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タイで子どもが生まれたら — 出生届と国籍の届け出

タイで子どもが生まれたときの届け出を、タイの登録事務所への出生届、大使館への出生届と国籍留保の3か月の期限、国籍選択の20歳の期限、在留届とパスポートの順に、在タイ日本国大使館・法務省・DOPA の資料から整理しました。

この記事の要点

  • 日本の出生届は、生まれた日を含めて3か月以内に出します。4月10日生まれなら7月9日までです。在タイ日本国大使館は、先にタイの登録事務所で出生届を出すよう案内しています。
  • 子が生まれたときに日本以外の国籍も得る場合、3か月以内に国籍留保つきの出生届を出さないと、出生の時にさかのぼって日本国籍を失います(国籍法第12条)。タイの国籍に限らず、外国人の親の国籍も含みます。
  • タイの出生届は、DOPA の手引きでは生まれた日から15日以内です。期限後の届け出は1,000バーツ以下の罰金の対象で、やむを得ない場合の30日との関係は原文から読み切れませんでした。
  • 重国籍の子の国籍選択の期限は、18歳になる前に重国籍になった場合は20歳になるまでです。2022年4月1日の改正前の22歳は、今は当てはまりません。
  • 子は親の在留届に同居家族として加えます。18歳未満のパスポートは5年用のみで、子が載った戸籍謄本が要り、交付まで1か月程度かかります。

タイで子どもが生まれたら、届け出はタイ側と日本側の2つです。在タイ日本国大使館は、まずタイの登録事務所に出生届を出して「出生登録証」を受け、そのうえで日本の出生届を出すよう案内しています。日本の出生届の期限は生まれた日を含めて3か月以内で、子が生まれたときに日本以外の国籍も得る場合は、タイの国籍に限らず外国人の親の国籍でも、同じ3か月以内に国籍留保の届け出が要り、出さなければ日本国籍を失う決まりです。生まれたらまず、3か月の期限の日付を数えてください。

期限の一覧 — 生まれた日から数える

届け出ごとの期限を、出典つきで並べます。タイ側の期限は内務省地方行政局(DOPA)の手引きによるもので、法令の本文は取得していません。

届け出届け先期限出典
タイの出生届出生した病院を所轄する登録事務所(区役所・郡役所)生まれた日から15日以内DOPA の手引き
日本の出生届在タイ日本国大使館など生まれた日を含めて3か月以内戸籍法第49条(大使館の案内)
国籍留保の届け出出生届と一緒に出す出生の日から3か月以内国籍法第12条(法務省・大使館)
在留届に子を加える親の在留届(ORRネット)遅滞なく外務省の ORRネットFAQ
国籍の選択大使館または市区町村役場20歳になるまで法務省

国内で生まれた子の出生届は14日以内ですが、国外で生まれた子は3か月以内です。大使館は日付の数え方の例を2つ挙げています。

例えば、4月10日に生まれた場合は7月9日まで

10月23日に生まれた場合は翌年1月22日まで

大使館は「生まれた日を含めて3か月以内に届け出てください」と書いています。自分の子の期限は、この2つの例に当てはめて数えてください。

先にタイの出生届 — 登録事務所へ

在タイ日本国大使館のページは、タイで子が生まれた場合の順序をこう書いています。

出生した病院を所轄するタイの登録事務所(区役所、郡役所)に出生届を出し、「出生登録証」の交付を受けなければなりません。

タイ側の期限は、DOPA の登録管理事務所の1548コールセンターの手引きにあります。自宅で生まれた場合は家主か父母、自宅の外で生まれた場合は父母が、地域の登録官へ届けます。期限の部分の原文はこうです。

ภายในสิบห้าวันนับแต่วันเกิด

生まれた日から15日以内、という意味です。同じ手引きには、自宅の外で生まれてやむを得ず期限内に届けられない場合について、次の一文があります。

ในกรณีจำเป็นไม่อาจแจ้งได้ตามกำหนด ให้แจ้งภายหลังได้แต่ต้องไม่เกินสามสิบวัน นับแต่วันเกิด

やむを得ず期限どおりに届けられないときは後から届けてもよいが、生まれた日から30日を超えてはならない、という意味です。一方で同じ手引きは、法定の期限の15日を過ぎた届け出を期限後の届け出とし、1,000バーツ以下の罰金の対象としています。

ต้องระวางโทษปรับไม่เกินหนึ่งพันบาท

15日を過ぎて30日以内に出した届け出が罰金の対象になるのかは、原文から読み切れませんでした。15日以内に出すのが確実です。期限後の届け出は、郡長の承認を経て出生証明書が出ると書かれています。

DOPA の手引きにある書類注意
家主用の住居登録簿の写しタイ人向けの記載です。タイの身分証を持たない外国人の父母が出す場合の書類は、このページに書かれていません
届け出る人の身分証
病院の出生証明書(あれば)

届け出を受けた登録官は出生証明書に記入し、子を住居登録簿に加えたうえで、出生証明書の第1部を届け出た人に渡すと手引きは書いています。大使館のページがいう「出生登録証」がこの書類にあたるかは、確かめていません。

日本の出生届 — 大使館に出す書類

日本の出生届の届出人は、子が嫡出子なら父または母、嫡出でない子なら母です。在タイ日本国大使館が挙げる書類は次の4つです。

書類部数・注意
出生届2通。窓口に備え付け
出生証明書または出生登録証原本とコピー1通。父母とも日本人なら医師が作成した英文の出生証明書、父母の一方が外国人ならタイの郡役場が発行した「出生登録証」で、原本は返却される
上の書類の和訳文1通。翻訳者名を必ず書く。大使館が和訳の書式と記入見本を公開している
戸籍謄本(または抄本)本籍地と外国人配偶者の氏名のつづりを確かめるための提示のお願い。手元に無ければ不要で、コピーでもよい

大使館での出生届の手数料は、大使館のページに書かれていません。法務省は日本の市区町村での出生届について「手数料はかかりません」と書いていますが、これは国内の手続きの案内です。

子の名前にも決まりがあります。使える文字は常用漢字・人名用漢字・カタカナ・ひらがなに限られます。大使館のページの書き方はこうです。

「中間名(Middle Name)」の制度はなく、「・」(なかてん)などの符号も使用できません。

パスポートに別の名前を併記する仕組みはありますが、それは出生届とは別の制度です。

国籍留保 — 日本以外の国籍も得る子は3か月以内に

子が生まれたときに日本以外の国籍も得る場合が、いちばん注意の要る場面です。タイの国籍に限らず、外国人の親の国籍などを得る場合も含みます。在タイ日本国大使館は、国籍法第12条をこう引いています。

出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼって日本の国籍を失う

大使館は、子が出生によって日本の国籍のほかに外国の国籍をも取得する場合が「いろいろとあります」とも書いています。日本とタイの両方の国籍を得る子は、その例の1つです。この例について、大使館はこう書いています。

生まれてから「3ヶ月以内に」日本国籍を留保した出生の届出をしないと、子は出生の時にさかのぼって日本の国籍を失ってしまいますのでご注意下さい。

法務省も同じことを、根拠の条文とともに説明しています。

出生の日から3か月以内に、出生の届出とともに日本国籍を留保する意思表示(国籍留保の届出)をしなければ、その子は、出生の時にさかのぼって日本国籍を失うこととされています(国籍法第12条、戸籍法第104条)。

留保のやり方は、出生届の「日本国籍を留保する」欄に、届出人である父または母が署名押印することです。法務省は届出人を「父又は母や、その他の法定代理人」と書いています。届け先は、外国にある日本の大使館・領事館か、市区町村役場です。

日本の国籍だけを取る子の出生届には、国籍留保は要りません。父母とも日本人の子がタイの国籍を取るかどうかはタイの国籍法の問題で、この記事では確かめていません。

子がどの国の国籍を得るのか迷う場合は、出生届を出す前に大使館の領事窓口に確かめてください。大使館の出生届のページは、問い合わせ先として「在タイ日本国大使館領事部旅券・証明・戸籍国籍班」と在チェンマイ日本国総領事館を挙げています。

留保をせずに日本国籍を失った場合の道も、法務省が示しています。18歳未満で日本に住所があれば、法務大臣へ届け出て日本国籍を再取得できます。この届け出は日本に住所があることが条件なので、届け先は日本の法務局・地方法務局です。観光や親族訪問のような一時的な日本滞在は「住所」と認められません。

父母の組み合わせと子の日本国籍

在タイ日本国大使館のページは、父母の国籍と婚姻の有無ごとに、子が出生で日本国籍を取るかを分けて書いています。

父母場面子の日本国籍(大使館の案内)
父が外国人・母が日本人婚姻の有無を問わない出生により取得する
父が日本人・母が外国人父母の離婚後300日以内に生まれた取得する。大使館の令和6年3月時点の案内で、民法の改正後の扱いは確かめていない
父が日本人・母が外国人父母の婚姻前に生まれた取得しない。日本人の父が胎児認知していれば取得する

婚姻前に生まれ、生まれた後に日本人の父が認知した子は、18歳未満なら法務大臣への国籍取得届で日本国籍を取れます(国籍法第3条)。大使館によれば、国籍取得届を出してからおよそ3か月で、法務省から提出先の公館に国籍取得証明書が郵送されます。戸籍に入った後に、パスポートを申請できます。

国籍の選択 — 期限は20歳まで

重国籍の子は、いずれ日本と外国のどちらの国籍を選ぶかを決めます。法務省の現行の期限は次のとおりです。

重国籍になった時期選ぶ期限
18歳になる前20歳になるまで
18歳になった後重国籍になった時から2年以内

タイで生まれた重国籍の子は、上の行の「20歳になるまで」にあたります。この期限は2022年4月1日の改正で変わりました。改正の前は、20歳未満で重国籍になった人は22歳になるまででした。「22歳まで」という説明は、今は当てはまりません。

期限までに選ばないと、法務大臣から催告を受けることがあります。催告を受けた日から1か月以内に日本国籍を選ばなければ、原則として日本国籍を失います。選ぶ人が15歳未満のときは、法定代理人が代わって選ぶ決まりです。

タイ国籍との重国籍の人が選ぶ国籍方法(在タイ日本国大使館の案内)
日本大使館領事部または市区町村役場に「国籍選択届」を出す
タイ日本国籍の「国籍離脱届」を出す

日本国籍を選ぶ宣言をしても、外国の国籍が自動で失われるとは限りません。法務省は、選択の宣言で国籍を失う法制ではない外国の国籍を持つ人は、宣言の後に外国の国籍の離脱に努めなければならないと書いています(国籍法第16条第1項)。タイ側の離脱の手続きは、この記事の範囲の外です。

出生届の後にすること — 在留届とパスポート

子のタイでの滞在資格は、この記事では書けていません。入管での手続きが要るかについて、タイ入国管理局の公式の記述を見つけられませんでした。子の旅券ができたら、住んでいる地域を管轄する入管に確かめてください。

子が生まれたら、親の在留届に子を同居家族として加えます。外務省の ORRネットのFAQは「お子様が生まれた場合には、親の在留届に同居家族としてお子様を追加してください」と書いており、子の在留届を別に出す必要はありません。在留届の出し方は「タイで在留届を出す」にまとめています。

子の日本のパスポートは、子が載った戸籍謄本が無いと申請できません。在タイ日本国大使館のパスポートのページから、子の申請に関わる点を並べます。

項目大使館の案内
種類18歳未満は5年用のみ
戸籍謄本申請日前6か月以内に発行されたもの1部(または電子戸籍パス)
写真縦4.5cm、横3.5cmを2枚
交付までの日数2025年3月24日申請分から、日本で作成するため1か月程度
申請書の署名自分で署名できないおおむね7歳未満の乳幼児は、親権者が代筆する
受け取り本人の来館が必要。小さな子も本人が来館する

申請そのものは親権者が代わりにできます。手数料は、在タイ日本国大使館が公開している旅券の手数料表で確かめてください。

戸籍に載るのを待たずに新生児を急いで日本へ連れて帰る場合は、「帰国のための渡航書」を申請できます。大使館は対象をこう限っています。

新生児は、タイ国で出生し当館に出生届を提出した場合のみ申請が可能です。

必要書類は事前に大使館へ問い合わせます。渡航書では、日本以外の国には入国できません。

この記事で確かめられなかったこと

  • 大使館に出生届を出してから戸籍に載るまでの日数。大使館の出生届と国籍のページに記載がありません。パスポートの申請に関わる数字ですが、出典がありません。認知の国籍取得届の「およそ3か月」は別の手続きの日数です。
  • 大使館での出生届の手数料。大使館のページに記載がありません。
  • 子のパスポートの手数料の額。大使館の手数料表は PDF で、機械で読み取った文字に化けがあり、どの列が今の額かを目で確かめていません。額は書かず、手数料表へのリンクだけを置いています。
  • 子のタイでの滞在資格。父母とも日本人の子のビザや滞在の延長、90日報告が要るかについて、タイ入国管理局の公式の記述を見つけられませんでした。
  • 子がタイの国籍を取るかどうか。父母の一方がタイ人の子のタイ国籍の根拠と、父母とも日本人の子がタイの国籍を取らないことのどちらも、タイの国籍法の原文を取得していません。父母とも日本人の子が「重国籍にならない」とは断定できません。
  • 父母とも日本人の場合のタイ側の出生届。大使館のページは、タイで生まれた子はまずタイの登録事務所に届けると書いた直後に、父母とも日本人なら日本側には医師の英文の出生証明書を出すと書いています。父母とも日本人の場合もタイ側の登録が要るかは、ページの文面からは確定できませんでした。
  • 外国人の父母がタイの出生届に出す書類。DOPA の手引きはタイ人向けで、パスポートしか持たない父母の場合は書かれていません。
  • タイの出生届の15日と30日の関係。DOPA の手引きは、やむを得ない場合は生まれた日から30日まで後から届けてよいとする一方、15日を過ぎた届け出を1,000バーツ以下の罰金の対象とします。15日を過ぎて30日以内の届け出が罰金の対象かは、原文から読み切れませんでした。
  • 嫡出推定の「200日」と「300日」。在タイ日本国大使館の出生届のページ(令和6年3月28日付)は「父母の婚姻成立後200日後、または離婚の日から300日以内に生まれた子は法律上嫡出子と推定されます」と書き、離婚後300日以内に生まれた子は日本国籍を取得するとも書いています。この案内が民法の改正後も当てはまるかは、法務省の今の説明を取得しておらず確かめていません。
  • 国籍留保の根拠の条文。大使館は国籍法第12条と戸籍法第49条を、法務省は国籍法第12条と戸籍法第104条を挙げています。戸籍法の本文は取得していません。
  • チェンマイ総領事館での出生届。総領事館の出生届のページは見つかりませんでした。大使館の出生届のページの問い合わせ先には総領事館も並んでいますが、北部9県の人が総領事館に出せるかは確かめていません。総領事館に出生届を出した子が大使館で渡航書を申請できるかも、書かれていません。
  • 3か月を過ぎてしまった場合。国籍留保の要らない子の出生届が遅れたときの扱いは、取得した資料にありません。
  • 和訳の翻訳者の要件。「翻訳者名を必ず明記」とあるだけで、親が自分で訳してよいかは書かれていません。

出生届と国籍留保は、期限を過ぎると取り返しのつかない手続きです。迷う点があれば、生まれてすぐに大使館の領事窓口に問い合わせてください。

出典

このページの内容は 2026-10-19 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。