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タイの電子マネー、ラビットカードから銀行のQRまで

バンコクで名前をよく見るラビットカードやMRTのカード、銀行のQR(プロンプトペイ)について、値段・チャージの上限・使える場所・残額の戻し方を公式サイトの表示だけで整理しました。名前の似た「ラビットキャッシュ」が何なのかも分けて説明します。

この記事の要点

  • 数日の滞在なら、現金とタッチ決済のクレジットカード、BTSに乗るならラビットカードでまかなえます。
  • ラビットカードは200バーツで、内訳は発行手数料100バーツと最初から入っている残高100バーツです。BTS各駅の切符売り場で買えて、年会費はかかりません。
  • チャージは100バーツ単位で、カードに入れておける残高の上限は4,000バーツです。帰る前に切符売り場へ持っていけば、残額と預り金の合計が250バーツ以下はその場で受け取れます。
  • 地下鉄(MRT)の公式サイトが挙げる支払い手段は、片道用の乗車コイン、MRT EMVカード、EMVのタッチ決済カードで、ラビットカードは出てきません。MRTカードとMRT Plusカードは2026年6月1日で利用を終えると告知されています。
  • 銀行のQR(プロンプトペイ)は、タイの銀行口座と国民IDか携帯番号の紐づけが要ります。財布アプリのTrueMoneyを旅券だけで登録できるかは、公式に明示がありません。

バンコクで「電子マネー」と言っても、指しているものは1つではありません。BTSの改札にかざすラビットカード、地下鉄の乗車カード、銀行アプリのQR、それにタッチ決済のクレジットカード。さらに、名前が似ているだけでまったく別のサービスも混ざっています。このページは、それぞれが誰の何に使えるのかを、運営会社とタイ中央銀行の公式ページに書かれていることだけで整理したものです。どの会社を選ぶかという話は扱いません。

「ラビットキャッシュ」を調べている人が行き当たる2つのもの

この言葉で探すと、性格のまったく違う2つに行き当たります。ここを分けておかないと話が噛み合いません。

  • ラビットカードに入れたお金 — BTSの運賃や加盟店の支払いに使う、前払いの残高です。カードを買って、現金などでチャージして使います。
  • Rabbit Cash(ラビット キャッシュ)お金を借りるためのアプリです。公式サイトは自社を「สินเชื่อออนไลน์(オンラインの融資)」と説明し、タイ中央銀行の監督下にあると明記しています。運営はบริษัท แรบบิท แคช จำกัด(ラビット キャッシュ社)で、公式のよくある質問にラビットカードとの関係は出てきません。

後者の条件は公式サイトに数字で出ています。

項目公式サイトの表示
借りられる上限100,000バーツ
金利年33%(月2.75%・残高が減れば利息も減る計算)
年齢20〜65歳
国籍タイ国籍
最低収入月8,000バーツ
必要書類タイの国民IDカード、6か月分の電子取引明細(E-Statement)
申込手数料無料と表示

国籍と国民IDカードが条件になっているので、旅行者や日本国籍のままの短期滞在者が使うことは想定されていません。日々の支払い手段を探してこの名前にたどり着いたのなら、次に説明するラビットカードのほうが目的に合っています。

ラビットカードはいくらで、どこで買えるのか

ラビットカードは、バンコクの高架鉄道BTSと他の交通機関で共通に使える前払い式のカードです。運営はบริษัท บางกอก สมาร์ทการ์ด ซิสเทม จำกัด(バンコク・スマートカード・システム社)。公式サイトには標準タイプが学生用・大人用・高齢者用の3種類あると書かれています。

  • 価格は200バーツ。内訳は「発行手数料100バーツ+カードに最初から入っている100バーツ」と公式に明記されています。買ってすぐ100バーツぶん使えるということです。
  • 買える場所はBTS各駅の切符売り場。公式のよくある質問に「บัตรแรบบิทมาตรฐานออกได้ที่ห้องจำหน่ายตั๋วโดยสารบีทีเอสทุกสถานี(標準のラビットカードはBTS全駅の発券窓口で発行できる)」とあります。特別デザインのものはオンラインの通販で扱われます。
  • 年会費はかかりません(「ไม่มีค่าธรรมเนียมรายปี」と公式に表示)。

登録(本人確認)は別の手続きです。公式サイトはパヤタイ駅のサービスセンターほかBTSの駅で、9時から19時に受け付けると案内しています。身分証と連絡先が必要で、15歳未満でIDカードを持たない場合は出生証明や住居登録の書類を求められます。

チャージはいくらから、いくらまで入るのか

ここは金額の決まりがはっきりしています。

  • チャージは100バーツ単位。公式サイトは「การเติมเงินนั้นกำหนดให้เติมเป็นจำนวนเท่าของ 100 บาท」と書き、100・500・1,200バーツを例に挙げています。
  • カードに入れておける残高の上限は4,000バーツです(「โดยมูลค่ารวมต้องไม่เกิน 4,000 บาท」)。
  • チャージ場所は、BTS各駅の切符売り場と、チャージ取扱の表示がある加盟店です。

入れた金額はその場で使える残高になります。日本の交通系ICのように1円単位で入れることはできないので、端数を合わせるつもりで駅に行くと戸惑います。手持ちの現金をどこでバーツにするかはバンコクで円をバーツに両替するにまとめています。

どこで使えて、どう払うのか

使い方は公式サイトの説明どおり、読み取り機にカードをかざして音が鳴るのを待つだけです。BTSなどの交通機関では、降りる駅を出るときに運賃が自動で引かれます。買い物では、ラビットの受け入れ表示がある店でかざして払います。

公式の加盟店一覧は、飲食、フードコート、ガソリンスタンドと交通、ヘルス&ビューティー、ライフスタイルと娯楽などに分かれていて、マクドナルド、スターバックス、KFC、バーガーキングといったチェーンの名前が並びます。日本のものを扱う店で使えるかどうかは店ごとに違うので、バンコクで日本のものを買う(ドンキ・紀伊國屋)で扱った店に行くなら、レジ横の受け入れ表示を見てください。おみやげの定番であるナラヤのバッグをバンコクで買うときも同じで、支払い手段は店舗の表示が最終的な答えになります。

残高を見る方法とアプリ

残高は、ラビットに対応した店の読み取り機で確認できるほか、公式アプリ「My Rabbit」でも見られます。アプリでできることとして公式サイトが挙げているのは、残高の確認、携帯電話からのチャージ(提携銀行の口座を使う)、チャージと利用の履歴の確認、本人確認の登録です。

アプリを使うにはNFC対応のスマートフォンと、iOS 13以上またはAndroid 8以上が必要と明記されています。カードをかざして読ませる仕組みなので、NFCが無い端末では残高確認そのものができません。

カードの期限と、残ったお金の戻し方

期限の決まりは公式ページに明記されています。

  • カードの有効期間は発行日から7年です(「บัตรแรบบิทมีอายุการใช้งาน 7 ปี นับจากวันที่ออกบัตร」)。
  • 期限が切れると、チャージや回数券の追加はできなくなります。ただし使わないまま2年を超えていなければ、残っている金額や回数券を使うか、残額の払い戻しを申請できます。

払い戻しの手続きも公式のよくある質問に出ています。BTSの切符売り場にカードを返す形で、残額と預り金の合計が250バーツ以下ならその場で受け取れます。250バーツを超える場合は申請して、最長15日で振り込まれます。

紛失・盗難のときに利用停止と返金ができるのは登録済みのカードだけです。手数料は50バーツ、残額の返金までは休日を除いて15〜20日かかると書かれています。登録していないカードは、財布ごと落とした現金と同じ扱いになると考えてください。長く滞在するなら、買った日に登録まで済ませておく意味はここにあります。

地下鉄(MRT)のカードは切り替わります

バンコクの地下鉄を運営するBEMは、公式サイトでMRTカードとMRT Plusカードの利用を2026年6月1日で終えると告知しています(「ยุติการใช้งานบัตรโดยสาร MRT / MRT Plus ในวันที่ 1 มิถุนายน 2569」)。

  • 残額の払い戻しは、ブルーラインとパープルラインの駅の発券窓口で、2027年12月31日まで受け付けると案内されています。
  • 受け取りは現金のみで、残額とカードの預り金が返ります。
  • 代わりに使うものとして公式が挙げているのは、EMVのタッチ決済に対応したクレジットカード・デビットカード・プリペイドカードです。

地下鉄側の新しい前払いカードは「MRT EMVカード」です。公式ページは登録の手順を説明していて、外国籍の人はパスポートで申し込む(「บุคคลต่างชาติใช้ Passport ในการสมัคร」)と明記されています。価格や預り金の金額はこのページには書かれていないので、駅の窓口で確かめてください。

なお、地下鉄の公式サイトが支払い手段として挙げているのは、片道用の乗車コイン、MRT EMVカード、EMVのタッチ決済カードで、ラビットカードは出てきません。BTSと地下鉄を1枚にまとめるつもりで買うと、期待が外れます。

手持ちのタッチ決済カードで乗れるのか

地下鉄のEMVタッチ決済のページには、受け入れるカードが具体的に書かれています。

  • クレジットカード — VISA、Mastercard、そしてUnionPay。ただしUnionPayは「เฉพาะ(〜に限る)」として、AEONのユニオンペイ プラチナ、バンコク銀行のユニオンペイ プラチナ、ICBC(タイ)ユニオンペイ、KTCのユニオンペイ各種、カシコン銀行のユニオンペイなど、タイで発行された特定のカードが列挙されています。
  • デビットカード — クルンタイ銀行、クルンシー銀行、カシコン銀行、サイアム商業銀行、UOBの5行に限ると書かれています。
  • 使い方の注意として「ใช้บัตรเครดิต 1 คน 1 ใบ ตลอดการเดินทาง(1人1枚を旅の間ずっと使う)」「入場と出場は同じ1枚で」と明記されています。連れの分をまとめて1枚では通れません。

このページには外国で発行されたカードが使えるかどうかは書かれていません。日本発行のカードを当てにして改札に向かうのは避け、乗車コインを買うか、駅の窓口で確かめてから使ってください。カード払い全般の勘所はタイでクレジットカードを使う前に知っておくことにまとめています。

銀行のQR(プロンプトペイ)は誰が使えるのか

タイの店先に貼られているQRの多くは、タイ中央銀行が整えたプロンプトペイ(PromptPay)の仕組みで動いています。中央銀行の説明では、これは国民ID・携帯電話番号・口座番号を使って、より安い手数料でデジタルに送金できるようにする決済基盤です。使うにはタイの銀行口座を持っていて、その口座を国民IDか携帯番号と紐づける必要があり、紐づけはモバイルバンキング、インターネットバンキング、ATM、銀行の窓口でできると書かれています。

手数料も公表されています。

送金額中央銀行が示す手数料
5,000バーツ以下無料
5,000バーツ超〜30,000バーツ2バーツ未満
30,000バーツ超〜100,000バーツ5バーツ未満
100,000バーツ超(銀行の上限まで)10バーツ未満

中央銀行は、2018年以降ほとんどの銀行がモバイル決済などデジタル取引の手数料を無料にしているとも書いています。つまり、タイの銀行口座がある人にとっては事実上ただの支払い手段で、口座が無い旅行者はこの輪の外にいるということです。

タイで最も広く使われている財布アプリ「ทรูมันนี่(TrueMoney)」

プロンプトペイが銀行口座の仕組みなのに対し、口座を持たない人でも残高を入れて払える財布アプリがタイには別にあります。その代表がトゥルーマネー(TrueMoney、タイ語表記 ทรูมันนี่)です。2026-09-01に公式サイトで確かめた範囲では、できることは次のとおりです。

  • 店で払う — 公式サイトが名指ししている支払い先は、マクロ、セブン-イレブン、ロータス、そのほかの小売店、自動販売機、中小の加盟店です。プロンプトペイのQRで払う機能も持っています(「จ่ายพร้อมเพย์」)
  • チャージと支払い — 携帯の通信料・データパック、クレジットカードの請求、電気代、水道代、高速道路のEasy Pass
  • オンライン — Lazada、TikTok、フードデリバリー
  • 送金 — タイ国内の送金のほか、ミャンマー・カンボジア、およびその他の国への海外送金
  • カード — TrueMoney Mastercard を出しており、Google Pay でのタッチ決済にも対応すると案内しています
  • 金融サービス — 預金(キアティナキン・パッタナ銀行との提携)、金の積立、投資信託、社債、国債、ローン、保険まで並んでいます
  • 海外での支払い — 日本・韓国・中国での支払いに対応すると案内しています(これはタイの利用者が海外で払う向きです。上のプロンプトペイと同じ向きなので、読み違えないでください)

旅行者が登録できるかどうかは、こちらでは確かめられていません。公式サポートの本人確認の案内に並んでいるのは「IDカードで確認する」と「顔認証で確認する」の2つだけで、旅券を使う記事はありません(外国人向けには別のサポート面が用意されています)。旅券だけで登録できるかどうかは、公式に明示がありません(2026-09-01時点)。あわせて、登録の案内はタイの携帯番号あて SMS の確認コードを前提に書かれています(受け取れないときの対処が「デュアルSIMならもう一方のSIMを外す」という内容です)。つまりタイの番号を持っていない旅行者には、そもそも入口が狭いということです。短期の旅行なら、現金と、上で扱ったタッチ決済のカードで足ります。

日本のスマホ決済アプリはタイで使えるのか

タイ中央銀行は、QR決済の国際的な接続について国ごとに説明を出しています。そこに日本も挙がっていますが、書かれている向きに注意が要ります。

  • 日本 — 「タイの旅行者が、自分のモバイルバンキングでMyPromptQRの買い手側QRを出して、日本で支払えるようにする」と説明されています。つまりタイから日本へ行く人の話で、日本の利用者がタイで払う向きについては、このページに記載がありません。
  • 中国 — 中国からの旅行者がタイで、UnionPay・Alipay・WeChat Payの3社のアプリを使えると書かれています。
  • 韓国 — 韓国からの旅行者がPaybooc(ペイブック)のアプリで、タイの加盟店のQRを読み取れると書かれています。
  • このほかカンボジア、マレーシア、ベトナム、シンガポール、インドネシア、香港、ラオスとの接続が並んでいます。

日本から来る人が、いま持っている日本のQR決済アプリをそのままタイで使えると読める記述は、この公式ページにはありません。現地での支払いは、現金・タッチ決済のカード・ラビットカードのいずれかを前提に組み立てるのが安全です。

LINEでできること、できないこと

タイでもLINEは広く使われていて、金融サービスの窓口としてLINEの公式アカウントを置いている会社があります。たとえば先ほどのRabbit Cashは「LINE Rabbit Cash Connect」という連携を用意していて、LINE上で口座の残高確認、出金完了の通知、支払期日のお知らせ、返済のリマインドを受け取れると説明しています。

ただし登録の手順は、公式サイトによると「登録ボタンを押す→国民ID番号と携帯電話番号を入力→OTPで本人確認→規約に同意」の4段階です。ここでもタイの国民IDが要ります。LINEを日本語のまま使っていても、この種の連携はタイの本人確認を通った人のためのもので、旅行者の支払い手段が増えるわけではありません。

そもそもタイで「電子マネー」はどう扱われているのか

タイ中央銀行は、決済システム法(Payment Systems Act B.E. 2560)にもとづいて決済事業者を監督しています。指定された決済サービスのなかに「provision of electronic money services(電子マネーサービスの提供)」と「provision of electronic money transfer services(電子マネーの送金サービスの提供)」が含まれると、中央銀行の公式ページに書かれています。監督は、財務状況、ガバナンス、リスク管理と安全性、利用者保護、効率と競争の促進という5つの面から行うとされています。

前払いのカードに上限額や有効期限、払い戻しの手順が定められていて、事業者がそれを公表しているのはこのためです。名前が似ていても、前払いの電子マネーなのかお金を借りる仕組みなのかで、かかっている規制も必要な書類も違います。

滞在の長さで、持つものは変わります

手段用意するもの短期の旅行者から見ると
ラビットカード200バーツ(発行手数料100+残高100)駅で買える
MRT EMVカード登録にパスポート申し込める
MRTの乗車コイン現金その場で買える
プロンプトペイのQRタイの銀行口座と国民IDまたは携帯番号条件を満たしにくい
Rabbit Cashタイ国籍・国民IDカード・月8,000バーツの収入対象外

数日の滞在なら、現金とタッチ決済のカード、それにBTSに乗るならラビットカードで足ります。ラビットカードは200バーツで買えて、そのうち100バーツはすぐ使える残高なので、乗る回数が数回あるなら無駄にはなりにくい買い物です。帰る前に残額を戻したいなら、BTSの切符売り場に持っていけば、残額と預り金の合計が250バーツ以下はその場で受け取れます。

長く住むなら、まず銀行口座を開いてプロンプトペイを使えるようにするのが土台になります。そのうえで交通系のカードを足す、という順番です。ここに挙げた金額や日付は、いずれも各社と当局の公式ページの表示を2026-09-01に見たものです。制度も料金も変わるので、実際に手続きする前に公式サイトで見直してください。お金と買い物まわりの記事はお金と買い物の記事一覧から辿れます。

出典

このページの内容は 2026-09-01 に確認しました。料金・制度・営業情報は変わることがあります。