点のひとつです。
結局、何を持って出るか
ここまでを短くまとめると、タイで自分を守るのに要るのは度胸ではなく段取りです。危険情報のレベルが出ている地域を避け、荷物を体から離さず、知らない人の話に乗らず、飲み物から目を離さず、電子タバコと大麻に触れず、旅券を携帯しつつ失くさず、蚊に刺されないようにして、保険に入っておく。これだけで、公表されている被害のほとんどは自分の前を素通りします。
持ち物と服装の具体はタイで着るもの・持っていくものに、出発前にそろえるほかの準備は旅の準備の記事一覧にまとめています。なお、ここに書いた数字と決まりは変わります。出かける直前に、出典として挙げた外務省と在タイ日本国大使館のページで必ず見直してください。
出典
- タイ国政府観光庁「Thailand introduces new 30-day and 15-day visa exemption rules from 15 September」(官報公示2026-08-31・施行2026-09-15・30日免除60か国に日本を含む・陸路は暦年2回まで)(2026-09-04 取得)
- 外務省 海外安全ホームページ「タイ 危険・スポット・広域情報」(2026-08-31 取得)
- 外務省 海外安全ホームページ「タイの危険情報【一部地域の危険レベル引下げ】」(更新日 2026年7月2日)(2026-08-31 取得)
- 外務省 海外安全ホームページ「タイ 安全対策基礎データ」(更新日 2026年4月13日)(2026-08-31 取得)
- 在タイ日本国大使館・在チェンマイ日本国総領事館「安全の手引き 令和8(2026)年版」(2026-08-31 取得)
- 外務省 海外安全ホームページ スポット情報「ミャンマー・タイ国境付近の詐欺拠点に関する注意喚起(タイ)」(2026-08-31 取得)
- 外務省 海外安全ホームページ 広域情報「デング熱に関する注意喚起(内容の更新)」(2026-08-31 取得)
- 外務省 海外安全ホームページ 広域情報「海外における写真・動画撮影及びSNS等への投稿に関する注意喚起」(2026-08-31 取得)
- 外務省「世界の医療事情 タイ」(2026-08-31 取得)
- 外務省 たびレジ・在留届 共通トップページ(2026-08-31 取得)
- タイ入国管理局 タイデジタル到着カード(TDAC)公式サイト(2026-08-31 取得)
- タイ観光警察本部 公式サイト(สายด่วน 1155)(2026-08-31 取得)
- タイ国立救急医療センター(สพฉ. / NIEMS)公式サイト(เจ็บป่วยฉุกเฉิน โทร.1669)(2026-08-31 取得)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「海外療養費」(2026-08-31 取得)
- タイ国政府観光庁(TAT)ニュースルーム「Thai Cabinet approves updated visa measures pending Royal Gazette publication」(2026年7月16日)(2026-09-01 取得)
- タイ国政府観光庁(TAT)ニュースルーム「Thai Cabinet approves revision of 60-day visa exemption scheme pending Royal Gazette publication」(2026年5月21日)(2026-09-01 取得)
- TAT — Cannabis Flower Now Strictly Regulated in Thailand(2025年6月26日)(2026-09-01 取得)
このページの内容は 2026-09-04 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。